知能と情報
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32 巻, 5 号
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目次
巻頭言
特集1:「知的活動とユーザエクスペリエンス」
特集2:「東海ファジィ研究会ショートノート」
書  評
用語解説
会  告
学会から
編集後記
特集1 論文:知的活動とユーザエクスペリエンス
原著論文
  • 安藤 裕, 柴田 博仁
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 32 巻 5 号 p. 831-840
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    紙の文書の読みやすさは,紙の「扱いやすさ」に起因するところが大きい.本稿では,業務で見られる10種類の読みを対象に,紙文書に対する行為を分析する.結果,読みごとに多様な行為が多様な頻度でなされていることを確認した.また,行為の種類の観点から読みを支援することを狙いとし,10種類の読みをクラスタ分析し,5つのクラスタを得た.クラスタによって適切なデバイスや支援すべき機能が異なることを明らかにした.

  • 砂山 渡, 中江 剛士, 西原 陽子, 畑中 裕司
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 32 巻 5 号 p. 841-850
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    近年,多くの分野でデータを業務に活用する動きが活発になっている.市販の多くのデータ分析ソフトウェアを利用する際には,データ分析を行う人は事前にソフトウェアの利用法を含めたマイニングのための知識を得なくてはならない.通常,分析ソフトウェアは説明書やチュートリアルを備えるが,データ分析の初心者が実問題に対して適切なツールを選択した上で,複数のツールを使って分析を進めることは必ずしも容易ではない.

    そこで本研究では,テキストマイニングのための統合環境TETDM を用いて,テキストマイニングの初心者に対して,分析の助けとなるツールや操作を含む他人の操作履歴を提示する機能を提案する.そして,この提示機能が初心者のテキストマイニングのツールの利用方法に与えた効果を検証する実験を行い,被験者が分析結果の解釈の幅を広げられる新しいツールの利用を促す効果が期待できることを確認した.

  • 木下 雄一朗, 小出 渉太, 郷 健太郎
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 32 巻 5 号 p. 851-859
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    本論文では,街歩き旅行中の写真撮影の促進に焦点を当てたスマートフォンベースの街歩き支援システムを提案する.システムはWeb上で共有されている写真の位置情報を用いて,高頻度で写真撮影が行われているエリアを特定する.ユーザがこのエリアに入った場合,システムはスマートフォンの振動によってこれをユーザに通知する.このとき,スマートフォンの画面には旅行者の現在位置を中心とした高頻度撮影エリアの位置関係のみが表示され,地図や経路などの詳細情報は表示されない.これは,周囲の環境に対するユーザの意識を高めることを目的とした設計である.実装したシステムを用いて8名の参加者を対象とした街歩き実験を実施した.その結果,システムによる情報の提示が旅行者の意識や興味を周辺環境に引き付けるトリガとなり,特に写真撮影が多くない旅行者の写真撮影枚数の増加につながることが確認された.

特集2論文:東海ファジィ研究会ショートノート
ショートノート
  • 酒井 誠也, 古田 翔太郎, 中村 剛士, 加納 政芳, 山田 晃嗣, 岩堀 祐之, 福井 真二
    原稿種別: ショートノート
    2020 年 32 巻 5 号 p. 860-865
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    聴導犬は,聴覚障害者であるユーザを探し,重要な生活音の発生を身体接触によって迅速に伝達するが,その実働頭数は非常に少ない.その問題解決の1つとして,現在,聴導犬ロボットが提案されている.古田らは,聴導犬ロボットが行うユーザ探索において,過去の探索データからユーザの生活パターンを推定し,それを活用することを提案した.この提案の目的は,ロボットがより迅速にユーザを発見することである.しかしながら,古田らの生活パターン推定方法は,過去の探索データの不足や偏りに対して脆弱と考えられる.そこで,本稿では,過去の探索データをクラスタリングして,適当な確率分布として生活パターンを推定する方法を提案する.提案手法では,クラスタリングにディリクレ過程混合モデルを採用した.実験として,一定の生活パターンを持つユーザをシミュレーション環境上に設定し,聴導犬ロボットがユーザを発見するまでに要した探索時間を評価した.実験の結果,古田らの従来手法に比べ効率的な探索を示す結果が得られた.

  • 塚本 弥八郎
    原稿種別: ショートノート
    2020 年 32 巻 5 号 p. 866-868
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    古典論理での三段論法(肯定法)では,含意文:“P implies Q” が正しくかつ含意における前件部が真のとき後件部を真とするが,前件部が偽のとき後件部については何も述べることはできない,他方,ファジィ推論においては,結論を表現するメンバーシップ関数の値がすべて1のとき,これを unknown と定義している.Max-⊗合成(⊗はT-ノルム)について,水本はファジィ関係,⊗,およびファジィな入力の色々なケースについて推論結果を求めている.本稿では,これら84通りのファジィ推論の計算結果を5つの規範的ルールに基づいて検討する.ファジィ関係をファジィ含意に基づいて構築する立場で考え,ポーラーケースにおいては通常のモダス・ポーネンスに還元されること,含意文:“P implies Q” の前件部が否定されるとき結論については unknown となることは5つの規範のうちの一つとなる.

  • 鷲見 公崇, 吉川 大弘, 古橋 武
    原稿種別: ショートノート
    2020 年 32 巻 5 号 p. 869-872
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    事象関連電位P300は,脳波特徴量の一つである.このP300を利用した技術に関する研究はこれまで盛んに行われてきたが,脳波を計測するため“脳波計”が高額であるため,これらの技術の普及が難しいという課題がある.この課題の解決策の一つに,価格が低額である簡易脳波計の利用が挙げられるが,簡易脳波計は計測精度が低いことが知られている.そこで本論文では,簡易脳波計を用いて計測されたP300に対する検証と,より精度の高いP300計測のための工夫を行う.

  • 松下 真也, 高野 敏明, 友次 克子
    原稿種別: ショートノート
    2020 年 32 巻 5 号 p. 873-876
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    「少数言語の耳を頼りにした書き起こし」という手作業が,言語学者らによって行われている.この手作業は,膨大な時間と複雑な音声表記を必要とする.そこで本研究ではこの作業をサポートするようなシステムの構築を目指す.これまでの実験では,MFCCを使用して「異なる言語間における音のマッチング」を調査したが,精度は低く,精度向上のために前処理が必要と考えられた.そこで本論では,Wavelet解析とSIFT特徴量を用いた前処理に取り組んだ.

  • 池田 祐輔, 高野 敏明
    原稿種別: ショートノート
    2020 年 32 巻 5 号 p. 877-880
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    近年,ビッグデータを対象とした深層学習による手法の研究が盛んに行われている.それに伴いデータセットが必要となるが,大量のデータに対して手作業での処理となるため時間と手間がかかってしまう.この問題は,画像データセット作成におけるシーン分類においても同様に存在する.本論文では,シーン分類における問題の解決のために,人間の行うシーン分類での根拠となる画像内の物体に着目した手法を提案する.今回は試みとして,提案手法に基づき物体認識結果を利用したLDAによるシーン分類についての実験とその考察を行った.

  • 小田 哲久
    原稿種別: ショートノート
    2020 年 32 巻 5 号 p. 881-886
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    各種代表値指標の中で,ミッドレインジ(Midrange:MR)は,外れ値に弱いという欠点があり,今ではほとんど使われないが,人間が複数の観測値の代表値を直感的に求める時のモデルとしては有力候補の1つである.しかし,MRは最大値と最小値しか利用せず効率が良くないので,少数データに関しては,人間のデータ処理モデルに最適とは言い切れない.本研究は,データ集合をレインジのネスト(入れ子)として扱い,各レインジのMRを一定規準で作成したウェイトで結合した重み付き平均を,新たな代表値指標として提案.4種のモデルの中で,観測データのソーティングが不要なモデルとしてXMR指標を取り上げ,伝統的な代表値指標との関係を,指数乱数によるシミュレーションで調査した.また,調査に似た心理学的実験を試行し,被験者の応答する主観的代表値がどの指標に近いかは個人差が大きいことが示唆された.

  • 趙 艶, 高瀬 治彦, 北 英彦
    原稿種別: ショートノート
    2020 年 32 巻 5 号 p. 887-890
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,日本語学習者が作文授業において犯した誤りを自動検出することをめざす.本稿では,授業中に教師が指摘した誤りを蓄積しこれを機械学習することで,学習者の作文から誤りを指摘する.特に,1文節内で判断できる文法誤りに着目し,これを検出するための特徴量の作り方,学習法について検討した.その結果,形態素解析により得た情報をもとに特徴量を構成し,ランダムフォレストにより学習することで,未知の特徴量を持つ文節を76%の精度で正しく判定できた.

  • 三好 哲也
    原稿種別: ショートノート
    2020 年 32 巻 5 号 p. 891-896
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    災害時に迅速な誘導は重要な課題である.光源や音源を用いた積極的避難誘導法に関する研究報告がある.本研究は,音源を避難方向に順に走査する避難誘導システムの提案ならびに開発することを目的としている.本論文では,その基礎研究として,走査された音源の走査方向認知に関する特性の分析について報告する.走査された音源の走査方向認知に影響する要因として,音源,走査時間間隔,スピーカ間隔,被験者位置,直進または屈曲する走査パターンを設定した走査方向判定実験を行った.その実験結果から,音源に音声を用いる場合と走査時間間隔を延長した場合に,走査方向の認知率が向上することを示した.また,格子状のスピーカ配置の場合,走査パターンが被験者位置から離れると認識率が低下し,後方から走査されるパターンほど顕著であることを確認した.走査パターンとして直線走査と屈曲走査を比較した結果,本実験条件では明確な差は確認できなかった.

  • 牧野 紘己, ジメネス フェリックス, 加納 政芳
    原稿種別: ショートノート
    2020 年 32 巻 5 号 p. 897-902
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    本稿では,学習者とロボットが一対一で学習する場面において,ロボットが学習者に共感するための覚醒度を優先した共感表出モデルを提案する. 従来の共感表出モデルでは,学習者が連続で正解もしくは不正解した場合,同じ感情が繰り返し表出され,感情表出が画一化するという課題がある.提案モデルでは,感情選択の際に覚醒度を優先することで,多様な感情を表現するものである. 実験では,感情をランダムに表出するロボット,従来モデルを搭載したロボット,提案モデルを搭載したロボットを比較する.

  • 岡野 光稀, 西野 順二
    原稿種別: ショートノート
    2020 年 32 巻 5 号 p. 903-906
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    本稿では,目的外行動を行うAI(out of purpose behavior AI: OAI)と呼ぶ,ゲーム本来の目的とは異なるプレイを行うAIの構成方法について検討する.OAIの設計では,人間は自らの価値観に基づいて行動の目標設定を行う,という発想に基づき,ゲームのプレイ状況に応じた目標設定を自動で調整するための「価値観」と,その調整の基準となる「愛着」をシステム化した.実験結果より,迷路ゲームのマップ上で図形を描くという目的外行動において,OAIはより愛着の強い図形を多く描くようにプレイ傾向を変化させたことを確認した.

  • 兼岩 尭希, 中村 剛士, 加納 政芳, 山田 晃嗣
    原稿種別: ショートノート
    2020 年 32 巻 5 号 p. 907-911
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    擬音語・擬態語の総称であるオノマトペは,音象徴性を持つとされる.音象徴とは,特定の音が特定のイメージを喚起する事象であり,類似した特定の音は類似した特定のイメージを喚起できると考えられる.浦田らは,この音象徴性に基づいて,オノマトペの意味の類似関係をオートエンコーダの中間層によって可視化するオノマトペ・シソーラス・マップを提案した.このマップ上の局所的な位置関係は,オノマトペ間の意味的な類似関係を概略的に表すことができると報告されているが,音象徴の可視化に関して評価が十分なされたとは言い難い.本研究では,音象徴に関する言語学的知見を元に仮説を設定し,マップの可視化能力について検証を行った.検証実験の結果,マップは仮説をある程度支持するものの,一部については仮説と異なる結果が得られた.

  • 中村 直紀, 森田 賢太, 森田 直樹, 高瀬 治彦
    原稿種別: ショートノート
    2020 年 32 巻 5 号 p. 912-916
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    機械学習を利用する際は,学習に用いる教師データの準備や各種パラメータの設定が必要である.機械学習が注目を集める昨今,専門的な知識や経験を有していない者が機械学習を行うケースも増加してきた.本研究で対象とするSemantic Segmentationを行うSegNetは,認識対象をピクセル単位でアノテーションした教師画像が必要である.そのため,教師画像の作成には膨大な時間と手間を要する.これまでの研究では,それぞれの認識対象を学習する際のデータセットやパラメータは示されてきた.しかし初めてSegNetを使う際に必要となる教師画像の枚数やパラメータの設定などの教師画像の与え方についての調査が行われた例は無い.教師データ数が多ければ多いほど認識精度の向上が期待できるが,用意した教師データ数に比例して認識精度が向上するわけではない.本稿では,教師画像の与え方として教師画像の枚数とバッチサイズの設定値が認識精度に与える影響を調査したので報告する.

  • 加藤 央昌, 早瀬 光浩
    原稿種別: ショートノート
    2020 年 32 巻 5 号 p. 917-922
    発行日: 2020/10/15
    公開日: 2020/10/15
    ジャーナル フリー

    本稿では,観光支援のためのルート提供機能を提案する.ルート提供機能とは,複数の観光スポットを訪れる順序をルートと定義し,指定時間内で観光スポットを訪れるルートの選出とルートの候補を示すこととする.観光スポットは,各スポットの位置情報やジャンルなどをデータベースに登録する.位置情報はルート選出に利用し,ジャンルはルート候補の決定に利用する.まず,ルートの選出は,指定時間内で訪れることができる観光スポットの集合を作成し,スポットを訪れる順序を決定する.次に,選出された各ルート内におけるジャンルに着目し,ルート内で異なるジャンルが多い場合に順位が上位になるようルートの順位付けを行う.最後に,順位の上位から指定数のルート候補を示す.これにより,幅広い観光スポットを紹介することが可能となり,観光活性化の一助になると考える.

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