日本食に於ける成人のMgの代謝の状況を知ろうとして, 健康成人男子4名について, 9日間に亘り実験した。
1) 一般日常食として献立した食餌中に, Mgは329~539mg平均411mg含有されていた。
2) 食餌中Ca: Mgの比はほぼ1: 1前後であつた。
3) 吸収量は99~184mg, 糞便中排泄量175~383mg, 尿中排泄量68~153mg, 吸収率27~50%の値を示した。
4) CaをMgより多く摂取した場合, 尿中Caは尿中Mgより非常に多く排泄されることを認めた。
5) Mg摂取量が増加されると尿中Mg排泄が増加した。
6) 尿中Mg排泄量の糞便中Mg排泄量に対する比率は1: 1.9から1: 2.9の間にあつた。
7) Leichsenringの実験に比して, Mgの排泄は著しく多量であつたが, これは摂取Mg量が多かつたためで, 吸収量ではあまり差はなかつた。
8) 吸収量は日本人成人男子では150~160mg程度以上にはなりにくいようである。
9) Mg, Ca, Pの相互関係については明瞭な成績は得られなかつたが, Mgの摂取の多量な時には, Pの排泄も増し, Caの排泄も増すようである。
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