知能と情報
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24 巻, 4 号
選択された号の論文の26件中1~26を表示しています
目次
追悼
巻頭言
解説
報告
書評
用語解説
会告
特集:「心を測る」
特集:「第16回曖昧な気持ちに挑むワークショップ選抜論文」
論文概要
学会から
編集後記
特集論文: 心を測る
原著論文
  • 山下 利之, 長縄 久生
    2012 年 24 巻 4 号 p. 827-835
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2012/09/05
    ジャーナル フリー
    “彼は硬いから,アドバイスを聞いてくれないだろうな”,“発想の転換ができないのは,頭が硬いからだ”,“彼は頭が硬いから,説得するのが難しいよ”,・・・といったように,“硬い”という表現は日常よく使われる.心理学における心の“硬さ(rigidity)”とは,このような,融通がきかない,柔軟性がない,一つの考えや行動パターンに凝り固まっているような心の状態を意味する.硬さはパーソナリティ特性を基本としながらも経験により形成されると考えられている.“心の硬さ”は,自分の中で固定されたイメージに固執して,就職の選択を自ら狭めたり,柔軟に自分の可能性を吟味できないなど,些細な問題が就職活動の妨げになっていることがある.そこで,就職活動の心理的支援として“心の硬さ”を測定し,その“硬さ”の特性に応じてアドバイスをフィードバックする支援ツールを作成した.
  • 中村 宗広, 梶原 祐輔, 村田 裕章, 木村 春彦
    2012 年 24 巻 4 号 p. 836-847
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2012/09/05
    ジャーナル フリー
    本論文では,顔画像間から濃度特徴を抽出し,5つのパターン識別器を用いて表情を判別する方法を提案する.人間の表情表出シーンを目視確認すると,表情筋の動いた方向に対してしわが現れることがわかる.本手法では,しわが頻繁に現れる箇所に対象領域を設定し,ゼロ平均正規化相関に基づく類似度を特徴量として抽出する.また,最近傍法,ランダムフォレスト法,ロジスティック回帰分析法,サポートベクターマシン,ニューラルネットワークの5つのパターン識別器を用いて表情判別を行う方法を提案する,本手法に対する評価実験では,公開されている複数のデータベースに対し,基本6表情の判別を行った.
  • 林 勇吾, 小川 均
    2012 年 24 巻 4 号 p. 848-857
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2012/09/05
    ジャーナル フリー
    本論文では,ネットワーク上で多人数の協同問題解決を行うための実験装置を開発することを主たる目的とし,この実験装置を用いて,複数人を対象とした協同問題解決に関する実験を行った.具体的には,(1)実験装置としてネットワーク上で動作する対話エージェントを構築し,(2)協同相手の構えの操作を通じて,多人数による協同問題解決に関する心理実験を行った.実験では,多人数に基づく協同問題解決場面において,異なる視点を有する少数派が存在した場合,その意見に対してどれぐらい問題解決者が影響を受けるのかを検討した.実験の結果,ほぼすべての実験参加者において相手が人間であるという構えを構築していたことが確認された.さらに,少数派の問題解決者がグループに存在する際には,その影響を受けて,視点の変容が起きることも確認された.
  • 椎名 乾平
    2012 年 24 巻 4 号 p. 858-870
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2012/09/05
    ジャーナル フリー
    評定尺度法はいまだに心理学や認知科学で主要なデータ取得法であるが,我々は如何に評定判断が時間上で展開するかをよく知らない.この探索的研究では,評定判断の内的過程を探るために,PC のカーソル軌跡が記録され分析された.主な発見は: 1)カーソル軌跡の変動性と反応時間の相関は高く,これは軌跡の変動性が反応時間の逆U字型効果の原因であることを示唆する.2)軌跡は素早いサッカード状の成分を含む(この成分をストロークと呼ぶ).ストロークの分布は課題によってもたらされる認知的負荷によって変化した.3)tangential 速度の速さと形は,特に認知的負荷が高い時に,被検者の内的状態を示すかもしれない.最後に,4)決定時における動揺とためらいを軌跡を用いて推測することができた.特に,中間のカテゴリーに対する評定判断はより敏感に動揺する.心理測定学に対するいくつかの示唆が与えられた.
  • 有田 繭子, 越智 晴香, 福島 重廣, 坂本 博康
    2012 年 24 巻 4 号 p. 871-883
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2012/09/05
    ジャーナル フリー
    本論文は,顔表情画像から感情・表情のファジィメンバシップ関数を推定する方法を提案する.このメンバシップ関数は感情の次元説における感情空間の上で定義され,学習用の顔表情画像に対する主観評価の実験結果などを利用して,次の2つのモデルで表現される.a)各顔画像におけるメンバシップ関数の平均と広がりのパラメータを,それぞれ主観評価の平均値と標準偏差とするもの.b)主観評価に加えて画像空間内の分布の情報を導入したもの.推定されたメンバシップ関数は,もとの関数からの形状近似における誤差などを用いて評価される.統計解析の手法としてカーネル化を含む正準相関分析を利用し,これを濃淡画像データに適用した.男女2種類の顔表情画像のデータベースを用いた実験の結果,人の主観評価と比べ最大で約2倍以下のばらつきを持つ推定結果が得られ,提案方法はこの意味で有効であることが示された.
  • 多屋 優人, 横山 浩之, 浅川 徹也, 小縣 拓也, 鴨 宏一, 熊本 明久, 宮川 大毅, 水野(松本) 由子
    2012 年 24 巻 4 号 p. 884-894
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2012/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究では,携帯電話の操作量とユーザの睡眠時間に着目し,これら観測可能な人の行動と心身状態との関連性について検証を行う.ここで,携帯電話の操作量とは,折りたたみ式の携帯電話が開閉される頻度とその継続時間を指す.その際,24名の被験者に対して,約2ヶ月間におよぶ携帯電話の操作量の収集と,毎日の睡眠時間の自己申告を行う実験を実施する.同時に,心理検査(Cornell Medical Index(CMI))を利用して,被験者の心身状態の定量化を行う.実験の結果,携帯電話が開かれている継続時間は,べき乗則に従うことが明らかになった.さらに,時間幅に個人差はあるものの,短時間帯と長時間帯の継続時間は異なるべき乗則に従うことが明らかになった.また,実験で得られた2つのべき指数と睡眠時間を心理検査の結果と比較したところ,携帯電話を利用時のユーザの行動と心身状態の間には相関があることが分かった.
ショートノート
特集論文: 第16回曖昧な気持ちに挑むワークショップ選抜論文
原著論文
  • 藤本 勝成
    2012 年 24 巻 4 号 p. 901-908
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2012/09/05
    ジャーナル フリー
    ネットワークにおける,各ポジションの中心性(中心度)に関する概念は,これまでに,社会ネットワークの分野で議論されてきている.しかしながら,その双対概念としても考えられる周辺性(周辺度)に関する研究はほとんどされていない.しかしながら,インターネットや交通網の伸展における費用負担の問題を考えた場合,中心性の高い節点よりも,周辺に位置する節点(新たに,ネットワークに接続するノード)の方が多くの費用負担を強いられる.これは,周辺に位置する節点の方が,ネットワークに接続するに際して,相対的に,より大きな便益を得るためであると考えられる.それゆえ,周辺性そのものに注目することは重要である.本稿では,ネットワークにおける周辺性に関して議論すると共に,この周辺性を基にどのようなネットワークが形成されていくのかについて考察する.
一般論文
実践研究論文
  • 三吉 建尊, 越野 亮, 笠原 竹博, 上田 芳弘, 木村 春彦
    2012 年 24 巻 4 号 p. 909-919
    発行日: 2012/08/15
    公開日: 2012/09/05
    ジャーナル フリー
    現在,工作機械用の制御盤内において,部品同士をハーネスと呼ばれる電線で結線する作業は手作業で行われており,自動化が求められている.本研究では機械によるハーネス結線作業の自動化を行うために,部品に予め取り付けられているハーネス取り付け用のネジ位置を検出すること.そして機械によってハーネスが取り付けられた後に,正しくハーネスが取り付けられているか検査を行うこと.これら2つの処理を画像認識によって行う.本研究では,機械学習によって画像の特徴量を学習して識別するという,一般物体認識の手法を用いる.特徴量の計算には HOG と Bag of Keypoints を用いる.そして得られた特徴量を機械学習によって学習・識別を行うことによって画像認識を行う.本稿では,上記の手法を用いたネジとハーネスの認識率について報告する.
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