知能と情報
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20 巻, 4 号
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目次
巻頭言
特集:「ソーシャルインテリジェンス」
解説
特集論文: ソーシャルインテリジェンス
原著論文
  • 久保田 直行, 脇阪 史帆, 小嶋 宏幸
    2008 年 20 巻 4 号 p. 449-460
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    近年,ロボットは,人間と混在する一般の環境での行動が求められている.その様な環境では,ロボットの行動を事前に設計しておくことが困難であるため,ロボットは自身の経験から行動を学ばなければならない.そのような背景のもと,シミュレーション上で学習を併用する研究が行われているが,実環境とシミュレーション環境とのギャップのため,学習した行動が実環境で使えないなどの問題が指摘されている.そのため,本研究では実空間と仮想現実空間とができる限り,シームレスにつながった仮想現実空間を構築し,ロボットが環境や人間との相互作用を学習するための方法論を提案する.さらに,仮想現実空間上での行動制御や人間との相互作用に基づく実験を行った.実験結果では,情動に基づく環境の知覚が有効であること,また,人間とのコミュニケーションが円滑になることを示した.
  • 岡 夏樹, 増子 雄哉, 林口 円, 伊丹 英樹, 川上 茂雄
    2008 年 20 巻 4 号 p. 461-472
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    迷路内のエージェントを音声で自由に誘導するタスクを設定し,そこでのインタラクションを通じて誘導教示の意味を獲得するアルゴリズムを提案する.自由発話からの学習では,誤りを含み,頻度に偏りがある,多種類の少数データからの学習が求められる.本論文では,Fisherの直接確率計算法を用いることにより,そのような性質を持つデータの中から,共起頻度が有意に高い言葉と状況(意味)の対を精度良く見つける方法を提案し,先行研究の学習アルゴリズムと比較して,学習精度が向上することを実験的に示す.
  • Ryota YAMADA, Hiroshi NAKAJIMA, Jong-Eun Roselyn LEE, Scott Brenner BR ...
    2008 年 20 巻 4 号 p. 473-486
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    We propose a software platform for applications based on socially intelligent agents (SIAs). SIAs are software agents which manifest social intelligence. Although there are many types of social intelligence, we focus on two types, social intelligence for providing emotional support and social intelligence for providing cognitive support. By applying these types of social intelligence, our SIAs are able to simulate human social behavior. We demonstrate how we created the SIAs and describe the conceptual architecture of our software platform. We also show the mechanism for generating the agents' social behavior, which makes our software platform unique. According to the media equation theory, we expect SIAs to benefit users. To examine the effects of SIAs, we designed and implemented two applications. We provide explanation about how SIAs function in these applications and discuss further implications of social intelligence.
  • 伊藤 冬子, 佐々木 康成, 廣安 知之, 三木 光範
    2008 年 20 巻 4 号 p. 487-499
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    近年,weblog(blog,ブログ)や写真共有サービスなどにおいて日記や写真など自らの体験を記録したコンテンツを共有し,それらに様々な情報をタグとしてユーザ自身が付与することでコンテンツ管理を行うことが一般化してきている.本稿ではこのようなユーザの手動のアノテーションのうち,感情や意思などの主観的な情報をコンテンツに付与する行為を主観アノテーションと定義した.現在はタグによる主観アノテーションが一般的であるが,主観情報の中でも感情に関しては言語表現のみでは表現できない場合が存在すると考えられる.そのため,本稿では顔,手,足の動きを操作可能なアバターを主観アノテーションにおける感情表現の方法として利用することを提案した.本稿では,アバターから想起する感情を実験により測定し,時間経過を伴う場合でも個人が想起する感情に一貫性が存在することを確認した.また,複数人の間においても同様に一貫性の存在を確認した.このことから,アバターによる感情表現で,タグと同様にコンテンツの分類などに利用できることが分かった.さらに,記事や写真などのコンテンツに対して抱いた感情の表現能力や表現の容易さに関して,言語表現であるタグと非言語表現であるアバターを比較したところ,アバターの方が満足のいく感情表現が可能であることが分かった.また,文脈やメッセージを読み取ることが難しい写真などが対象コンテンツの場合は,曖昧で言語化が難しい感情を抱きやすいことから,アバターによる感情表現が好まれることが分かった.
  • 小松 孝徳, 山田 誠二
    2008 年 20 巻 4 号 p. 500-512
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    本研究では,ユーザに対して特定の態度を想起させるような人工音を,それぞれ異なる外見を持つエージェントから表出させて,実際のユーザがそれらの人工音にこめられた態度をどのように解釈するのかを実験的に考察した.その結果,たとえ同じ人工音であってもその情報を表出するエージェントの外見が異なると,その人工音が必ずしも同じ意味として解釈されないことが明らかになった.具体的には,予備実験で選定した被験者に対して特定の態度を想起することができる8種類の人工音をMindStorms,AIBOといったエージェントから表出した場合,その態度一致率は,PCからの表出に比べて有意に低くなることがわかった.この結果は,同じ情報であっても外見の異なるエージェントからそれらを表出することで,異なる意味として解釈されてしまうことを明確に示していた.また,ポジティブ/ネガティブといった態度をユーザに解釈させる場合,1).エージェントの外見から予期できるような情報を用いた上で,2).その情報に対して「自然なエネルギーの流れから逸脱させるか否か」という属性を付与する,という二点を満たすことが重要だと考えられた.
  • 鈴木 聡, 森島 泰則, 中村 美代子, 槻舘 尚武, 武田 英明
    2008 年 20 巻 4 号 p. 513-525
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    本研究では身体化エージェントの登場位置・身体方向に注目し,物理空間・仮想空間の間に寸断されたユーザと身体化エージェントの位置関係を乗り越え,対等な社会的関係の構築が行える環境を追求する.身体化エージェントの身体方向と,画面奥行き方向の仕切りを基準とした身体化エージェントの登場位置に着目し,これらのユーザへの影響を心理実験により検討を行った.この際,人間同士の2者対話における身体配置の選好における男女差の存在が知られているため,考慮に入れた.実験1( N=48)では作業の遂行(写真の記憶再認課題)と身体化エージェントの印象に対して上記の要因が与える影響について,男女差も考慮の上検討した.実験2( N=51)においては身体化エージェントの身体方向の,ユーザが認知するエージェントとの距離への影響について実験を行った.これらの実験の結果,エージェントの登場位置のみならず,身体方向もエージェントとの距離のユーザの認知に影響し,男性のユーザは女性のユーザより距離を離した形でのエージェントの身体配置を好む可能性が示唆された.身体化エージェントの身体配置,およびその影響の男女差を踏まえた身体化エージェントの設計の必要性を本研究は示している.
  • 岡本 雅史, 大庭 真人, 榎本 美香, 飯田 仁
    2008 年 20 巻 4 号 p. 526-539
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    本研究は,漫才対話が二者間での対話形式を取りながら第三者である観客への情報伝達を可能とする〈オープンコミュニケーション〉構造を持つことに着目し,発話・視線・姿勢などのマルチモーダルな要素間の相互作用の分析を行うことにより,二体の擬人化エージェントの対話を通じてユーザに効果的にインストラクションを行う対話型教示エージェントモデルを構築する上で有用な知見を得ることを目的とする.特にオープンコミュニケーションの大きな特徴の一つであるコミュニケーションの「外部指向性」に焦点を当て,非明示的な観客への情報伝達である「外部指向性」と直接的に観客への働きかけを行う「内部指向性」の両者が,どのように演者内のマルチモーダルな振る舞いと演者間のインタラクションによって実現されているかをプロの漫才師の対話映像の分析から探った.結果として,オープンコミュニケーションにおける指向性の顕在化は,今回分析対象とした二組の漫才コンビ間で異なる形式を持つことが明らかとなり,オープンコミュニケーションの指向性を捉える上でマルチモーダルなチャネル間の相互関係が重要な役割を果たしていることがわかった.
  • 榎本 美香, 中野 有紀子
    2008 年 20 巻 4 号 p. 540-556
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    本研究では,エージェントを相手にした時のインタラクション方略に人相手のときとの異同があることを示し,人間の行動モデルをベースにヒューマンエージェントを実装するとき,考慮すべき人間のインタラクション方略のあることを提案する.ここでは,パソコン操作課題における人と人,人とエージェントの対話を素材として,どのように言語・非言語行為がインタラクションの中で配置されるのかを分析することで,エージェントに対したときに選択される方略を明らかにする.まず,人対人と人対エージェント対話の基礎的特徴を観察し,人対エージェントの対話では人の発話量が少なく,相づちや応答が稀にしか差し挟まれないことを示す.次に,非言語行為を含めた人対人の行為の配置規則を定式化し,人対エージェントのインタラクションにおいてこの規則がどのように破られるかを示す.そして,この違反が,相づちや応答の変わりに,相手発話への理解を示すためになされた補償的行為であることを明らかにする.
  • Ruediger OEHLMANN
    2008 年 20 巻 4 号 p. 557-565
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    The paper describes two related studies that investigated skill transfer between the same workgroups of a bank over a period of 3 months. During this period the smaller group trained the larger group in customer relationship management skills. At the beginning and the end of this period, group members had to describe their interpersonal and intergroup relationships in diagrams using predefined diagrammatic items. The analysis of the diagrams showed that interpersonal characteristics such as friendship, respect, good manners, and interpersonal contact correlate higher with skill transfer (significance level p< 0.01) than intergroup characteristics, which had no significant correlation with skill transfer. A comparison of the two sets of diagrams after two weeks and three months also showed a polarization effect, in that after three months most relationships became more harmonious or more conflict-laden. The latter relationships led to a reduction in skill transfer. This result modifies the contact hypothesis, which emphasized the benefits of close intergroup contact. Consequences for intergroup skill transfer are discussed.
  • 中村 嘉志, 濱崎 雅弘, 石田 啓介, 松尾 豊, 西村 拓一
    2008 年 20 巻 4 号 p. 566-577
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    時間や場所などのユーザの制約のないWeb支援システムと,イベント会場やオフ会の会場などの実世界での活動を支援する会場支援システムとを連携したコミュニティ支援システムの研究が行われている.会場支援システムでWeb支援システムの情報を利用するためには,会場支援システム用のユーザデバイスのIDを Web支援システムのユーザ IDへ対応付け(リンク)する必要がある.本論文では,デバイスをリンク済みのユーザが未リンクのユーザに会場支援システムを推薦し招待するという,利用者間の社会的関係に基づいたユーザデバイスのリンク方法を提案する.これにより,会場支援システムを利用するためのユーザの事前アクションを不要とし,かつスタッフの負荷も小さくすることができる.実世界での利用シナリオを分析し,人の社会的関係により信頼性を確保した招待が実現できるように本システムを設計・開発する.また,運用実験により本システムの効果と有効性を示す.
  • 濱崎 雅弘, 松尾 豊, 武田 英明, 西村 拓一
    2008 年 20 巻 4 号 p. 578-590
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    本論文では,ソーシャルマッチングにおいて人による紹介を用いることを提案し,その有用性とそれを助ける支援システムについて考察を行う.紹介は,私たちが日常生活においてごく一般的に行う行為であり,あまりに日常的なため深く考えることは少ないが,それによって出会いの支援や効率化が行われている.しかし「紹介」は人にとっても容易なタスクではない.そこで本研究ではソーシャルマッチングのための紹介支援システムについて考察を行う.我々はプロトタイプシステムを開発し,運用実験を行った.運用結果からは,人による紹介がユーザにとって興味のある相手にコンタクトするのを支援する手法として有効であること,紹介支援として紹介文のドラフトを自動生成することが有効であること,紹介者にとって紹介を希望するユーザがなぜ相手に興味があるのかを示すことが重要であること,そして3者の社会的関係からどのような紹介支援が有効であるかについての知見が得られた.
実践研究論文
  • 島川 はる奈, 山田 亮太, 森谷 俊洋, 乾 和志
    2008 年 20 巻 4 号 p. 591-600
    発行日: 2008/08/15
    公開日: 2008/11/10
    ジャーナル フリー
    近年,日本ではマザー工場制を採用している企業が増えている.マザー工場制とは,メーカーが海外生産子会社に対して技術支援を展開する際,そのモデル工場となる本国工場が窓口ないしは担当工場となり,現地にあるサテライト工場に適した技術者や管理者を派遣し,現場指導を展開する人材派遣を中心とした技術支援方法である.サテライト工場で生産した製品に不具合が発生し,その原因が現場担当者では判断できない場合,本国にいるマザー工場の熟練者に出張を依頼した上で不具合を解消してもらう必要がある.このため,マザー工場の熟練者の出張費がかさみ,莫大なコストが必要となる.また,熟練者がサテライト工場に到着するまで不具合が放置されてしまう.更に,熟練者を長時間拘束することで,生産性の低下にもつながってしまう.そこで我々は,オンラインノウハウ伝承システムを開発した.これは,遠隔コミュニケーションの基盤技術であるSOBA フレームワークと,暗黙知を形式知化することができる知識管理システムを利用したものである.本稿では,オンラインノウハウ伝承システムの導入によって,どれくらいの効果が得られるかを検証する.
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