知能と情報
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18 巻, 2 号
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目次
巻頭言
特集:Webインテリジェンスとインタラクション
解説
特集論文 : Webインテリジェンスとインタラクション
総説論文
原著論文
  • 林 貴宏, 片平 翔, 犬塚 敦史, 尾内 理紀夫
    2006 年 18 巻 2 号 p. 161-172
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/20
    ジャーナル フリー
    本論文は, Webページ集合から個人ページを自動抽出する手法を提案, 評価する. 提案手法は評判情報検索に向けたコンテンツフィルタリングの一手法として位置づけられる. 未分類のWebページ集合から個人ページを抽出するため, 提案手法は個人ページで出現する4種類の特徴に着目する. 提案手法は, これらの特徴を量的に測定し, 測定結果に基づきページ集合に対しk-meansクラスタリングを適用し, ページをグループ分けする. さらに, これらのグループの中から, 個人ページで構成されるグループを検出する. 実験により個人ページの抽出精度を求めた結果, キーワード型検索エンジンを単独で使用する場合と比較して平均2.1倍の精度向上が確認できた.
  • 河合 由起子, 熊本 忠彦, 田中 克己
    2006 年 18 巻 2 号 p. 173-183
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/20
    ジャーナル フリー
    近年, 複数のWebサイトにまたがって存在している同一テーマのWebコンテンツをまとめて提示する情報統合に関する研究はますます盛んになっており, 大量の情報をどのように分類し統合して提示するかが大きな問題となっている. 筆者らは, 複数のニュースサイトから収集した大量の記事をユーザの閲覧履歴に基づいて分類し, そのユーザが使い慣れているニュースサイトのトップページに写像して提示するという新しいタイプのニュースポータルサイトシステム「My Portal Viewer (MPV)」を提案してきた. MPVは, ユーザの閲覧した記事から頻度情報を用いてキーワード (ユーザが興味のある語) を抽出し, その興味語の有無に基づいて収集した記事を分類する. このとき, 新しく生成したカテゴリの名称を興味語そのものとすることにより, それぞれのカテゴリにどのような記事が含まれているか判別しやすくしている. また, 各カテゴリをユーザが普段利用しているニュースサイトのトップページに, 元々のレイアウトを維持しつつ再配置することにより, 読みたい記事がどこにあるか効率的に探し出せるようになっている. しかしながら, その一方で, 興味語の有無という分類基準だけでは, ユーザの好む記事と好まない記事をうまく分離できないことがあった. そこで, 本論文では記事の印象というこれまでにない新たな分類基準を導入し, ユーザの記事に対する選好を印象と興味の両面からモデル化するとともに, 提案モデルをMPVに実装し, ユーザが共感 (感情移入) しやすい記事を優先的に提示するMPV Plusについて検討する.
  • 城市 広大, 三好 力
    2006 年 18 巻 2 号 p. 184-195
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/20
    ジャーナル フリー
    インターネット上のWEBページを検索するには検索エンジンを利用するのが一般的であるが, 検索結果の中にユーザーの求める情報を持つページが高い順位で表示されない問題が指摘されている. この理由の一つとして, ユーザーが入力した検索語を含むページを, 検索エンジンが単純に選択していることが挙げられる. 言葉には意味的な多義性や曖昧性があるため, ユーザーがある検索意図を持って検索語を入力しても, 使用した検索語によっては意図と異なる種類のページが混在した状態の検索結果になりやすい.
    この様な検索結果を改善する方法として, 検索結果に出力されたページ群を内容別に自動分類する手法が研究されており, その一手法としてベクトル空間法を用いるのが一般的である. ベクトル空間法はページ内容の類似性を, 使用単語を次元としたベクトル空間により求める手法であるが, ベクトル空間法をそのままWEBページ分類に適用した場合, 2つの問題点が挙げられる. 1つはページ中に1回でも使用された単語全てを用いるので次元数が大きくなり, 計算コストが大きくなってしまうこと, もう1つはページ間の類似性だけを計算するのでグループの内容を示す言葉を抽出することができず, ページ分類後に各グループの名前もしくは基準をユーザー側に提示できないことである.
    我々はこの問題点に着目し, 改善を加えることで検索結果のWEBページ群を内容別に自動分類するシステムを提案した. 次元数が大きくなる問題に対しては, ファジィ推論を用いてベクトル空間に使用する単語を一定数だけ選択することで解決を図る. ページ全体での単語の使用傾向をファジィルールに当てはめることで, 重要な単語とそうでない単語との判別が可能であると考えた. もうひとつの問題である, ユーザーに提示するグループの基準については単語の共起頻度を用いることでグループ名を自動作成し, それを基にグループの代表となるページを選択する手法をとった. また, システムについての実験を行い, 選択する単語の総数が200のときが計算コストと分類精度の点から見て最適であること, システムによる分類結果から人間の感覚に近いWEBページの分類が行われることを確認した.
  • 荒谷 寛和, 藤田 茂, 菅原 研次
    2006 年 18 巻 2 号 p. 196-212
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/20
    ジャーナル フリー
    これまで我々は, ウェブ検索エンジンのランキング手法として, ウェブページ間相互評価手法を提案してきた. 従来のウェブページ間相互評価手法は, 適用対象とするウェブページ集合の中に高適合および適合ページが15%以上含まれていない場合に, ランキング精度が改善されないという課題が残されていた. この課題に対し, 本稿では, 新たにテキスト要約技術と適合度の推定を用いる評価関数を組み合わせる事で, 手法のランキング精度の改善を行った. 提案手法を評価するために, 第3回NTCIRワークショップのウェブ検索タスクで用いられたテストコレクションによる評価を行った. この結果, 従来手法で課題であった状況に対する改善が見られ, 同一のテストコレクションを用いた, 他の検索システムとの検索結果の評価尺度であるDCGによる比較において, 本手法がより良い順位付けを行っている事を確認した.
  • 村田 剛志
    2006 年 18 巻 2 号 p. 213-222
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/20
    ジャーナル フリー
    興味を共有するWebユーザを発見する試みとして, 本論文はWeb視聴率データ (ログデータ) からユーザコミュニティを発見する手法を提案する. 本手法はURLに含まれるtermはそのページ内容を特徴づけることが多いという前提に基づき, ページの内容を用いずにWeb視聴率データから得られるユーザとtermのグラフから完全2部グラフを探索する. 実験の結果, 本手法が多くの興味深いユーザコミュニティを見出すことに成功している. 本論文の手法はWeb構造マイニングでしばしば用いられる構造ベースのアプローチであるが, Web利用マイニングにおいても有用である. 発見したユーザコミュニティにおけるtermはユーザコミュニティにおけるラベルとみなすことができ, 人出による分析を容易にしている.
  • 濱崎 雅弘, 松尾 豊, 中村 嘉志, 西村 拓一, 武田 英明
    2006 年 18 巻 2 号 p. 223-232
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/20
    ジャーナル フリー
    本論文では, Webマイニングとソーシャルネットワークサービス, そして実世界でのICカードを用いた学会支援システムについて述べる. 我々は, 人工知能学会で2003年, 2004年, 2005年と3年間, 学会支援システムを運用している. 本稿では, 特にシステムの中で得られた3つのデータに着目し, その分析を行う. 3つのデータとは, Webマイニングによって得られた参加者の関係性のデータ, システム上でソーシャルネットワークとして知り合い登録を行った知り合い関係のデータ、そして実世界でユーザが情報キオスクを利用したというインタラクションのデータである. この3つのデータを比較した結果, Web上の情報が知り合い登録の生成に, 知り合い登録情報が実世界でのインタラクションに, それぞれ関係があることがわかった. これらの知見は実世界指向インタラクションのシステムデザインにとって有用であると考えられる.
  • 佐々木 儀広, 松村 真宏
    2006 年 18 巻 2 号 p. 233-239
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/20
    ジャーナル フリー
    NPO (NonProfit Organization) は, 日本語では「非営利組織」と訳されることからも分かるように, 利益の追求ではなく社会的な使命を達成することを目的にした組織である. NPOはその目的ゆえ, スタッフを動かすためにはミッションの共有が不可欠である. しかし, 組織が大きくなりスタッフが増えてくると, 組織や仕事内容が細分化し, 次第にミッションを共有する事が難しくなる. そこで重要になるのが, リーダーシップ行動である. 本論文では, 組織運営のために必要なリーダーシップ行動を明らかにするために, NPO法人ドットジェイピーを対象としてアンケートによる満足度調査とIDMによるメーリングリストの分析を行った. その結果, 運営上の実質的なリーダーであるエリアマネージャは, スタッフに指示を出すだけでなく, スタッフの発言にしっかりと耳を傾けることが重要であることが明らかになった.
  • 角 薫, 長田 瑞恵, 田中 克己
    2006 年 18 巻 2 号 p. 240-250
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/20
    ジャーナル フリー
    本稿では, 子どもを対象にコンテンツの理解を支援するシステムInteractive e-Honの情報提示モデルについて論ずる. Interactive e-Honは, 電子コンテンツのテキスト情報をもとに, アニメーションと対話表現での分かりやすい絵本の世界へのメディア変換を行い, 親子エージェントの情報提示モデルによりコンテンツを説明する. ここでは, 意味情報処理による意味タグ付与, アニメーションアーカイブとアニメーションテーブルによるアニメーションの生成, 意味タグによる対話表現の生成, および比喩表現のアニメーションによる概念の説明が行われる. 親子エージェントによる情報提示モデルの効果について実験を行い, 親子エージェントによる情報提示モデルが視聴・理解を妨げない有効な特徴であることを示した.
  • 松下 光範, 加藤 恒昭
    2006 年 18 巻 2 号 p. 251-264
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 意思決定や問題解決のために大量のデータを探索的に分析する作業を支援することである. 我々のアプローチは, 分析のコンテキストを考慮することによって, 分析者とシステムとの間のインタラクションを“自然なやりとり”として実現しようというものである. 我々はこのアプローチに基づき, 分析者の要求に応じた適切なデータを視覚的に表現するインタラクティブシステムInTRENDを構築している. InTRENDはユーザから与えられる自然言語質問を解釈してそれに適したグラフを作成し, アニメーションを用いて提示する. 本稿ではInTRENDの概要, および我々のアプローチの有効性を検証するために行ったユーザ実験について述べる.
  • 酒井 浩之, 増山 繁
    2006 年 18 巻 2 号 p. 265-279
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/20
    ジャーナル フリー
    本論文では, ユーザの要約要求を反映するためにユーザとのインタラクションを導入した複数文書要約手法を提案する. 従来, 文書自動要約とは, 主として1つの文書から1つの要約を自動的に生成する技術であった. しかしながら, 人間が知的な活動を行うためには1つの文書の要約を生成するよりも, ある事柄に関連した複数の文書から1つの要約を生成する技術 (すなわち, 複数文書要約技術) の方がより重要である. なぜなら, 人間の限られた情報処理能力では, 検索結果などで得られた関連した多くの文書を読むのに多大な時間が必要であり, それらを1つの要約にまとめることで読む時間の大幅な削減が可能になるからである. しかしながら, 一般にユーザごとに興味のある情報が異なるため, ユーザによって必要な情報が異なる. そこで, 本論文では, 複数文書要約においてユーザが知りたい情報を“要約要求”と定義し, ユーザの要約要求を考慮しそれに適合した要約を生成できる複数文書要約手法を提案する. 具体的には, 要約対象となる, ある事柄に関連した複数文書からその事柄に関連のあるキーワードを抽出しユーザに提示する. ユーザは提示されたキーワードから要約要求に適したキーワードを選択する. その選択されたキーワードによって生成される要約が変化する.
    提案した要約手法の評価のために, 国立情報学研究所主催の, 検索と要約の評価のためのワークショップNTCIR4における要約タスク (TSC3) に参加した. その結果, 複数文書要約タスクにおいて良好な成績を得ることができた. なお, TSC3へは, 本システムによってスコア付けされたキーワードのうち上位12個を必ず選択するように変更することで, ユーザとのインタラクションを行わない複数文書要約システムとして参加した. また, ユーザとのインタラクションによる複数文書要約への効果を評価し, 提案手法の有効性を確認した.
  • 砂山 渡, 橘 啓八郎
    2006 年 18 巻 2 号 p. 280-289
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/20
    ジャーナル フリー
    我々はさまざまな生活や活動の局面において, 文章を読み書きする機会がある. 理解しやすい文章は前後のセグメント間の関係が明確であり, 全体を通して一貫した話の流れが存在する. この文章の流れを評価することができれば, 文章の理解や作成に関する有効な支援が行なえるようになる.
    そこで本論文においては, 文章の流れ (観点に基づく一貫性) をモデル化したサブトピックモデルを提案し, 文章の流れを定量的に評価する指標を提案する. 提案するモデルの妥当性を示す予備実験を行なった上で, 既存の文章のセグメントの並べ替えを行なう実験により, 提案する指標が文章の流れを評価できることを検証した.
  • 櫻井 茂明, 植野 研
    2006 年 18 巻 2 号 p. 290-298
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/20
    ジャーナル フリー
    本論文は時間情報が付随したテキストデータを分析する方法を提案する. 提案法は一種のシソーラスであるキー概念辞書に基づいて, テキストデータからイベントを抽出する. また, 時間情報及びテキストを特徴付ける属性に基づいて抽出されたイベントからイベント系列データを生成する. 最終的には, イベント系列データから分析者によって指定されたパターン制約条件を満たすイベント系列パターンを抽出する. 抽出されたパターンは, 将来発生するイベントの予測や目標に到達するためのイベントの提案に利用することができ, 分析者の意思決定を支援することができる. 本論文は提案法をSales Force Automationシステムから得られる営業日報に適用し, その効果を検証する.
  • 芳鐘 冬樹, 井田 正明, 野澤 孝之, 宮崎 和光, 喜多 一
    2006 年 18 巻 2 号 p. 299-309
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/20
    ジャーナル フリー
    大学で行われている授業の内容を示す情報源として, シラバスは大きな役割を担っていることから, シラバスを効率的に検索するための技術が求められている. 特に, 教育課程の評価など, 厳密さが要求される場面では, 検索の網羅性, 正確さとともに, 検索結果の提示方法の洗練も望まれる. 本研究では, ユーザが入力した検索語の関連用語を考慮した検索語拡張を行い, さらに, 関連用語の系列表示のもと, 検索結果を分類して提示することで, シラバス検索の利便性を向上させるシステムを開発した.
  • 國近 秀信, 松田 瑞生, 平嶋 宗, 竹内 章
    2006 年 18 巻 2 号 p. 310-318
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/20
    ジャーナル フリー
    探求的学習においては, 学習の結果として生じた興味や疑問を追求することでさらに新たな情報を獲得したり, 既有の情報を再構成したりすることが重要である. 本論文では, Webを利用したe-Learningにおける教材外への探求的学習の支援を目的として, あらかじめ用意された教材への情報追加および学習者自身の理解を反映した教材の再構成による教材の成長活動を可能とする学習支援環境の実現について述べる. また, 本学習支援環境の実用性および学習への有用性の確認のために実施した評価実験についても報告する.
実践研究論文
  • 金子 大輔, 高山 毅, 池田 哲夫, 長内 亘
    2006 年 18 巻 2 号 p. 319-336
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/04/20
    ジャーナル フリー
    近年, 検索エンジンの検索結果をユーザが理解しやすいように, グループ分けして表示する研究が進行している. 既定のカテゴリ階層をカテゴリ名として採用する「分類」や, 検索結果と検索のキーワードから抽出したカテゴリ名を動的に付与する「クラスタリング」等である. しかしながらいずれもユーザにとって, 「カテゴリ名やカテゴリ分けの仕方がユーザにとってわかりやすく, かつ無駄もない, 意味的妥当性」「ユーザが感心を持ったカテゴリ内でWeb文書群が問題解決に効果的な情報を与える, 適切性」「望ましくない形式のページが含まれない, 形式的妥当性」「必要なWeb文書がカテゴリを横断して存在せず目的の情報を見つけやすい, カテゴリの非横断性」の面で充分とは言えない. 本論文では, 従来手法の問題分析に基づき, 六つのページタイプ群をカテゴリの候補とし, ユーザの選択入力に応じて適応的に分類を行なう手法を提案する. また, 「提案手法に基づく試作システム」と, 「グループ分けをして表示する機能を持つ公開の検索エンジンとして代表的なYahoo, Vivisimo」との比較評価実験を行なう. 試作システムはこれらの従来システムと比較して, 最大で36.7%優位な評価値を達成した.
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