知能と情報
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31 巻, 3 号
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目次
巻頭言
特集:「Zadeh 先生追悼特集論文・特集解説」
特集解説
一般解説
用語解説
会  告
学会から
編集後記
Zadeh先生追悼特集論文・特集解説
原著論文
  • 中島 幸佑, 畑本 直哉, 伊藤 友彦, 柴田 傑, 佐賀 聡人
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 31 巻 3 号 p. 701-711
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー

    描画軌跡と描画動作のあいまいさをもとにして手書き曲線を7種類の幾何曲線(線分,円,円弧,楕円,楕円弧,閉自由曲線,開自由曲線)のいずれかに同定する手法として「ファジィスプライン曲線同定法(FSCI)」が提案されている.また,FSCIによって同定された幾何曲線を正方グリッドに合わせて整形する手法として「多重解像度ファジィグリッドスナッピング法(MFGS)」が提案されており,このMFGSとFSCIを組み合わせることによって,描画動作のみで7種の幾何曲線を配置でき様々な幾何作図を行うことができるCAD用の手書きインターフェースが実現された.ここで,FSCIが円弧または楕円弧を同定した場合,これらを正方グリッドに合わせて整形するためには,MFGSによる整形に先立って,中心角や長径短径比といったパラメータを量子化して整形する必要があった.しかし,特に弧が浅い場合には,これらの形状パラメータ量子化による整形が適正に動作しがたくなり,MFGSによる整形がうまく行われない場合が多発した.本論文では,初めに円弧および楕円弧の形状パラメータ量子化による整形は多くの場合において本質的に困難な問題となることを明らかにする.次にこの問題を回避するために,FSCIの同定アルゴリズムを部分的に改変した「サブ曲線同定法」を提案し,これにより形状パラメータ量子化なしにMFGSによる整形を施すことのできる「n/4円弧」および「n/4楕円弧」を新たに同定できるようにする.最後に,従来の7種類の幾何曲線に加えてn/4円弧およびn/4楕円弧をも配置できる新しい手書きインターフェースを実現し,評価実験によってこれがCADインターフェースとして有効に機能することを示す.

一般論文
原著論文
  • 宮田 真宏, 大森 隆司
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 31 巻 3 号 p. 712-721
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー

    従来,人の推論には直観的推論と論理的推論の2種類があるとされる.これまでに直観的推論はベイズ推論に代表される確率的な手法により,論理的推論はTree探索に代表されるシンボル的な手法により,それぞれモデル化されてきた.一方で,推論と脳部位とを対応付けた研究はあるが,脳の神経回路を考慮した論理的推論のメカニズムについて言及したものは少ない.脳における論理的推論過程のモデルは未解決である.そこで本研究では人の推論過程は直観的推論と論理的推論に明確に分かれているのではなく,一つの分散ニューラルネットワークのモード切り替えで実現されると考え,そのモデルを提案する.そのモデルでは連想記憶を用い,現在状態より関連する記憶を連想的に探索し,その記憶に価値を紐づけることで行動選択をする直観的推論を実現し,直観的推論にて見出された価値状態に対し,その利得に繰り返しバイアスをかけることにより論理的推論に見える動作を実現した.迷路探索シミュレーションでは,直観的推論に相当する確率的な行動選択と,論理的推論に相当する枝刈りを含むTree探索のような振る舞いが同一モデルのパラメータ変更により表出されることを確認した.

  • 野澤 一真, 望月 典樹, 増山 岳人, 中村 壮亮
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 31 巻 3 号 p. 722-730
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー

    本研究では個人の語彙の可視化に向けて,単語の理解有無の推定を行った.我々は,理解している単語や理解していない単語がそれぞれ特定の単語概念(単語が指示する概念)に集中しているとの仮説を立てている.そこで,word2vecで表現される単語概念と階層型ニューラルネットワークを用いて単語の理解有無を推定する手法を提案し,約72%を超える正解率での理解有無の推定結果を得た.結果から,仮説の妥当性及び単語概念が理解有無推定に有用であることが示唆された.難易度などの別指標との併用により,実用水準での推定への期待も持てる結果といえる.

  • 高橋 勝稔, 馬野 元秀, 藤本 典幸
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 31 巻 3 号 p. 731-738
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー

    長期間の時系列データは傾向や特徴の推移により理解されていると考えられる.そのために,傾向や特徴が変化している時刻で時系列を分割する必要があり,例えば,統計学の異常検知や変化検知では,異常や変化の度合いを確率分布を用いて表す方法などが提案されている. 我々は,階層的クラスタリングを用いて時系列データを分割する手法を提案する,本手法では,分割された各期間をクラスタとみなし,クラスタ間の類似性が大きいものをまとめていく.類似性にはクラスタの値の大きさ,値の変化,振動を定義し,これらの重み付き和で求めた距離を基に決定する.しかし,重みを固定するとうまくまとまらないので各類似性の大小関係やクラスタの大きさなどを用いて重みを動的に変化させる. また,振動している部分を1つのクラスタにまとめるために,小さいクラスタをまとまりやすくするパラメータや,はずれ値などを含む小さいクラスタの前後のクラスタが似ていればまとめる手法も提案する. この手法を実際の時系列データに適用し,その有用性を調べる.

ショートノート
  • 宮本 友樹, 片上 大輔, 重光 由加, 宇佐美 まゆみ, 田中 貴紘, 金森 等, 吉原 佑器, 藤掛 和広
    原稿種別: ショートノート
    2019 年 31 巻 3 号 p. 739-744
    発行日: 2019/06/15
    公開日: 2019/06/15
    ジャーナル フリー

    本稿では,自動車運転者の属性と運転状況に応じて発話戦略をポライトネス理論に基づいて選択し,音声合成発話によって運転を支援するエージェントを提案する.提案するエージェントシステムは,運転者の年代,性別,性格,運転歴,運転特性などの属性情報を考慮したうえで,受容性の高い発話戦略を選択し,支援を行う.ここでは,提案システムの開発に向けた調査として,運転支援場面を映した動画を用いて運転支援エージェントに対する印象評価実験を行った.特に,日本語会話における特徴的な心理的距離の表現方法である文末スタイルの違いに着目した.実験の結果,非敬語を用いるエージェントは,親密度の向上に有効である可能性が示唆された.一方で,敬語を用いるエージェントは慎重であるという印象を与え,正確に情報を伝えていると感じさせる可能性が示唆された.

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