本論文は, 実験心理学の分野で提案されたヒトのボール捕獲時の動作戦略をもとにロボットにボール捕獲タスクを行わせるという, 実験心理学とロボティクスの融合により, 視覚情報に基づくロボットの制御(ビジュアルサーボ)において新たな知見を見出そうとするものである.実験心理学では動作戦略モデルの提案とその実験的検証のみで, 動作生成方法の導出は困難であった.これに対して, 本研究では, ヒトの代わりに視覚をもつ移動ロボットに対して, ボール捕獲タスクのための視覚フィードバック軌道制御手法を導出し, この方法によれば, 単眼視でも3次元的に移動するボールを捕獲できることを計算機シミュレーションにより示した.さらに, ヒトのボール捕獲時の動作戦略モデルをもとにロボットに適した動作戦略モデルを提案し, このモデルに基づく軌道制御手法を用いて, 移動ロボットによるボール捕獲タスクが実現できることを実験的に検証した.
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