日常の砂糖摂取量が30 (g/day) 以下, アルコールの摂取習慣のない健康な成人男子 (年齢20~25歳) 10名を, 体位がほぼ同じような2集団にわけ, 1集団は10日の実験期間中の主食を玄米, 他の集団は白米とし, この2集団の対象者全員に砂糖を毎日50 (g/day) 摂取させた。栄養摂取量は実験開始前の総カロリー1, 992.2 (kcal/day) を実験中2, 520.2 (kcal/day) とした。こうした条件下で上昇するTC, TGに対する食品中, とくに玄米中の食物繊維の抑制作用について検討し, 次のような結果を得た。
1) 2集団の食物繊維摂取量は, 1人平均玄米集団で33.3 (g/day), 白米集団で9.9 (g/day) であった。このうち玄米のみからは26.7 (g/day), 白米のみからは3.3 (g/day) を摂取していた。
2) 血清総コレステロールは, 実験開始前玄米集団138.6 (mg/100ml), 白米集団145.8 (mg/100ml) であったが, 5日後玄米集団では11.0 (mg/100ml) の上昇があったのに対し, 白米集団は116.6 (mg/100ml) の上昇をしめした。
3) 白米集団においてとくに上昇したコレステロールは, 動脈硬化症発症の原因の一つとされる, TC-HDL-Cであった。
4) トリグリセライドについては, 実験終了時において, 玄米集団では14.2 (mg/100ml), 白米集団では21.6 (mg/100ml) の上昇がみられた。これらはいずれも正常値の範囲内における変化であったが, 玄米集団におけるトリグリセライドのほうが白米集団よりその上昇度合が低かった。
5) 以上の実験結果より, 玄米中の食物繊維による血清コレステロール, トリグリセライドの上昇抑制作用が認められた。
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