知能と情報
Online ISSN : 1881-7203
Print ISSN : 1347-7986
ISSN-L : 1347-7986
17 巻, 3 号
選択された号の論文の28件中1~28を表示しています
目次
追悼
巻頭言
特集
解説
特集論文
原著論文
  • 山田 誠二, 山口 智浩
    原稿種別: 本文
    2005 年 17 巻 3 号 p. 289-297
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    擬人化エージェントと人間との間に効果的なコミュニケーションを実現するためには, 双方が相手の表情から相手の感情, 負荷状態などの内部状態(マインド)を同定し, 相手のマインドに沿った行動をとることが重要である.しかし, 人間と擬人化エージェントが互いに相手の表情からマインドを同定することは, 一般に困難である.なぜならユーザはエージェントの表情の解釈において, 個人差, 文化的差異などをもつため, すべてのユーザにとってマインドを容易に推定できる表情をもったエージェントを設計することは難しいからである.本論文では, 人間と擬人化エージェントがマインドマッピングをお互いに学習して相互適応を実現する枠組みを提案する.マインドマッピングとは, 人間や擬人化エージェントの表情からマインドへの写像である.人間とエージェントは, 相互読心ゲームと呼ばれるゲームを行うことにより, 相手のマインドマッピングを学習していき, 相互適応が実現される.この相互適応において, エージェントは, 観測された人間の顔画像を事例とした事例に基づく学習により, マインドマッピングを学習し人間に適応する.一方, 人間側は自由に学習をしてエージェントに適応する.PCとCCDカメラを用いてこの枠組みを実装し, 我々の枠組みで実際にマインドマッピングの相互適応が実現されることを実験的に示す.また, マインドマッピングの相互適応を高速化するヒューリスティックスを提案する.
  • 宇都宮 淳, 小松 孝徳, 植田 一博, 岡 夏樹
    原稿種別: 本文
    2005 年 17 巻 3 号 p. 298-313
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    人間の発話意味獲得メカニズムをコンピュータやロボット上にモデル化し, その学習過程の再現を試みようという研究が近年盛んに行われている.しかし, その多くは学習者のみならず教示者も相手に適応して自らの行動(教示方略)を変化させているという相互適応的な視点に欠けている.本論文ではまず, 人間同士の発話意味学習プロセスにおける相互適応を分析する実験を行い, その結果を元に, 教示者の適応を誘発しそれを利用することで発話の意味を学習する発話意味獲得モデルを提案した.特に, このモデルは次の二つの能力を持つように設計された: 1)簡単なものから難しいものへと学習プロセスが遷移する段階的な学習を行う能力, 2)ラケットの移動速度によって自らの学習状態を示すことで, 教示者の適応行動を誘発する能力.このモデルに関する予備知識のない被験者とのインタラクションによって, 提案したモデルが「段階的学習」「教示者の適応誘発」という所望の能力を実現しながら, 与えられる教示の意味を獲得できたかを実験的に確認した.その結果, 音声認識システムの脆弱性により発話意味学習自体は達成できなかったものの, このモデルに対峙した被験者は, モデルの学習状態に応じて自らの教示方略を変化させていたことが観察され, 結果としてこのモデルには教示者の適応行動を誘発する能力があったことを確認することができた.
  • 向井 淳, 今井 倫太, 安西 祐一郎
    原稿種別: 本文
    2005 年 17 巻 3 号 p. 314-324
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    本稿では, コミュニケーションロボットの行動を多様にするための手法として, センサ情報から自発的に行動基準を決定する機構IOAを提案する.IOAは, 他のロボットの行動と周囲の環境を観察しながら自発的に行動基準を生成する.IOAが特に特徴的なのは, 生成される行動基準が短期的に安定しつつも長期的には変動するところである.予め用意された規則に従った行動では, 人間がすぐに飽きてしまうという問題がある一方, 頻繁に行動基準を変化させる手法では, ロボットの一貫した行動規則を人間が見出せなくなり, かえってコミュニケーションの妨げとなってしまう.IOAは, 行動基準の一貫性と変動性の双方を満たすことによってコミュニケーションロボットに必要となる多様な行動を生成することができる.また, 本稿では, 人型ロボットにIOAを実装し, 多様な行動基準が生成されていく過程を実現した.
  • 角所 考, 李 立群, 伊藤 淳子, 美濃 導彦
    原稿種別: 本文
    2005 年 17 巻 3 号 p. 325-339
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    遠隔コミュニケーションにおいて, 利用者の表情を擬人化エージェントによって伝達するエージェント媒介型表情コミュニケーションでは, 利用者と擬人化エージェントという異なる顔による表情の間で, お互いに同一のもの同士を対応付ける表情マッピングが必要となる.この表情マッピングとして具体的にどのような対応付けが望ましいかは個人の主観に依存することから, 本研究ではこれをエージェント媒介型表情コミュニケーションのための利用者とのインタラクションを利用して獲得することを目指す.このとき, 獲得した表情マッピングが利用者の満足するものとなるには, 表情マッピングの対応付けが, 利用者の主観に一致したものとなっていることに加えて, それを実現する際の誤差が, 利用者の許容範囲内に収まっている必要がある.本研究ではこれら2点を考慮し, 表情マッピングに対して利用者の要求する対応付けと利用者の許容する誤差範囲を, 利用者とのインタラクションによって得られる事例から推定すると共に, それらを実現する表情マッピングをRBF (Radial Basis Function)ネットワークを用いて学習する手法を提案する.
  • 片上 大輔, 大村 英史, 安村 禎明, 新田 克己
    原稿種別: 本文
    2005 年 17 巻 3 号 p. 340-350
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    社会的知能は一人の人間とのインタラクションにより作られるものではなく, 複数の人間とのインタラクションにより生まれるものだと言われている.しかし, エージェントを取り囲む複数のユーザを含めた系のヒューマンエージェントインタラクションにおける研究はあまり行われていない.本研究では, 複数のユーザとの社会的インタラクションから社会的学習を行うマルチューザ学習エージェント(Multi User Learning Agent: MULA)を提案する.MULAにおける社会的学習はパラメータの個別化による直接的学習と各ユーザとの過去経験とユーザ間の類似性による間接的学習の2つの学習により行われる.特に間接的学習は他ユーザとの経験を対象のユーザに役立てるものであり, 複数のユーザとの経験から対象ユーザへの適切な行為を実現するといった社会的な学習を実現している.これをマルチューザ学習エージェント(MULA)としてモデルベース学習システムに基づいて構築し, クラシファイアシステムの一つであるXCSを拡張することにより実現した.インタラクション(行為-評価)の類似性から, 対象のユーザに対するインタラクションの対応を学習・予測するタスクにおいて実験を行い, その効果を検証した.
書評
用語解説
学生部会ΔNGLE
博士論文紹介
  • 岡本 渉
    原稿種別: 本文
    2005 年 17 巻 3 号 p. 354-
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    自然言語による対話システムにおいて, 日常会話や話し言葉等を扱うには, 常識知識や暗黙知等に含まれる, ファジィ量限定詞およびファジィ質限定詞を含む命題を知識として扱い, さらにあいまいな質問に対し, これらの知識命題に基づいて応答文を作成する必要がある.しかし, そのために必要な命題の変形を体系的に扱いかつ有効である手法が存在しない.本研究においては, ファジィ量限定詞, ファジィ主語, ファジィ述語, 真理値限定詞に同時に変形を加え, かつ同等な意味を持つ命題を求める, 命題の一般的な変形方法の提案を行った.また, 適用例によりその有効性を確認した.上記変形手法により, 知識命題と質問との直接的な適合度の計算が可能となり, あいまいな質問に対する回答文を直接作成することができる.この結果, あいまいな意味語を含む自然言語による対話システムを容易に構築できる.
  • 猪平 栄一
    原稿種別: 本文
    2005 年 17 巻 3 号 p. 354-
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    本論文では, 高度な自律移動ロボットのための動的再構成可能なシステムモデルを提案し, それに基づいてソフトウェアアーキテクチャと実時間制御ソフトウェアを設計, 開発した.動的再構成可能なソフトウェアは, システムの稼動中にアルゴリズムを動的に変更できるため, ロボット本体の構成, 作業目的, 環境の変化に対して柔軟に対応する必要がある自律ロボットに対して有効である.本論文では, 動的再構成可能なソフトウェアを簡素化するために階層構造を導入し, 順次処理における動的再構成機能を備えたシステムモデルを提案した.また, 動的再構成時においても制御システムの理想的な応答を実現する機能をモデル化した.提案したモデルに基づいて汎用性, 移植性の高いソフトウェアアーキテクチャを構築し, それに従ってヒューマノイドロボットの実時間制御ソフトウェアを実装した.ヒューマノイドロボットの作業実験により, 本モデルの有効性を確認した.
一般論文
原著論文
  • 櫻井 義尚, 本多 中二
    原稿種別: 本文
    2005 年 17 巻 3 号 p. 355-366
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    本論文ではソフトコンピューティング的モデリング手法を提案する.ソフトコンピューティングとは従来からの整合性の取れた綿密なアルゴリズムや複雑な数理モデルを用いた手法に対して, 人間らしいあいまいさを許容し, むしろそれを活かして過度な精密性の追求を避けることで扱いやすさ, 頑健性, 低コスト性などを目指す情報処理手法である.われわれもこの観点から, 視覚認知・習熟のプロセスを参考に独自のソフトコンピューティング的モデリング手法を提唱し, いくつかの応用を試みてきた.それは対象システムの特性を, 単純であいまいさのある複数の2次元の幾何学的パターン情報に置き換え, 学習によりそれらのパターンを変形していき, 最終的にそれらをファジィ的に組合せ, 対象システムのモデリングを行うもので, 視覚認知・習熟のプロセスに見られる局所的な特徴からより大局的な視覚パターンの検出や, いくつもの情報表現・処理の並列性を参考に作成された.われわれはこの手法をパターン情報による能動的学習法(Pattern Information Based Active Learning Method, 以下PBALMとする)と呼んでいる.PBALMは, 繁雑な数式や複雑なアルゴリズムは一切使用せず, 単純な操作のみによっているのが特色である.また, 上記のように対象を単純なパターン情報に分解して扱うので, パターンで表現しうる限り広い非線形性に対応でき(頑健性), 学習もそのパターンの変形というわかりやすい形態で行なえ(扱いやすさ), また一般に学習回数は少なくてすむ(低コスト性).本論文では, まずPBALMの考え方, 特性について述べ, 引き続き非線形システムである空調吹き出し口風速特性のモデルを構築し, 精度よくモデリングができることを示す.さらに倒立振子の制御問題を取り上げ, 人間の制御データを用いたPBALMの学習から, 有効な制御ルールが獲得できることを示す.
  • 須藤 康裕, 栗原 正仁, 三田村 保
    原稿種別: 本文
    2005 年 17 巻 3 号 p. 367-375
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    ファジィ制約充足問題は人工知能の基礎戦術として知られる制約充足問題(CSP: Constraint Satisfaction Problem)を拡張したモデルである.CSPおよびファジィCSPにおいて, 変数の領域は有限離散集合として定義される.しかしながら数理計画法に代表されるように, 現実には変数領域として実数値をとる場合も多く, 現実世界の問題をCSPとして定式化する場合に制限となることがある.本論文では, より自由な問題表現を可能にするため, 変数領域が連続領域および離散領域を併せ持つ混合領域ファジィCSP(HDFCSP: Hybrid Domain Fuzzy CSP)を提案し, 反復改善に基づくその解法Spread Repairアルゴリズムを提案する.また実験により, 連続領域を単純に離散化して得られる従来のファジィCSPアルゴリズムと比較し, 解の質および計算時間の面でHDFCSPおよびSpread Repairアルゴリズムが優れていることを示す.
  • 中村 剛士, 春田 真宏, 巣 宇燕, 何 立風, 伊藤 英則
    原稿種別: 本文
    2005 年 17 巻 3 号 p. 376-385
    発行日: 2005/06/15
    公開日: 2017/05/03
    ジャーナル フリー
    ノンフォトリアリスティック・レンダリング(NPR)の一課題である画像間色彩変換について取り上げ, これを対話型進化計算によって実現することを提案・実装する.従来の色彩変換法がユーザの意思と関係なく一意に出力を決定するのにたいし, 本研究ではユーザの嗜好に合致した多様な出力を獲得することを目指す.また, IECによる最適解到達までのユーザの負荷と時間的コストを削減するための分割遺伝子コーディングと, ユーザの評価値履歴を反映した色彩適応確率を導入し, 評価実験によってその有効性を示す.
学会から
会告
feedback
Top