本研究では,DEAにおける区間効率値の改善方法を提案する.従来のDEAは,当該事業体に対して仮想出力の仮想入力に対する比の相対的な最大値を効率値として,事業体にとって有利な重み付けを行い評価する手法であるといえる.それに対して,真の効率値が存在する区間として区間効率値を求める手法が提案されている.区間効率値は,有利な立場からの評価である上限と不利な立場からの評価である下限により定められ,上限は従来のDEAによる効率値と一致する.下限は,従来のDEAでは最大効率値を求めるのに対して,最小効率値を求める最適化問題により求められる.改善対象となるDMUは,区間効率値の上限が1ではないDMU,すなわち有利な立場から評価しても効率的であると判断されないDMUとする.本研究では,区間効率値に基づき,従来のDEAの考え方と同様である区間効率値の上限を1に改善し,そのうち下限ができるだけ大きくなるような改善方法を提案している.区間効率値の下限は与えられる出力値に偏りがあるとき小さくなるので,下限を考慮して改善を行うと,DMUの与えられた各項目の入力値を配慮して,それらがバランスのよい出力値となるように改善することができる.出力値のみに着目して,与えられた出力値を減らすことなくDMUを改善する方法を示すが,入力値のみに着目する方法,入出力値を同時に考慮する方法についても同様に考えることができる.
抄録全体を表示