知能と情報
Online ISSN : 1881-7203
Print ISSN : 1347-7986
ISSN-L : 1347-7986
35 巻, 1 号
選択された号の論文の35件中1~35を表示しています
目次
巻 頭 言
特集: 「FSS2022 ショートノート」
報 告
書 評
用語解説
会  告
学会から
編集後記
特集論文:FSS2022ショートノート
ショートノート
  • 藤田 実智斗, 内田 ゆず, 荒木 健治
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 501-505
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    日本語オノマトペの多くは複数の語義を持ち,それらの語義は周辺の文脈によって判別される.従来研究では,事前学習済みのBERTモデルから得られるオノマトペのベクトル表現を用いた語義分類の自動化が提案されている.この手法は一定の性能を達成しているが,訓練データを作成するためのアノテーションコストが高く,全てのオノマトペに対して訓練データを豊富に用意することは難しいという課題が残る.本論文では,低いアノテーションコストで語義分類を自動化することを目指して,オノマトペの辞書にある用法を用いたルールベースの語義分類手法を提案する.実験の結果,用法から生成したルールが語義分類の精度向上に貢献することが確認された.

  • 宮島 洋文, 重井 徳貴, 宮島 廣美, 白鳥 則郎
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 506-510
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    データの安全性を保持し学習を実行する方法に関する多くの研究が行われている.その1つに,秘匿データの分散処理を用いた秘密計算法が知られている.この手法の特徴は,機械学習におけるデータやパラメータを分解して分散処理することで,高い秘匿性を実現する.一方,分解データやパラメータの分散・統合による機械学習の実現は,計算量の増大と計算精度の劣化を招く.本稿では,サーバ数の増加に伴う計算量(パラメータの更新回数)の増加を抑制するBP学習法の改善方法を提案し,その有効性を実証する.

  • 山口 裕貴, 重井 徳貴, 宮崎 正信, 石塚 洋一, 阿部 伸一, 西野 友哉, 宮島 廣美
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 511-516
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    透析導入が必要な慢性腎不全の予防策として,いくつかの市町村の行政や医師会などでは,健診結果に基づき,かかりつけ医と受診者へのコメント作成を行っている.しかしながら,判定やコメントの作成は医師や保健師の手作業によるところが多く,多大な労力を必要とする.本研究では,この作業の自動化を実現するための一検討として,機械学習を用いた腎機能のトレンド判定について検討する.異なる受診回数や受診期間に対処するデータの前処理を提案し,機械学習モデルとして,勾配ブースティング決定木を用いたアンサンブル学習の手法を提案する.約3千件の健診データを用いた評価において,前処理とアンサンブル学習の有効性を示す.

  • 井ノ口 弘昭, 秋山 孝正, 尹 禮分
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 517-520
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    近年,自転車や電動キックボードなどのシェアリングサービス,オンデマンド型交通など多様な交通機関によるサービスが行われている.また,これらを統合し,移動をサービスとして捉えたMaaSの導入も進められている.本研究では,人工社会モデルを用いて,都市部の交通サービスの適切な組み合わせを検討する.具体的には,いまざとライナー(BRT),オンデマンドバスなどのサービスが行われている大阪市南東部の地域を対象として,幹線交通に対応した適切な端末交通の組み合わせを検討する.

  • 松村 侑真, 矢口 瑛貴, 小野 景子, 槇原 絵里奈, 花田 良子
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 521-525
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    ユーザが好むインテリア推薦は,画像検索の技術発展と共に利活用が進んでいる.ユーザの好むインテリア推薦は,好みを分類モデルとして捉えモデリングするのが一般的であるが,なぜ好むのかという説明には不向きである.一方,潜在特徴量に基づき文章特徴量を分析するLDAは,文章に含まれる潜在特徴量を推定することにより,文章の理解を深めることが可能である.そこで,本研究では,ユーザの好むインテリア画像はどのような構造であるかを理解するため,画像の空間特徴量とLDAによりインテリア画像に含まれる潜在特徴量を推定する手法を提案する.具体的には,文章の代わりにインテリア画像をSURF特徴量に基づくBoVWおよびそのヒストグラムを用いて空間特徴量を抽出し,ヒストグラムを用いLDAによりトピック推定を行う.インテリア画像に含まれる複数のスタイルを被験者実験により取得し,提案法との比較を行ったところ,被験者の主観と類似するインテリアのトピック推定が可能であることがわかった.

  • 浅見 大河, 野本 弘平
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 526-531
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    本論文は,就職活動の知的技能を解明することを目的とする.実験協力者が自分の就職先を選ぶために企業データを閲覧し,その視線を視線計測装置で測定する実験を行った.また,知的技能を客観的に評価するために,個人の価値観を反映させた企業評価が行えている度合いを「一貫性」と定義した.結果として,一貫性が高い人ほど企業データを一様に比較していることが分かった.

  • 宮平 裕一, 井口 牧志, 野津 亮, 本多 克宏
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 532-537
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    JADEは確率分布を用いて適応的にパラメータを選択する最適化アルゴリズムである.しかし,解の母集団外の領域の探索を考慮していないため,Nelder-Mead法などの効率的な母集団外探索を追加することで改善することが可能である.本研究では,探索速度をできるだけ高く保ちつつ,少ないパラメータ数で母集団外探索を追加する簡便な方法を検討し,数値実験によりその有効性を確認した.

  • 秋月 拓磨, 高橋 弘毅
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 538-542
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    健康起因による交通事故が増加傾向にある.発作などドライバの体調急変による事故を予防するために,呼吸や心拍などのバイタル情報を日常的に計測して,その兆候を早期に捉えることが重要である.本研究では,ドライバの心身状態を運転中を含めて日常的に把握するために,簡便・安価な方法として小型の加速度センサを用いた呼吸計測の方法を検討した.具体的には,ドライバの腹部に加速度センサを装着し,呼吸運動に伴う加速度波形を取得した.得られた波形を複数の周波数分解能で周波数解析することにより,呼吸数を精度よく抽出する方法を提案した.また,従来の伸縮式センサを用いた場合と呼吸数の計測結果を比較し,提案手法の妥当性を検討した.

  • 浅井 佑仁, 伊丹 琢, 米山 淳
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 543-546
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    このショートノートでは,高木・菅野ファジィシステムのH∞制御とコスト保証制御を掛け合わせた新しい制御設計を提案する.H∞制御は,システムに入る外乱を抑制し,コスト保証制御は制御器の制御性能を向上させる.高木・菅野ファジィシステムの制御設計については,これまでに多くの論文で議論されているが,この混合問題はまだ考慮されていない.このショートノートでは,制御性能を向上させることができるコスト保証制御に関わる評価関数の上限を下げるアルゴリズムを提案する.本制御器は,H∞制御とともに,制御性能だけでなく外乱の抑制にも配慮した制御設計手法を採用している.最後に,数値例を用いて提案された設計手法の有効性を示す.

  • 山口 翔大, 下川原(佐藤) 英理, 山口 亨
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 547-551
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    近年,機械学習や画像処理を用いた読唇技術に関する研究が国内外でおこなわれている.これらの研究では,認識手法や認識精度に焦点を当てたものが多いが,実際に読唇を活用してコミュニケーションをとっている聴覚障害者に焦点を当てた研究は少ない.機械による読唇技術において認識精度の高かった話者であっても,聴覚障害者にとって読唇をしづらい話し方である場合もある.そこで本研究では,日常的に読唇を活用してコミュニケーションをとっている聴覚障害者にとって,読唇がしやすい話し方を数値的に解析すべく実験と調査をおこなった.

  • 味本 健祐, 楠木 祥文, 中島 智晴
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 552-555
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    ファジィ識別器は,高い識別精度を実現しながら,そのメカニズムを言語的に説明することができる.本論文では,識別境界が時間とともに変化するような動的環境において識別メカニズムを説明することを目的とする.そのために,ファジィ識別器をConfidence-Weighted 学習によりオンライン更新させることを提案する.ファジィ If-Thenルールの重みがどのように変化するかを調べることで,この学習モデルにより動的環境において識別メカニズムを言語的に説明できることを確認した.

  • 金崎 雅博, 今村 太郎
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 556-560
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    進化的アルゴリズムなどMetaheuristicsを最適化法に用いた空力形状最適化において,数値流体力学における物体適合格子の形成は効率と精度,個体ごとの計算の成否を分け,大域的最適化法を用いることのメリットを損なうことがある.本研究では物体に沿った物体適合格子ではなく,直交格子法に基づいて任意形状の流れ場をロバストに計算することができる,物体境界の処理に埋め込み境界法を用いる数値流体力学による空力評価手法とそれに基づく大域的空力最適化法を構築し,本手法だから実現できた設計問題を含めて試行した.それらの概要について説明する.

  • 横田 裕海, 藤本 勝成, 川上 智彦, 長山 咲子, 岡崎 航大, 幕内 悦予, 阿部 雄太, 大高 雅彦
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 561-566
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    周期表上の各元素はLIBS分析において其々固有のピークスペクトルを持つ.このため,分析試料からの各ピーク波長を識別することにより,試料の化学組成 を判別することができる.また,これが,一般的な試料同定手法となっている. しかしながら,種々の測定条件により,このピークサーチの作業は,非常に骨 の折れる作業である.本研究では,機械学習の手法を用いた,標準試料のみを 用い,データベースの参照もピーク波長のサーチも行わない新たなLIBSスペク トルの分析方法を提案する.

  • 今村 一也, 川中 普晴, 松井 良諭
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 567-570
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,黄斑浮腫を伴う網膜静脈分枝閉塞症において,臨床データと機械学習を用いて視力予後を推定する方法について検討する.現在,眼科臨床においてインフォームド・コンセントを得るためには,定量的な予後評価が必要不可欠である.その一方,患者の視力予後を推定することは容易ではなく,定量的な視力予後推定法が強く求められている.本論文では,光干渉断層画像や臨床データから特徴量を抽出し,ロジスティック回帰を用いて患者の予後視力を良好・不良群へ分類する手法を提案する.三重大学医学部附属病院で12ヶ月間の経過観察を得られた66名のBRVO患者を対象とした評価実験を行った.実験の結果,ROC曲線のAUCの平均値は0.92となり,提案法による予後推定の可能性が示された.

  • 豊田 武晴, 金崎 雅博
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 571-575
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    スペースデブリは人工衛星の運用終了時やロケット打ち上げ時に軌道上に残される人工物であり,宇宙開発の活発化に伴いその数は増加の一途をたどっている.スペースデブリは新たな宇宙船の打ち上げ時に軌道上で衝突する危険性があるため,デブリ投棄・最終処理に関する研究が盛んに行われている.デブリの最終処理は大気圏に再突入させることによって行うが,燃え尽きずに地表に落下する可能性があることから,人的・物的被害をもたらす陸上を避け,海上に落下するような軌道設計が求められている. 能動制御ができないスペースデブリは,予め最適な軌道を予測したうえで再突入のタイミングやその際の増速量を考える必要がある. 本研究ではデブリの大気圏再突入時から地表到達までをシミュレーションし,到達した地表位置と海岸線までの距離を評価したうえで,これを陸上危険度と考えて進化計算により最適化を試みた結果を報告する.

  • 河﨑 玲, 井ノ口 弘昭, 秋山 孝正
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 576-580
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    現在,都市高速道路は対距離料金制が導入されており全線一律な料金設定となっている.本研究では,空間的な需要対応型の料金政策として都市高速道路の路線別料金を提案する.このとき,個別路線の対距離料金の組み合わせ最適化問題が定式化されることになる.そこで,本研究では,代表的な群知能技術として蟻コロニー最適化を適用する.ここでは,蟻コロニーアルゴリズムの実用的な修正と効率化について考察する.最終的には,都市道路網の総走行時間の減少を目的とした都市高速道路の路線別料金の組み合わせを提案する.

  • 岩川 壱, 加納 政芳, ジメネス フェリックス, 早瀬 光浩, 吉川 大弘, 田中 貴紘
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 581-586
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    近年,高齢者による交通事故の割合が増加傾向にある.この問題を解決する手段として,運転支援機構の一種である運転支援ロボットが注目されている.本稿では,運転支援ロボットの発話特性がロボットからのアドバイスの受け入れ度合い(支援受容性)におよぼす効果について調査した.その結果,助詞や文末のピッチを下げると知性の印象が高まり,逆にピッチを上げると擬人化の印象が高まることが確認された.また,運転支援ロボットに対して擬人化が生じた被験者において,知性と支援受容性の間に正の相関が見られた.このことから,支援受容性を高めるためには,知性の印象を付与することが必要である可能性が示唆された.

  • 土肥 直樹, 星野 孝総
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 587-592
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究では,COVID-19の症例数を予測した.この分野では,統計モデルが用いられてきた.しかし,近年では,機械学習の適用が行われている.国毎に感染症対策や国民性に違いがあり,予測に適切なモデルが異なる.従って,日本国内においても適したモデル選択を行う為に両者を比較する必要がある.そこで,RNNをMSEとAICの2つの損失関数を用いて学習しARIMAを元に評価・比較した.その結果,RNNはARIMAに比べ,RMSEが49.5%減少し,特にSeq2Seqでは,R2=0.92となり,最も良い結果を示した.本稿では,RNNとその他手法との比較結果を報告する.

  • 奥田 真矢, 藤田 大輔, 田中 洋, 無藤 智之, 乾 浩明, 小橋 昌司
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 593-597
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    肩腱板断裂は,日常生活の動作やスポーツ外傷,加齢などによって引き起こされる一般的な肩関節の障害である.肩腱板断裂の診断には磁気共鳴画像装置(MRI)が広く用いられているが,より迅速かつ普及した撮像手法として単純X線撮影がある.本研究ではより簡便な肩腱板断裂診断のために,肩のX線画像に畳み込みニューラルネットワークを用いた検出法を提案した.その結果139名の被験者,断裂の有無による2クラス分類において,最大79.3%の検出精度を示した.

  • 饒 晋炎, 野本 弘平
    原稿種別: ショートノート
    2023 年 35 巻 1 号 p. 598-602
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    本研究は,薄暮に歩行者と車両との交通事故が多くなる原因を,歩行者の薄暮における視覚特性から検討したものである.この視覚特性をデータ化するために,視線計測装置を装着した実験協力者が,車両とすれ違う右側の歩道を日中,薄暮,夜間に歩行する実験を行った.視対象は静的対象(動かないもの)と動的対象(接近して来る車両)に分けて,実験により得られた視線データを解析した.結果として,薄暮における視覚特性は,日中と夜間との中間的なものではなく,薄暮特有のものであることが分かった.そして,薄暮には,動的対象を注意深く見ることが疎かになり,その動的対象を見るタイミングは,特定の距離に限られる傾向があることが明らかになった.

一般論文
原著論文
  • 入江 穂乃香, 林 勲
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 35 巻 1 号 p. 603-614
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    パターン分類問題に対して,複数個の弱判別器を学習しそれらを統合的に組み合わせて全体の識別精度を向上させるアンサンブル法に対する関心が高まっている.本論文では,仮想的に生成したデータを学習データに追加して,複数個の弱判別器を学習しこれらの多数決により識別精度を向上させる新たなバギング(Bagging)を提案する.仮想的に生成したデータをバーチャルデータと呼び,このバギングをpdi-Bagging(Possibilistic Data Interpolation-Bagging)と呼ぶ.ここでは,バーチャルデータの領域を特定化する新たなバーチャルデータ発生法とバーチャルデータのクラスを決定する新たな評価指標を提案する.バーチャルデータの発生領域の特定化では,学習データの分布性と方位性を考慮し,誤判別型,正判別型,混合判別型の5種類の発生法を導入する.また,評価指標の定式化では,正誤判別データとバーチャルデータとの空間的類似指標を基盤とした3種類の評価指標を定式化する.pdi-Baggingでは,バーチャルデータが学習データに追加されるので,バーチャルデータの追加の方法によってはクラス間のデータ量の偏りがなくなり,判別線の同定精度が向上し,評価データに対して高い識別率を得ることができる.ここでは,新たなpdi-Baggingのアルゴリズムを定式化し,数値例を用いて本手法の有用性を議論する.

  • 大久保 友幸, 金子 弘祐, 田部井 賢一, 小林 一行
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 35 巻 1 号 p. 615-623
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    2021年現在,日本や先進諸国は高齢化が進展しており,高齢化の進展につれ認知症患者も増加している.認知症患者のうち一定の割合で,レビー小体型認知症(DLB)患者が存在し,DLBの中核症状に幻視がある.幻視は実際には存在しないものがリアリティを持って見えることで患者のパニックを引き起こす.本研究では患者の生活支援を目的とし,幻視の識別を支援するシステムを構築する.幻視識別支援システムは物体検出技術YOLO,視線計測器,視界カメラおよびフィードバック提示用LEDを使用する.視界カメラ画像の人物検出により検出された人物領域内に視線が一定時間以上存在した場合に,視線計測器に取り付けたLEDを点灯し被験者にフィードバックする.これにより被験者が人間を幻視があっても,フィードバックがなければ幻視だと識別できる.検証実験では話者3人による人物視実験を2種類おこない,99.2%の正常な動作結果を得た.

  • 橋本 祥奈, 大川 創, 工藤 康生, 村井 哲也
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 35 巻 1 号 p. 624-632
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    本論文では,橋本らによる対象の更新後の決定表から相対縮約を高速に獲得する手法の改良を試みる.橋本らの手法は,対象の追加による決定表の更新,対象の削除による決定表の更新,および対象の書き換えによる決定表の更新に対して,それぞれ相対縮約を高速に抽出する手法で構成されているが,これらの手法は決定表が無矛盾であることが暗黙的に仮定されており,矛盾を含む決定表からは,更新後の相対縮約を正しく抽出できない場合がある等の問題点があった.本論文ではこの問題点を解決することを目的に,決定表への対象の追加による矛盾データの発生,および対象の削除によるある矛盾データの無矛盾データへの変化に対応する機能を追加し,橋本らの手法を矛盾データ対応可能とするよう改良する.更に,計算機実験により提案手法の有用性を検証する.

  • 大木 真, 入口 純太, 松木 大
    原稿種別: 原著論文
    2023 年 35 巻 1 号 p. 633-644
    発行日: 2023/02/15
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー

    本論文では,次の2点について報告している.(1)集団エゴグラムの導出方法の提案,(2)導出された集団エゴグラムを個人のエゴグラムと同じように解釈し利用することができることの確認.集団エゴグラムは集団の性格を数値表現する方法であり,本研究では「エゴグラム」と「集団意思決定ストレス法(以下,ストレス法)」の2つの手法を組み合わせて実現する.「エゴグラム」は個人の性格分析に用いられる方法で,「ストレス法」は集団意思決定支援手法の一種である.チームスポーツ研究の分野では,各個人のエゴグラムを算術平均することで集団のエゴグラムを導出している研究が存在する.しかしながら,エゴグラムは5つの指標が作り出すグラフの概形が重要な意味を持っており,全体的な大きさに差のある他者のエゴグラムとの単純な算術平均は適切ではない.グラフの概形を崩さずに,大きさを揃えて比較できるようにする方法が必要である.ストレス法を数学的にみると,“各個人のエゴグラムの意味(概形)を保ったまま,全員のエゴグラムのスケールを揃えてから平均をとる”ことができる.つまり,数学的には矛盾なく他者との合理的なエゴグラムを導出できる.これらを用いて集団の性格を数値表現する「集団エゴグラム」を提案する.さらに導出した集団エゴグラムが,心理学的に本当にその集団の性格を表しているかどうかについて確認するため評価実験を行う.評価項目は「リスク志向性」「チーム指向性」「時間遵守傾向」「調和傾向」の4項目とした.結果として,評価項目全てにおいて集団エゴグラムの有用性を確認することができた.

feedback
Top