国立病院看護研究学会誌
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最新号
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原著
原著
  • 横山 冬貴, 松田 謙一
    2024 年 20 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/02
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    目的:入院患者が治療方針を決定する場面における診療看護師(NP)の意思決定支援を明らかにする.

    対象と方法:研究対象者は,病棟での実務経験が2年以上の診療看護師(NP)とした.研究協力に同意の得られた6名の診療看護師(NP)に半構造化面接法を実施し,その内容を質的記述的に分析した.

    結果:【患者-診療看護師(NP)の関係を構築し,患者の希望を引き出す】【家族-診療看護師(NP)の関係を構築し,患者と家族双方の希望を通わせる】【意思決定に支障をきたす患者の身体的状態を洗い出し,主体的に介入する】【患者の希望に応えられるように医療チームを最適化する】の4つのカテゴリーが抽出された.

    考察:診療看護師(NP)の意思決定支援は,医師と協働しながら症状マネジメントを主体的に行うという役割や,自身の業務のタイムマネジメントが可能という看護師とは異なる働き方において独自性を有することが考えられた.

実践報告
  • 澁谷 幸子, 濱﨑 友実, 星野 睦美, 西園 里美, 藤内 聖子, 大野 美穂, 山田 巧, 深野 久美
    2024 年 20 巻 1 号 p. 20-24
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/02
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    目的:老年看護学実習経験の相違による看護学生の老年観の特徴を明らかにする.

    対象と方法:本校2年生74名の実習記録「私の老年観」のレポートを臨地実習と学内実習の経験差による相違群別にテキストマイニングで分析した.

    結果:「老年」を関連語とした共起ネットワークは,臨地実習経験群では「尊重」「生活」「感じる」「理解」,学内実習経験群では「身体」「加齢」「強み」が抽出された.各群を外部変数とした共起ネットワークは,臨地実習経験群では「思い」「個別」「様々」「安全」「家族」,学内実習経験群では「変化」「疾患」「強み」「認知」「低下」などが抽出された.

    考察:臨地実習経験群は,患者の生活や人生史を尊重し,家族を含めた安全な看護を提供することが大切であるという老年観であった.学内実習経験群は,紙上事例の情報や演習時の模擬患者の反応から,加齢や健康障害による身体的変化を捉えた老年観であった.

資料
  • 新居 由美子, 粟井 京子, 吉川 明美, 山田 円
    2024 年 20 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/02
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    本研究は,2年間にわたるコロナ禍におけるA看護専門学校(3年課程)の教育が学生に与えた影響を明らかにするため,卒業生8名の語りを質的帰納的に分析した.結果,90コード,18サブカテゴリ―,6カテゴリーが抽出できた.学生は,臨地実習がほぼ中止となる中,【実践で学ぶ経験を逸したことへの思いが残る】状況にあり,学内の模擬患者をとおして学ぶ実習では,【看護実践のリアリティがつかめない】感覚を抱いていた.オンラインでの受講の際は,集中力や緊張感の低下から,【受け身的に場を流す】状況も生じており,臨地の実践経験や学生同士で共に学習していく機会の減少によって,【学習状況への不安が生じる】状況にもあった.さらに,病棟の状況も分からないままに【就職選択が狭まる】という影響もみられていた.一方,学生自身の患者体験や,グループワークにより【学び合い考える力をつける】ことができたと捉えていた.

資料
  • 塩谷 幸祐, 山崎 恵美
    2024 年 20 巻 1 号 p. 31-36
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/02
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    正循環と逆循環の三交代制勤務を選択できる病棟で働く看護師に対して正循環と逆循環の「働きやすさ」と「働きづらさ」に関するインタビュー調査を行い要因を検討した.研究対象は看護師6名としデータは質的帰納的に分析した.A医療センターの倫理審査を受けた.正循環の働きやすさの要因は【十分な勤務間隔による疲労感軽減】【十分な勤務間隔による集中力向上】【家族との生活リズムの一致によるプライベートの充実感向上】であり,働きづらさの要因は【休み―深夜によるプライベートの充実感減少】【慣れない勤務による心身の疲労感増加】であった.逆循環の働きやすさの要因は【休み―深夜がないことによるプライベートの充実感向上】【慣れた勤務による心身の疲労感軽減】【家族との生活リズムの一致によるプライベートの充実感向上】であり,働きづらさの要因は【不十分な勤務間隔による疲労感増加】【眠気による集中力低下と安全面への不安】であった.

資料
  • 清水 直美, 吉川 美奈子, 関根 千晴, 田嶋 紗彩
    2024 年 20 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/10/02
    研究報告書・技術報告書 フリー

    退院調整看護師が病棟看護師と連携し,退院困難と予測される患者を拾い上げ優先的に介入しているが,再入院は少なくない.今回の研究では,整形外科疾患患者の再入院の実態を明らかにし,再入院率の高い疾患や原因は何かを探索することを目的に調査を実施した.再入院患者は7,798名中150例 (1.9%),そのうち退院調整看護師が介入したのは33例 (22.0%) であった.項目別では,日常生活自立度 (身体) 要介助の項目が125例 (83.3%) と最も多かった.疾患別では腰部脊柱管狭窄症が41例 (27.3%) で最も多かった.整形外科疾患患者における再入院の傾向が明らかとなった.今後は,再入院率の高い項目や疾患に該当する患者に退院調整看護師が早期から介入できる仕組みづくりをし,再入院率が低下するかどうかの検討が課題である.

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