知能と情報
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30 巻, 4 号
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表紙
目次
巻頭言
特集:「第22 回曖昧な気持ちに挑むワークショップ選抜論文」
特集解説
特集:「ソフトコンピューティングへの期待2」
特集解説
書評
用語解説
会告
論文概要
学会から
裏表紙
特集:第22 回曖昧な気持ちに挑むワークショップ選抜論文
原著論文
  • 大木 真, 工藤 海人, 徳永 弦己
    原稿種別: 原著論文
    2018 年 30 巻 4 号 p. 605-612
    発行日: 2018/08/15
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル オープンアクセス

    本論文は,集団意思決定の場面において,集団内の構成員が「集団の目的を共有している度合」を定量的に表現する手法を提案する.定量化された「目的の共有度合い」を用いることで,その集団の振る舞いや能力の推定を行うことができる.これを検証するため,集団意思決定の実践的な場面を評価の舞台として,提案手法の評価実験を行う.集団意思決定は,生物の中でも人間にしかできない高度で複雑なコミュニケーションであり,集団意思決定によってより良い判断を継続的に行うことができる.一方で,集団となることによって,個人で意思決定を行う場合よりも時間を要してしまったり,著しく悪い判断をしてしまうことが稀に起こる.このような現象が発生する原因の1つとして,集団を構成する個人が集団の目的を十分に認識せずに議論していることが考えられている.そのため本論文では,企業や自治体等での複数人で行う意思決定の場面において,その集団の目的認識の一致の程度「チーム指向性」を定量的に評価する方法を提案する.既存の手法に大木らの提案する「見解間距離均等法」という集団分析手法がある.この手法はVDIと各付け値という2つの固有の数値を用いて,集団を大きく4つに分類できることを論理的に示している.本研究では,この見解間距離均等法をより様々な場面に適用可能とするために,定義の変形を行う.さらに実践的な場面に適用することで,VDIがチーム指向性と強く関連していることを明らかにするための実験を行った.見解間距離均等法の定義の改良により,スケールが大きく異なる評価項目を持つデータ同士についても,分析をすることが可能となり,さらに種類の異なる(集団の構成員数や状況の異なる)データ同士でも,導出されたVDIをそのまま比較することが可能となった.この利点を活かし,実践的場面における集団意思決定の分析を試みた結果,VDIによってチーム指向性を定量的に計測することができることを確認した.さらにチーム指向性が高い集団ほどチームとして良い結果を出しやすいことが確認された.Dickinsonらのチームワーク測定モデルや,山口らのチームワークモデルにおいて,チームワークを測る重要な指標として「team orientation(チーム指向性)」が定義されている.これまでは,このチーム指向性は定性的にしか表現することができなかったが,本研究のVDIによって定量的に計測することを実現した.

  • 藤﨑 美夏, 竹之内 宏, 徳丸 正孝
    原稿種別: 原著論文
    2018 年 30 巻 4 号 p. 613-622
    発行日: 2018/08/15
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル オープンアクセス

    本論文では,複数ユーザを対象とした視線情報を用いた対話型進化計算(Interactive Evolutionary Computation:IEC)を提案する.IECは人の感性を解候補生成に反映できる最適化手法として,幅広い分野で研究が行われ,有効性が確認されている.しかし,ユーザの評価負担が大きいという問題がある.この問題を解決するために,本研究では,IECの解候補評価にユーザの視線情報を用いることを提案する.提案システムでは,ユーザが解候補を閲覧している際の視線情報を取得し,その視線情報からシステムが解候補に評価値を与える.このため,提案システムでは,各解候補に明示的に評価を与える必要がなくなり,ユーザの評価負担を軽減できると考えられる.また,一度に複数人の視線情報を取得することが可能であるため,IECの評価に複数人の感性を反映できると考えられる.本研究では,提案手法を用いた女性衣服コーディネート生成システムを開発し,提案システムにおける解候補の進化性能やユーザの解候補評価負担軽減に関する有効性を検証した.その結果,提案システムでは,ユーザはあまり負担を感じることなく,ある程度満足のいく解候補を生成でき,提案システムの有効性が確認された.また,実験中の男女の反応の差や,コーディネートパーツの出現率の差などから,男性と女性における衣服コーディネートの評価方法の違いが確認された.

一般論文
ショートノート
  • 五味 怜央奈, 岩崎 真也, 下川原 英理, 山口 亨
    原稿種別: ショートノート
    2018 年 30 巻 4 号 p. 623-627
    発行日: 2018/08/15
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル オープンアクセス

    テレプレゼンスロボットは,遠隔対話支援ロボットの1つである.テレプレゼンスロボットの主な伝達動作には,頭部動作が挙げられる.しかし,多くの研究はテレプレゼンスロボットによる頭部動作の伝達について言及はあるものの,頭部動作がもたらす「画面の揺れ」について述べていない.本研究では,画面の揺れが対話中のユーザのストレスに影響を与えていることを示すとともに,画面の揺れを減少させるために伝達動作を聞き手の頷きのみとしたテレプレゼンスロボットを開発する.そして,画面の揺れが多いロボットとの比較実験から開発テレプレゼンスロボットの有用性を示す.

  • 西村 良太, 檜垣 美帆, 北岡 教英
    原稿種別: ショートノート
    2018 年 30 巻 4 号 p. 628-633
    発行日: 2018/08/15
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では,Neural Network(NN)の一種である Recurrent Neural Network(RNN)を用いて,異なるメディア間での検索(クロスメディアマッピング)を行う手法を提案する.提案手法を用いることで,例えば楽曲の音楽(楽曲ベクトルの時系列データ)と歌詞(文書ベクトル)との対応付けが可能となり,文書を用いて音楽を検索することが可能となる.本モデルを適用することで,人間同士の対話をモニタリングし,会話内容から適切なBGMを提供する楽曲提案システムなどを実現することができる.本稿では,提案モデルを構築し,評価実験を行い,クロスメディアマッピングが可能であることを確認した.

原著論文
  • 長谷川 孔明, 古谷 誠悟, 金井 祐輔, 篠沢 一彦, 今井 倫太
    原稿種別: 原著論文
    2018 年 30 巻 4 号 p. 634-642
    発行日: 2018/08/15
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル オープンアクセス

    本稿では,使用する個人や使用される環境に応じて水準が変化する走行の程度量表現を含んだ命令に対し,電動車椅子に自律走行を実現させるシステムであるDECoReSを提案する.ユーザが音声命令によって電動車椅子を操作する際には,「大きく右に曲がる」のように走行にユーザ好みのオプションをつけて指示する場合がある.このような走行を修飾する程度量表現は,同じ表現を用いていたとしても,命令するユーザや使用される環境によって,その表現から想定する走行イメージは異なる.DECoReSは,ユーザ毎に程度量表現と走行軌跡を学習することでユーザに適応した走行を実現する.そして,学習した地図から使用時の環境に類似したデータを選び出して用いるため,環境に依存する程度量表現も再現することができる.実験により,DECoReSユーザ毎に異なる走行イメージを再現できることが確認できた.また,学習した環境とは異なる環境でも利用可能であることを確認した.

  • 笠原 和真, 二本 健太, 伊藤 崇, 高橋 健一, 稲葉 通将
    原稿種別: 原著論文
    2018 年 30 巻 4 号 p. 643-651
    発行日: 2018/08/15
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル オープンアクセス

    本論文では,多人数不完全情報ゲームであるトランプゲームのハーツにおいて,FALCON(a Fusion Architecture for Learning, COgnition, and Navigation)を用いた学習エージェントの学習精度を向上させるための手法を提案している.FALCONは,強化学習の手法の1つであるファジイART(Adaptive Resonance Theory)を拡張した機械学習法である.知覚,行動,報酬の全てのベクトルに対して同時に複数のマッピングを学習することにより,知覚状態空間の離散化及び行動規則の学習を同時に行うことができる.既存研究において,トランプゲームのハーツに対するFALCONの有効性が示され,あらかじめ設定されたルールに基づいて行動するエージェントに勝つことに成功している.しかしながら,モンテカルロシミュレーションにより行動を決定するエージェントに勝つことはできなかった.本研究では,学習エージェントの性能向上のための改良として,実際のハーツにおける戦略に基づいた行動種類の変更と,学習時における行動選択に対してサポートベクター回帰による予測を適用する手法を提案する.これらの改良を用いる場合と用いない場合とで学習実験を行い,学習エージェントの性能の比較を行う.

  • 星野 怜旺, 椎名 孝之, 森戸 晋, 今泉 淳
    原稿種別: 原著論文
    2018 年 30 巻 4 号 p. 652-657
    発行日: 2018/08/15
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究では,プロ野球において,球団間の未消化試合数の差ができるだけ小さくなるようなスケジュールの作成を目的とする.確定的なスケジュールの作成のみにとどまらず,雨天中止という不確実性を考慮したスケジュールを考える.まず整数計画法によりスケジュールを生成する.そして雨天中止を考慮することにより,球団間の未消化試合数の差の最小化を図る.本研究では,実際の日程と比較して全体の未消化試合数を抑えるとともに,各チームの最大値と最小値の差も抑えることが出来た.これにより,球団間の未消化試合数の差を抑制できた.

  • 林田 智弘, 西崎 一郎, 関崎 真也, 武内 宏明
    原稿種別: 原著論文
    2018 年 30 巻 4 号 p. 658-665
    発行日: 2018/08/15
    公開日: 2018/08/15
    ジャーナル オープンアクセス

    クラシファイアシステムの1種である,ACSM(ACS2 with Memory)(Hayashida et al., 2014)は,予測的クラシファイアシステムACS(Anticipatory Classifier System)(Stolzmann, 1997, 1998)およびそれを改良したACS2(Butz and Stolzmann, 2002)に基づいて設計されており,部分観測マルコフ決定過程(POMDP:Partially Observable Markov Decision Process)のエイリアス状態における最適方策を獲得するために,内部メモリが導入されている.本論文では,複雑なACSMのアルゴリズムの学習過程の一部を最適化することで,無駄な計算時間の削減あるいは学習パフォーマンスの向上を目指す.エイリアス状態を含むPOMDPsのベンチマークとして多くの論文で採用される迷路問題を用いて数値実験を行い,提案手法がACM2やACSMと比較して効率的に解探索を行うことができることを示す.

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