知能と情報
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Print ISSN : 1347-7986
26 巻 , 4 号
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目次
巻頭言
解説
コラム
理事会だより
報告
書籍紹介
用語解説
  • 室伏 俊明
    原稿種別: 用語解説
    2014 年 26 巻 4 号 p. 163
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2017/11/18
    ジャーナル フリー

    非加法的測度とは,菅野によって定義されたファジィ測度と実質的に同義である.

    測度は,現代数学における基本概念の1つであり,外延量の数学的表現である.ここで外延量とは,長さ,面積,体積,質量などの広がりに規定される量をいう.測度とは,性質 n(0/)=0 と加法性「 A∩B =0/ ⇒ n( A∪B )= n(A)+ n(B)」をもつ,全体集合 X の部分集合族 上に定義された関数 n: →[ 0, ∞] である(厳密には はv 集合体であり, n はv 加法性をもつ).P(X)=1 ,すなわち全体集合 X の値が1である測度 P は確率測度と呼ばれ,これは確率の数学的表現である.測度を対象とする数学理論を測度論と言う.

    1972 年,確率法則に縛られない主観的な確からしさを表すため,菅野はファジィ理論に,確率測度の持つ加法性をより弱い条件である単調性「A⊆B ⇒ n(A) μ(B)」に置き換えて定義されるファジィ測度を導入した(ファジィ測度の当初の定義では,連続性などの条件も課せられていたが,その後の数学的研究ではそれらの条件は課されないことも多い.ここでもそれらは考えない).このファジィ測度はファジィ理論における概念だが,ファジィ集合とは数学的に無関係である.

    一方,数学においても測度論に,測度の持つ加法性を単調性に置き換えて定義される非加法的測度が導入され,測度論を拡張する研究が行なわれてきている.ファジィ測度と非加法的測度の数学的研究は独立に行なわれてきたが,近年,それらの研究は互いに影響し合い,融合されつつある.ファジィ測度という名称はファジィ集合と数学的に関係があると誤解されやすいこと,非加法的測度という名称の方が中立的な印象を与えることなどから,ファジィ理論においても,ファジィ測度は非加法的測度と呼ばれることが多くなってきている.

  • 吉田 真一
    原稿種別: 用語解説
    2014 年 26 巻 4 号 p. 163
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2017/11/18
    ジャーナル フリー

    Restricted Boltzmann Machine(制限ボルツマンマシン)は,相互結合型ニューラルネットワークであるBoltzmann Machine の結合について制限を設けたモデルである.2012年頃より急速に応用例が増えつつあるHintonらのDeep Learningにも用いられている.それぞれのニューロンのユニットは,信号が直接入力される可視層と,隠れ層からなり,可視層のニューロンと隠れ層のニューロンが相互に結合している.Boltzmann Machine と異なり隠れ層のニューロン同士は結合していない.各ニューロンの値は二値 {0, 1} とするのが一般的で,その値が出現する確率分布が,可視層ニューロンのベクトル値 v,隠れ層ニューロンのベクトル値 h, v-h 間の重み行列 W としたときの,二次形式 hTWv に基づいて決められる.訓練集合として可視層に入力する vが出現する確率が高くなるよう W を調整するのがRBMの学習である.Deep Learningでは,深く多層化されたフィードフォワード型ネットワークの各層間で,教師なし学習をRBMで行うことで,W すなわちネットワークが疎になることを期待している.ネットワークが疎になることで,フィードフォワード型の深層ネットワークで問題となる誤差逆伝搬法を用いた際の出力から遠い層での重み更新ができない問題を解決することを試みている.また疎になることは,モデルの複雑さの減少,過学習の回避,特徴選択につながることから,認識性能向上に寄与すると考えられている.

会告
特集:「第18回曖昧な気持ちに挑むワークショップ選抜論文」
論文概要
学会から
編集後記
特集論文: 第18回曖昧な気持ちに挑むワークショップ選抜論文
原著論文
  • 斉藤 充, 藤本 勝成, 西尾 吉史, 辻 英朗
    2014 年 26 巻 4 号 p. 737-751
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2014/09/23
    ジャーナル フリー
    本研究は,鋼構造物の塗膜劣化の画像診断支援システムを構築することである.本システムは主要な2つの画像処理過程から構成されている(フェーズⅠ,Ⅱ).フェーズⅠは,画像中の塗膜劣化領域と非劣化領域を峻別する過程である.ここでは,核抽出クラスタリング法による領域分割をベースにしており,SOMの援用も受けている.また,フェーズⅡは,フェーズⅠで出力された劣化領域峻別画像における塗膜劣化領域の分布性状から,塗膜劣化程度を診断する過程である.診断結果は(Level A, B, C)=(0.0, 0.6,0.3)のようなファジィ集合として出力される.
  • 福田 亮治, 古城 柾人
    2014 年 26 巻 4 号 p. 752-761
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2014/09/23
    ジャーナル フリー
    初等幾何における図形を非視覚情報として伝えるとき,触覚情報(形としての情報)に加えて図形の種類や相互関係を合わせて伝える必要がある.手描き入力によりこのような図形情報を入力するシステムを作成する場合に,判断が難しい物の一つに角判定(折れ曲がりの判定)がある.角判定は書き手や対象(分野など)により状況が変化しやすく柔軟に対応しうるシステムの開発が必要と思われる.この論文では,我々が開発しようとする図形入力システムの概要とその中での角判定の位置づけおよび,ショケ積分型評価関数および遺伝的アルゴリズムを用いた,角判定の実現方法について述べる.ショケ積分型の評価関数は,特徴量およびその相互関係の重要度を直接的に把握することができ,ユーザが適宜微調整しながら使用する場合に適している.判別関数に関するパラメータ決定のための学習や,それに必要となる正規化については,複数の特徴量を伴うデータのグループ分けという立場で一般化しやすい形での実現を目指している.
一般論文
原著論文
  • ENDO Maki, NAKAJIMA Hiroshi, HATA Yutaka
    2014 年 26 巻 4 号 p. 762-772
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2014/09/23
    ジャーナル フリー
    In manufacturing, both productivity and energy-saving have been required for sustainable economic progress. This article proposes an operational condition estimation method for improving energy efficiency by monitoring energy consumption in production machines. Our proposed estimation method aims to analyze causalities among the productivity performance indices of QCDES and the factors of 4M + 2E for improving manufacturing process. They stand for Quality, Cost, Delivery, Ecology, Safety, Man, Machine, Material, Method, Environment, and Energy. In our proposed method, operational condition such as stop, idling, and tact delay, is estimated from the machine behavior that is extracted by the energy consumption, and the energy loss is quantified by the operational condition. Machine behavior can be extracted by energy consumption if the energy consumption is measured with short sampling time less than 1.0 second. According to the estimation results of the operational condition on our factory line, it was successfully to improve an operating rate and energy efficiency by recognizing energy loss, which means energy consumption of non-contributive to the productivity. The production volume was increased and energy consumption was reduced concurrently because the operators could easy to select improvement plans, because the energy loss is sorted to a cause.
  • 榊 剛史, 松尾 豊
    2014 年 26 巻 4 号 p. 773-780
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2014/09/23
    ジャーナル フリー
     近年,ソーシャルメディア上のデータを分析することで社会調査やマーケティングを実現する試みが増加している.ユーザの投稿内容を分析し,マーケティングに活かすには,調査対象のユーザ属性を取得する必要がある.ユーザ属性によっては,推定しやすいものと推定しにくいものがあり,例えば年齢や性別などの属性の推定は,以前から研究が行われていた.一方,ユーザ属性のなかでも職業は取得することが難しく,これまで研究が行われていない.本研究では,ユーザの職業を判別するために,ユーザの投稿内容に加え,ユーザの自己紹介文およびユーザが他の人から付与されたタグの情報を使うことで精度を向上させる.提案手法では,サポートベクターマシン(SVM)を使い,ユーザの投稿内容や自己紹介文,被リスト名を素性とすることで,会社員の職業推定に関して,適合率0.85,再現率0.77という実用的な精度で職業判別を実現することができた.
  • 中村 誠, 太田 博光, 鴻上 健一郎, 明田川 雅子, 徳永 憲洋, 前田 俊道
    2014 年 26 巻 4 号 p. 781-792
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2014/09/23
    ジャーナル フリー
     本研究では,習熟したふぐ処理師によるフグ類の身欠きの品質評価を解析して,ふぐ処理師の品質評価に相当するモデルを組み込んだシステムを提案することを目的とする.試料にはふぐ処理師により計5群に品質評価された天然トラフグ80尾,養殖トラフグ250尾,マフグ230尾の身欠きを用いた.ふぐ処理師による品質評価,魚体の色彩および魚肉鮮度の関係を解析した結果,ふぐ処理師の品質評価には魚肉鮮度が良好に反映し,各身欠きの評価では各々計4個の体表の色彩を組み合わせて表現可能となることがわかった.次に,これら4個の色彩指標を前件部変数に定めたファジィ推論モデルを作成して評価した結果,ふぐ処理師の品質評価とモデルによる推論結果の一致率は80%以上を得た.よって,身欠きの品質評価システムに習熟したふぐ処理師の知識を組み込むことの有効性が示された.
  • 徳永 弘子, 武川 直樹, 木村 敦
    2014 年 26 巻 4 号 p. 793-801
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2014/09/23
    ジャーナル フリー
     本研究は人が食事をしながら会話をする(共食会話)場を対象に,参与者の相互行為的な観点から会話の構築の仕組みを明らかにする.これまで共食会話の研究は,話し手の行動に焦点があてられ,話し手の話す/食べる行動について調べられてきた.それらの研究と異なり本論文では,インタラクション構造の観点から,聞き手の応答と摂食動作の関連を分析することで,協力的なコミュニケーション行動形成の仕組みの解明を狙う.そのために実際の共食会話映像についてラベリングした聞き手の869の応答発話,343の摂食動作を対象に,応答と摂食の生起の関係を分析した.その結果,聞き手は話し手の発話に対して関与が高い状況(直接の発話の受け手になるなど)においては,自分の応答後に隣接させて摂食をすることが多く,逆に関与が低い場合(傾聴を継続する,直接の発話の受け手でないなど)にはもう一人の聞き手の応答を利用して摂食したり,応答のない場面でも摂食するケースが多かった.また話し手が発話内容を思案している場合には,聞き手は摂食することにより話者の次発話までの間を埋める行為が観察された.これにより,聞き手は会話への関与の度合いに応じて摂食のタイミングを調整し,協力的な共食コミュニケーションの構築に寄与していることがわかった.
ショートノート
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