すでに行なわれている各種労作の労作強度 (RMR) の測定値は, 生活環境が測定時と異なっている現在では, 測定しなおす必要を認めないわけにはいかない。またエネルギー代謝測定に必要な, 呼気ガス測定装置も, 古くは労研式呼気ガス測定器のみが主として, 用いられていたが, 現在では, ブレスアナライザーも用いられており, さらに理研式干渉型ガス検定器が, 呼気ガス測定に利用されるようになった。これは小型で, 携帯に便利であるので, 野外での研究に適している。これを用いて, 呼気ガス分析を行なった場合, どのような誤差を生じるか, また操作上の注意について実験し, さらに, その測定結果を他の2種の機器を用いた場合と比較する実験を行なった。その結果, 次のようなことがわかった。
1) 理研式ガス検定器を初心者が用いた場合, 誤差を生じるので, ある程度の練習を必要とする (Table 2, 3)。
2) 理研式ガス検定器を用いるとき, 試料ガスの採取には, 3回以上のスプレーによる吸引操作を行なう必要がある (Fig. 1)。
3) ブレスアナライザーによる測定には, 初心者による誤差は少ない (Table 1)。
4) 理研式ガス検定器と労研式呼気ガス分析器とによる測定値は, 安静時ガスについても, 労作時ガスについても差は認められなかった (Table 4)。5) 理研式ガス検定器とブレスアナライザーによる測定値についても, まったく差は認められなかった (Table 5)。
以上の実験結果から, 理研式ガス検定器は呼気ガス中の
VO
2,
VCO
2の分析に用いることができると考えられる。
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