一般に,代数系で成立する多くの等式の中には,他の等式の組合せから導かれるものもあり,その場合は互いに独立ではないことになる.最低限どの等式を仮定すれば,すなわち,どの等式を公理系として採用すれば,その代数系で成立する他のすべての等式を導くことができるかが問題となる.代数の公理系の各公理が独立なとき,すなわち,各公理が他の公理の組み合わせから導けないとき,その代数の公理系を完全に独立な公理系と呼ぶ.本論文では,特に人工知能の分野において、あいまいで不確かな状態を表現するために重要な役割を果たしているクリーネ代数を対象として,最初に未定係数法を用いて,公理系における各公理の独立性を調べることにより,どの公理がより本質的な役割を侍っているかを調べる.更に,この結果に基づき,各公理の公理系における役割を明らかにし,その上で32種類の完全に独立なクリーネ代数の公理系を示す.
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