近年,モバイル環境におけるユーザ適応情報サービスに向け,ユーザの行動をモデル化することで行動パターンを把握しようとする研究が行われている.これらの手法はユーザの位置情報の履歴を基に,データ系列から頻出するデータパターンを抽出し,将来行動を予測することを目的としている.しかしユーザの行動はその付帯情報に応じて変化する場合もあり,データ系列のみからは必ずしも予測することはできない.本稿では,ユーザが移動する際の付帯情報を利用することで,ユーザの移動先を予測する方式を提案する.提案方式では,位置情報と,付帯情報としての日時情報を含むユーザの移動履歴データを蓄積し,エントロピーを評価指標として用いることで目的地と因果関係のある日時条件を日時カテゴリとして選択する.そして選択された日時カテゴリを利用することでデータ系列のみからは判断できない目的地の予測を可能とする.カーナビゲーションシステムにより収集された移動履歴データに対して提案方式を適用した結果,被験者がある地点を出発してから所定の時間走行する区間において,従来方式に比べて予測精度が高く,本方式の有効性を確認することができた.
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