本研究では,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いてセロファンテープ試験で採取した画像から耐候性鋼材のさびの外観評価を行う手法の精度改善について検討する.提案手法として,アンサンブル学習のbaggingを導入し,1枚のパッチ画像を複数のCNN識別器を用いて判定する手法,および,1枚のテープ画像から得られる複数枚のパッチ画像の判定結果を統合しそのテープの判定を行う手法を提案する.
道路管理者は日常的に道路を点検しているが,点検すべき施設の数は膨大であり,地方自治体の人手不足も深刻なため,安価で効率的な点検方法が求められている.著者らは,パトロール車両に安価で容易に搭載できるドライブレコーダに着目し,深層学習による道路地物の認識技術を用いた日常点検を効率化する研究を実施している.本研究では,動画像から点検に適した地物画像のみを抽出する認識モデルの構築可能性と,学習させる道路地物の適切な組み合わせを明らかにする.評価実験の結果から,認識モデル作成時に「点検に適した画像のみを学習データとすること」と「類似する道路地物のみを組み合わせて学習させること」を考慮する必要があることが明らかとなった.
交通死亡事故のうちヒューマンエラーによる事故が多くを占めており,これらの事故はドライバの不注意や運転への意識低下がその発生要因の一つとされる.そこで,運転操作以外にドライバの注意をそらす行動(不安全運転行動)の発生を検知し,ドライバに注意を促すことで,事故防止への貢献を期待できる.本論文では,手先の動きからドライバの行動内容を推定することに着目する.両手首に加速度センサを装着し,ドライビングシミュレータを用いた運転行動の計測実験を行なった.取得したデータから運転中の行動内容を推定する第1ステップとして,Sliding-Window法とk最近傍法を組み合わせて行動内容の推定を行い,手首につけた装着型加速度センサで検出可能な運転中の行動内容とその推定精度についての考察を行なった.
強化学習においてカリキュラム学習の適用は,自律エージェントの行動獲得に作用し,学習効率及び性能の向上が見込める.しかし,カリキュラム学習に必要な要素である「カリキュラム」の生成には,専門的知識や深い事前理解を有することを前提条件としているため,多くの課題が残っている.また,カリキュラム生成手法も対象タスクに特化し,汎用性に欠けることが多々ある.そこで本研究では,エキスパートの軌跡(状態の履歴)に基づき,クラスタリングを用いたカリキュラム自動生成によって上記の課題を解決する新たな手法を提案した.実験では通常のエージェントと提案手法を用いたエージェントの学習効率の比較を行い,提案による複数の側面からのパフォーマンス向上を確認した.
すでにアカウントをお持ちの場合 サインインはこちら