大学評価・学位授与機構(NIAD-UE)では, 短期大学・高等専門学校卒業者及び専門学校修了者等を対象に, 単位累積加算を基にした学士の学位授与事業を行っている.この制度を利用し学士の学位授与を希望する者は, 各専門分野ごとに定められた所定の単位数以上を修得しなければならない.申請者は, 自らの判断で修得した科目をNIAD-UEが定める科目区分に合致するように分類・整理し申告する.それに対し, NIAD-UEでは, 申請者による分類の正しさを, 各専門分野の専門委員が, 各科目区分ごとに設定されている例示科目を手がかりに, 申告された科目のシラバスを読むことで検討している.しかしながら, 近年の申請者数の増大から, この作業には膨大な時間と労力を要しており, 情報技術を活用した科目の分類支援が望まれている.これに関し, 各科目区分ごとに, その科目区分のみに含まれている特徴的な用語をキーワードとして抽出することで, 専門委員の分類作業を支援するシステムとして, 「科目分類支援システム」(CCS)が提案されている.CCSを用いて, ある科目区分に分類される可能性のある科目を探す場合には, その科目区分のみに含まれるとされた用語を含むか否かの基準で判定が行われる.そのため, そのような用語をシラバス内に含む科目は全て同列に扱われる.しかし, NIAD-UEの学位授与事業では必ずしもすべての科目を分類する必要はなく, ある一定の基準を満たした時点で終了することが可能である.そこで本論文では, シラバス内に存在する用語の各科目区分への結び付きの強さを連続値で評価することで, 分類を試みている科目区分に帰属する可能性の高い順に申告された科目を専門委員に提示する「分類候補数の能動的調整を可能にした科目分類支援システム」(ACCS)の構築を行う.これにより, 専門委員等が自ら能動的に判定すべき科目の候補を調整することが可能になり, 分類作業のさらなる負担軽減が期待できる.平成15および16年度に実際に申告された科目に適用することで提案手法の有効性を確認する.
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