知能と情報
Online ISSN : 1881-7203
Print ISSN : 1347-7986
ISSN-L : 1347-7986
28 巻, 5 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
目次
巻頭言
解説
報告
会告
特集:「建築・土木分野におけるソフトコンピューティング応用の最前線」
論文概要
学会から
編集後記
特集論文: 建築・土木分野におけるソフトコンピューティング応用の最前線
実践研究論文
  • 田中 成典, 窪田 諭, 中村 健二
    2016 年 28 巻 5 号 p. 775-790
    発行日: 2016/10/15
    公開日: 2016/11/12
    ジャーナル フリー
    社会基盤施設は計画・調査,設計,積算,施工,維持管理のプロセスが長期間にわたり,その各事業段階で関係者が図面データの受け渡しを行う.構造物の図面データは,設計段階でCAD(Computer Aided Design)ソフトウェアを利用して生成される.CADデータには,CAD ソフトウェアの使用機能とモデル生成手順という構造物の設計意図が表現されるため,これを施工段階や維持管理段階で利用することが求められる.また,建設事業においては,CIM(Construction Information Modeling),情報化施工や生産性向上のために3次元データを利用する環境を構築することが求められるが,これらの要求を満たす3次元CADソフトウェアが存在しない.
    そこで,本研究では,社会基盤施設を対象として,3次元CADデータを作成するための汎用3次元CADエンジンを開発した.そこでは,パラメトリックモデリングの採用,国際規格の準拠,時間項の考慮という方針に基づき3次元CADデータ作成のアルゴリズムを設計した.そして,汎用3次元CADエンジンと3次元CADシステムを開発し,構造物の3次元CADデータを生成できることを確認するとともに,これらを道路設計における3次元データ生成に適用することにより,3次元CADエンジンが機能要件を満足することを明らかにした.
原著論文
  • 井ノ口 弘昭, 秋山 孝正
    2016 年 28 巻 5 号 p. 791-800
    発行日: 2016/10/15
    公開日: 2016/11/12
    ジャーナル フリー
    交通環境変化に対する影響分析のために,交通シミュレーションが用いられる.本研究では,交通シミュレーションの重要な構成要素である追従走行モデルについて検討する.通常の交通シミュレーションモデルでは,追従走行モデルとして数式モデルを用いることが多いが,本研究ではファジィ的ニューラルネットワークモデルの適用性を検討する.既存研究では,GPSに基づく走行調査データを用いて,ニューラルネットワークの学習を行い,モデルを構築している.本研究ではこれらの追従走行モデルの適用性を検討する.この結果,ファジィ的ニューラルネットワークを用いたモデルは,従来の非線形追従モデルと比較して適合度が高い推計が可能であることがわかった.交通シミュレーションを用いた検討の結果,追従走行モデルの違いにより,滞留台数,平均速度,二酸化炭素排出量に差異が見られた.
  • 秋山 孝正, 井ノ口 弘昭
    2016 年 28 巻 5 号 p. 801-809
    発行日: 2016/10/15
    公開日: 2016/11/12
    ジャーナル フリー
    土木計画においては,経済性を中心にした社会システム計画に加えて,こころの健康を意図した研究領域が展開している.これらは,土木技術者のアイデンティティ形成と現実の都市計画・交通計画に期待される自律的市民意識の形成に大きな影響を与える.このため本研究では,土木計画をこころの計画論として構成するための深層心理分析を試みる.具体的には,知的情報処理を用いて,青年期のパーソナリティ理解を表現するバウムテスト評価システムを構築する.ここでは特に樹木画投影された深層心理情報の処理を,経験的知識に基づく推論構造を持つプロダクションシステムとして構成した.さらに,現実的な精神反応と内面状態の関係性をニューラルネットワーク(NN)で定式化して,推計可能なモデルを構成する.このような知的情報処理の臨床心理面での適用から,社会システムにおけるこころの問題解決の方向性を示す.
  • 田中 成典, 中村 健二, 今井 龍一, 窪田 諭, 梅原 喜政
    2016 年 28 巻 5 号 p. 810-825
    発行日: 2016/10/15
    公開日: 2016/11/12
    ジャーナル フリー
    河川は,様々な図面や台帳等の資料を調製することで管理されている.特に,横断図は堤防の現況把握に加え,改修計画等に用いられるため,非常に重要な資料である.しかし,横断図は,人手で測量,図化作業が行われるため,測量費の制約から200m間隔の距離標地点のみで作成される.そのため,現在,航空レーザ測量で得られたLPデータから横断図を生成する技術が求められている.LPデータには,植生等のノイズが含まれ,地表面が計測されない課題や,点群密度の問題から断面変化点を計測できない課題がある.LPデータの課題を解消する既存研究として,LPデータから一定範囲毎に最下点を取得して地表面の点群データを抽出する手法やLPデータからブレイクラインを推定する手法があるが,それぞれ「点群データの精度がグリッド幅に依存する課題」と「湾曲部においてブレイクラインを誤抽出する課題」がある.そこで,本研究では,この2つの課題を解消するグリッド幅に依存しないノイズ除去手法と,湾曲部においても適切にブレイクラインを推定する手法を提案する.評価実験では,提案手法と既存手法で生成した任意地点の横断図を比較,評価し,提案手法の有用性を明らかにした.
  • 田中 成典, 中村 健二, 山本 雄平, 今井 龍一, 窪田 諭, 姜 文渊
    2016 年 28 巻 5 号 p. 826-845
    発行日: 2016/10/15
    公開日: 2016/11/12
    ジャーナル フリー
    高度経済成長期に建設された多くの高架道路橋は老朽化を迎えているため維持管理が必要である.しかし,これらの高架道路橋は,設計時や竣工時の図面が紙媒体であり,廃棄されているケースが多く維持管理業務に支障をきたしている.そこで,MMSの点群データから高架道路橋の維持管理用のSXF図面を自動生成する研究がなされている.既研究では,高架道路橋の継ぎ手の位置で点列を分割しスパンごとに道路橋の線形を生成している.しかし,継ぎ手を抽出できない場合や設計図に記載された線形の起終点が継ぎ手の位置から離れている場合,生成したクロソイド曲線と直線や円弧との連続性が失われる問題がある.そこで,本研究では,平面の直線,クロソイド曲線,円弧と縦断面の直線と2次曲線の起終点を算出し,各線形を連続に接続する解析手法を提案する.それにより,継ぎ手の情報なしで,高架道路橋上部工のSXF図面を高精度に生成することを実現する.
  • 奥嶋 政嗣
    2016 年 28 巻 5 号 p. 846-854
    発行日: 2016/10/15
    公開日: 2016/11/12
    ジャーナル フリー
    マルチエージェントシミュレーションでは,社会的相互作用を容易に記述可能である.本研究では,経済的インセンティブ政策,航続可能距離延伸,充電インフラ整備およびクリーンエネルギー車両(CEV)の多様化によるCEVの普及促進効果を推計するために,マルチエージェントCEV普及シミュレーションを構築する.提案するマルチエージェントシミュレーションは,車種決定プロセス,排出量算定プロセスおよび相互作用プロセスで構成される.車種決定に関しては,世帯の異質性を考慮して社会的同調効果に影響される点をモデルで表現する.また,エージェント間の関係をスモールワールドネットワークモデルで表現する.このマルチエージェントCEV普及シミュレーションにより,世帯の異質性と社会的同調効果を考慮してCEVの普及と温室効果ガス排出状況の推移が観察可能となる.
  • 井上 晴可, 今井 龍一, 窪田 諭, 田中 成典, 重高 浩一
    2016 年 28 巻 5 号 p. 855-874
    発行日: 2016/10/15
    公開日: 2016/11/12
    ジャーナル フリー
    スマートフォンを利用すると容易に歩行者トリップデータを取得できるため,災害対応や交通などの分野での利活用が期待されている.災害時などの用途によっては,正確なリアルタイムの歩行者トリップデータを必要とする.しかし,個々のスマートフォンのGPSセンサから取得される位置情報は,周囲の環境や機種で異なるため精度にばらつきが生じて多くのノイズが含まれている.この課題には,日々蓄積した膨大な量の歩行者トリップデータの解析により対処できるが,これはリアルタイム性に欠けるため,緊急対応を要する用途では満足できない.本研究では,スマートフォンで取得した歩行者トリップデータからリアルタイムに確実性の高い3次元の位置情報を取得するために,PDOP,平均誤差半径および歩行者トリップデータからノイズを除去する手法を考案した.そして,プローブパーソン調査で取得した歩行者トリップデータに同手法を適用し,有用性を検証した.
一般論文
原著論文
  • 谷津 元樹, 荒木 健治
    2016 年 28 巻 5 号 p. 875-886
    発行日: 2016/10/15
    公開日: 2016/11/12
    ジャーナル フリー
    近年,対話システムの普及に伴い,機械が言語的ユーモアを理解する必要性が高まっている.これまでの研究において,駄洒落などの韻文のユーモアを対象に大規模な自然文の集合から検出を試みた例は確認されていない.駄洒落を含む文をブログテキストよりSVMを用いて分類する手法を提案し,有効な素性を調べるため,駄洒落全般の類型別の構成比の標本調査を行った.その結果,文内に音韻的に類似した1形態素およびそれに対応する音素列を有する駄洒落の類型が支配的であることが判明した.このため本論文では,語彙素性に加え,音韻類似度に基づく音韻類似区間の検出ルールを素性としたSupport Vector Machineを用いた分類による検出手法を提案する.検出性能評価実験の結果,提案手法におけるルールベース素性の付加の有効性が確認された.
feedback
Top