栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
31 巻, 5 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 武内 望
    1978 年 31 巻 5 号 p. 439-448
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
  • 綾野 雄幸, 太田 冨貴雄, 渡辺 幸雄, 田中 和夫, 福野 滋樹, 田中 康夫, 高野 博幸
    1978 年 31 巻 5 号 p. 449-457
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    パンの素材の一部を難消化性であるAMSで置換した低カロリーパンを試製し, in vitroでのエネルギー評価を行なうとともに成熟ラットに投与し, 消化管内の動的条件で, 実際にどの程度まで利用されるかを検討し, 同時に生体への影響を調べた。
    1) in vitroでのエネルギー評価は, 供試パンをラット小腸抽出酵素で人工消化させ, 生理的燃焼値を有する糖質を定量し, たん白質と脂肪の含量から有効エネルギーを算出した。全小麦粉パンの有効エネルギー (100g当たり274Cal) を100として, 製パン適性が認められたパンのそれを比較すると, AMS 30%添加パンでは85, AMS 50%添加パンでは76を示した。
    2) 製パン適性が認められたAMS添加パンを成熟ラットに投与した結果, AMS 50%添加パン群の見かけの消化吸収率は, 全小麦粉パン群に比し, デンプンでは99.4%から94.7%に, たん白質では90.1%から80.2%に, 脂肪では95.3%から94.1%に有意に低下し, 総摂取エネルギーに対する可消化エネルギーの比は, 全小麦粉パンに比し約5%の低下であった。その他, AMS添加パン群では血清コレステロールが低下する傾向を示し, 蓄積脂肪も有意に低下した。しかし, 盲腸は有意に増大し, 消化管に対する多少の負担を与える欠点が見いだされた。
  • 松浦 栄一, 平野 隆司, 山田 幸二, 飯島 直子, 河原 裕憲
    1978 年 31 巻 5 号 p. 459-463
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    市販たか菜漬を粉末にし飼料に混じて白ネズミに投与後可視光線を照射し, その生体におよぼす影響を観察し, 血清成分の変動と病理組織学的変化を検索した。
    1) たか菜漬粉末1.5g投与群は光照射時間平均38分で死亡, 1.0g投与群は平均75分, 0.5g投与群は平均189分で死亡した。すなわち飼料中のたか菜漬粉末濃度が高くなるほど死亡までの光照射時間は短縮された。
    2) たか菜漬添加飼料を投与後, 1日だけCasein食に切り換えて後光照射した場合は, 頭背部の紅斑・浮腫および不穏状態が観察されるが, 死亡例は5例中1例にとどまった。casein飼料に切り換えて2日間経過した後光照射した場合は, 皮ふ症状・不穏はまったく観察されず死亡例もなかった。これらのことからフェオホーバイドaの生体内残留時間は短いものと想像された。
    3) 光照射によって, アルブミン分画比, Al-Pの減少, GOT, GPT, LDH, カリウム, TBA値の有意の増加が認められた。
    4) 病理組織学的には, 滲出性皮ふ炎および筋炎, 諸臓器, 組織のうっ血を主要所見とし, 急激な末梢循環不全の死因に関与する可能性が示唆された。
  • 山岸 達典, 森本 キミ, 堀井 昭三, 関 博麿, 大西 和夫
    1978 年 31 巻 5 号 p. 465-468
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    飼料中の正リン酸塩類を縮合メタリン酸カリウムに置換してラットに投与してCa, PおよびMg出納におよぼす影響を観察した。それらの結果を要約すると次のとおりである。
    1) 体重増加: 実験群のラット体重は対照群のそれと比較して増加する傾向を示した。
    2) Ca, PおよびMg出納: 実験群のCa吸収率は, 対照群のそれと差はなかったが尿中排泄量が少ないため, 体内保留率は対照群より実験群のほうが高く, Mg収吸率は実験群のほうが低いが尿中排泄が少ないため体内保留率は対照群より多い。またPの吸収率, 体内保留率も実験群のほうが高く, Ca, PおよびMgともに対照群との間に有意な差が認められた。
    3) 屍体のCa, PおよびMg量: 屍体のCa, PおよびMg量は, 実験開始時, 終了時いずれの時期も対照群と実験群との間に有意な差が認められなかった。ただし開始時と終了時ではいずれの群もCa, P量は増加したが, Mg量は逆に低下した。
  • 上田 成子, 桑原 祥浩
    1978 年 31 巻 5 号 p. 469-473
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    市販スパイス (8種類, 39検体) のBacillusの汚染状況について検索を行なった。その結果は以下のとおりであった。
    1) 好気性一般細菌数は, 全サンプルについて, 103-107/gの汚染であった。このうちとくにblack pepperは, 11例中3例に106/g以上という高度の汚染を示した。また芽胞汚染状況は, 生菌数の場合と同様の傾向を示した。
    2) 好気性の分離菌株中Gram陽性芽胞形成桿菌 (Bacillus属) は90%を占め, その他, Gram陰性桿菌6.5%, Gram陽性球菌3.5%が検出された。
    3) 分離されたBacillus (497株) の構成菌種は, 351株 (70.6%) がB. subtilisであり, B. pumilusが66株 (13.3%), B. licheniformis 30株 (6.0%) であった. その他, B. coagulans, B. cereus, B. megaterium, その他6種のBacillusがわずかながら検出された。しかしスパイス間に構成菌種の差が見られた。
    4) 分離菌株優勢を示したB. subtilis, B. lichniformis, B. pumilusの生物性状検索の結果は, Bergey's manualとほぼ一致していた。
  • 鈴木 継美, 山口 蒼生子, 鈴木 久乃
    1978 年 31 巻 5 号 p. 475-480
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    某女子大学栄養専攻課程の新入生42名の30日間にわたる食事記録, 身体諸形質 (身長, 体重, 体脂肪率, lean body mass, 上腕囲, 血色素量, 1年後の体重) の測定結果を用い, 栄養摂取の個人間変動について検討した。
    1) 栄養素摂取量の個人間変動は30日分の平均値でみると, たん白質でもっとも小さく (変動係数8%) ビタミンAとCでもっとも大きかった (変動係数約12%) が, 栄養素摂取量相互間の相関係数はすべて正の有意の値を示した。主成分分析を行なうとしたがって第1成分の寄与率が高く (72.5%), いわゆる「大きさの因子」がどの栄養素摂取にも一様にみられた。
    2) 身体諸形質の個人間変動は体重でもっとも大きく (変動係数14%) ついでlean body mass (変動係数13.4%) で, もっとも小さいのは体脂肪率 (1.7%) ついで身長 (3.9%) であった。主成分分析では第1成分として, いわゆる「大きさの因子」 (寄与率52.8%) がとり出され, その負荷のもっとも大きいものが体重であった。
    3) 身体諸形質のいずれによっても, 栄養摂取の個人間変動は説明されなかった。
    4) 単位体重あたり栄養素摂取量をみると, 血色素量をのぞくすべての栄養素で, 身体形質とくに体重との間に有意の負の相関がみられた。
    以上の結果から, 「身体の大きさ」によって栄養摂取が影響されていること, そのさい大きなものほど相対的に少量の摂取となることが示された。
  • 団野 源一, 金沢 和樹, 名武 昌人
    1978 年 31 巻 5 号 p. 481-484
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    デンプン含量の高い食品試料から, たん白質の定量的な抽出を試み, そのアミノ酸分析への応用について検討した。小麦粉, 精白米, アズキ, ウズラ豆およびトウモロコシの各粉末 (80メッシュ, n-ブタノール脱脂) 1.5gを遠心管に秤取し, 2-メルカプトエタノール0.25mlと0.5%ドデシル硫酸ナトリウム (30ml+20ml) を加え, 窒温に1時間保つことにより, 各試料中に含まれる総窒素量の96~99%が可溶性となり抽出された。抽出に用いた試薬はアミノ酸の分析定量に影響をおよぼさず, 抽出液はアミノ酸分析用試料として満足なものであった。
  • 辻 啓介, 辻 悦子, 鈴木 慎次郎
    1978 年 31 巻 5 号 p. 485-489
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    実験的にラットの過Ch血症を起こす飼料に粘度, エステル化度の異なるアルギン酸ナトリウム2種, アルギン酸プロピレングリコールエステル5種をおのおの5%レベル添加し脱Ch作用の比較検討を行なった。その結果, アルギン酸ナトリウムに関しては高粘性の試料で血清および肝Chの上昇抑制作用が強かった。プロピレングリコールのエステル化度が高まると, 逆に粘度は低下するにもかかわらず脱Ch作用は増強された。摂取Chの肝臓への見かけの蓄積率はこれら難吸収性多糖類により低下していた。
  • 高橋 理平, 一寸木 宗一, 前川 昭男, 鈴木 隆雄, 松本 信二, 小原 哲二郎
    1978 年 31 巻 5 号 p. 491-496
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    1) 精白粟粉末を用い, α-およびβ-amylase処理によりたん白質含量29.2%の粟たん白濃縮物を得, 白ネズミによる動物試験の供試試料とした。
    2) 精白粟, 粟たん白濃縮物, グルテンの各アミノ酸組成を分析, CSおよびEAA Indexを求めたところ精白粟が高い値を示した。また粟たん白濃縮物中のリジン含量が低下することが認められた。
    3) 精白粟, 粟たん白濃縮物, グルテンの一般成分組成を分析, 三訂日本食品標準成分表の精白米と精白粟の分析値を比較したところ粗たん白質で約1.5%, 粗脂肪で約3倍精白粟のほうが高い値を示した。また精白粟中のB1, B2およびミネラルを分析し, 精白米と比較したところB1は約5倍, 鉄は約15倍の値を示した。
    4) 粟たん白濃縮物およびグルテンをたん白源とし, 8%たん白質飼料で飼育した白ネズミの体重増加量は, 両区の間に有意差は認められずほぼ同程度の成育結果が得られた。また生物価, 消化率, 正味たん白質利用率を比較検討したところ, 生物価に有意の差は認められなかったが, 消化率, 正味たん白質利用率でグルテン区のほうがややすぐれている結果が得られた。
  • 横澤 隆子, 金井 久美子, 大浦 彦吉
    1978 年 31 巻 5 号 p. 497-500
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    尿酸代謝に対する明暗の影響を検討した結果, つぎの点が明らかにされた。
    明暗交代下で飼育したラットの血清尿酸, アラントインレベルは消燈時の午前2時で最低, 点燈時の午後2時で最高となる日内変動を示し, キサンチンオキシダーゼやウリカーゼ活性も夜間から昼間にかけて上昇した。しかし常時点燈下, 常時消燈下のように明暗変化のない条件で飼育した場合には, すべてが日内リズムを消失した。
  • 石橋 源次, 湯木 悦二
    1978 年 31 巻 5 号 p. 501-506
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    揚げ油の変質に対する種物の影響を解明するために, 種物からの微細粒子が伝熱面に到着することを防止できる新しいフライ試験装置を考案し, 食品材料および食品固形成分を用いて揚げ油の加熱変質に対する影響を検討した。
    1) グリシンは大豆油の色調や酸価の増加に著しい影響を与えたが, 一方, 食塩の影響は最も小さかった。
    2) デンプンに比較してたん白質のほうが大豆油の酸価および着色に対する影響が強く, カルボニル価に関しては逆に影響が小さかった。
    3) 肉類や血液を脱水脱脂した場合, 大豆油の加熱変質に対する影響は予想したよりも小さかった。
  • 兼松 弘, 丸山 武紀, 新谷 いさお, 今村 正男, 伊藤 新次
    1978 年 31 巻 5 号 p. 507-513
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    Proximate, inorganic and sugar components were analyzed on 25 kinds of honey and 9 kinds of high-fructose corn syrup (HFCS), and following results were obtained.
    1) Each alue of these components was scattered among honey or among HFCS. The clear difference between honey and the HFCS was recognized in 7 items, including water content, with marked difference especially in acidity, crude proteins, potassium, calcium and magnesium. In sugar components, the clear difference between honey and HFCS was also recognized in components corresponding to fructose and to raffinose.
    2) A distinct difference between honey and HFCS was observed in many two-component ratios such as Ca/ash, marked by in crude protein/acidity and raffinose/maltose. These values in honey were less scattered.
    3) A test for discrimination of HFCS was tested with a mixture of honey and HFCS, and it was found that the values of above components and some of the two-component ratios deviated from the values in honey even in 75: 25 mixture of honey and HFCS. By concerted judgement of these values, it seemed possible to detect the presence of HFCS mixed in honey, to a certain extent.
  • 金森 孝子, 小松 由貴子, 外海 泰秀, 中村 恵三, 金田 吉男, 慶田 雅洋
    1978 年 31 巻 5 号 p. 513-518
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    1) 大阪府下で製造された食酢4検体 (No. 1~4, うちNo. 2, 4は米酢), 愛知県産1件 (No. 5), 鹿児島県産2件 (No. 6, 7, うちNo. 7は米酢), いずれも「醸造酢」と表示したものを試料として, 比重, エキス分, 酸度, 無機質, 窒素化合物および炭水化物 (糖) の分析を行ない, 得られた結果について比較考察した。なお, 鹿児島産のものは独特の酢がめ製法によるものである。
    2) 大阪産米酢においては, 対応する酒精酢よりもエキス分はかなり高いことが知られた。これに対して鹿児島産酢ではエキス分は低いレベルにあった。
    3) 総酸含量は, 愛知産酢が5%とやや高い値を示したほかはいずれも酢酸として4.2~4.55%の範囲であった。試料No. 5~7では総酸中不揮発酸が35%以上を占めていた。
    4) 灰分は0.07~1%の範囲にあり, 高灰分の製品ではその中に含まれる食塩の比率の高いことが知られた金属組成でとくに多いのはナトリウムであって, 非食塩態ナトリウムも450~1,600ppm検出された。
    5) 大阪産の米酢では対応する酒精酢の7倍以上の還元性単糖類 (グルコースおよびフルクトース) が検出された。両者の組成比はほぼ等量であった。GCとソモギイ法による結果はよく一致した。鹿児島産酢では糖は検出されなかった。
    6) 窒素化合物は鹿児島産酢中に550~700ppmの高い値を示し, その他は150ppmであった。窒素の大部分は非たん白態であった。
  • 木村 恵子, 岩田 伊平
    1978 年 31 巻 5 号 p. 518-521
    発行日: 1978年
    公開日: 2010/03/01
    ジャーナル フリー
    いわゆる“レモン酒”の劣化した香気成分中にシトラールの劣化生成物が存在するかどうか, ガスクロマトグラフィーによって調べた。またレモンオイルおよびシトラールを除いたレモンオイルが, クエン酸溶液中で香気および成分において, どのように変化するか比較した。
    1) レモン酒の劣化した香気からシトラール劣化生成物の, p-サイメン, 2-p-トリル-プロペンおよび2-p-トリル-2-エトキシプロパンが検出された。
    2) レモンオイルの劣化した香気から, レモン酒の場合に検出された上記3種類のシトラール劣化生成物および2-p-トリル-2-プロパノールが検出された。
    3) シトラールを除いたレモンオイルは, クエン酸溶液中で3週間は香気が変わらず, シトラール劣化生成物も検出されなかった。
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