沃素價88のイワシ半硬化油より液體脂肪酸, 固體不飽和酸, 飽和酸を分ち各々のエチル・エステルの榮養價を白鼠を用いて試驗し次の結果を得た。
(1) 沃素價123の液體酸エチル・エステルは對照として用いたオレイン酸エチルに較べ何ら遜色なく, 又固體不飽和酸エチルについても略々同樣の結果を得た。但し飽和酸エチルは明らかに劣つた。
(2) なお淡素數の多い脂肪酸の榮養價を知るためC20及びC22酸混合物と思われる高度不飽和酸を分ち, そのエチル・エステルをラネー觸媒で部分水添したところ, 沃素價174及び152のものはかなり不飽和度が高いにもかがわらず, オレイン酸エチルに劣らず (この際B134γ, B28γ を投與した) 炭素激の多い不飽和酸でも多少不飽和度を減じた場合はかなり榮養價が高いことを認めた。但し沃素價365の高度不飽和酸エチル及び沃素價273の部分水添エステルに明らかに劣り, 體毛は黄變し, 特に高度不飽和酸を與えた白鼠の前肢及び口のまわりの毛は脱毛した。
終りに御助言を賜つた水産研究所技官東博士及び動物飼育に盡力された荒井君枝, 大田良子, 倉持こうの諸氏に厚く謝意を表する。
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