日本口腔インプラント学会誌
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最新号
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特集 AIとロボティクスが切り拓く歯科医療の未来
  • 細川 隆司, 鮎川 保則
    2026 年39 巻2 号 p. 82
    発行日: 2026/06/30
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    近年,計算機性能の向上と深層学習技術の進展に伴い,人工知能(AI)はあらゆる産業にパラダイムシフトをもたらしている.この潮流は歯科医療領域においても例外ではなく,パノラマエックス線画像,CBCT 画像,口腔内スキャナによる三次元データ(STL データ)など,日常診療で得られるデジタルデータを対象とした研究が急速に拡大している.従来の画像診断支援における齲蝕や歯周病の検出から始まった歯科AI は,現在,補綴治療やインプラント治療におけるリスク予測,術式選択,さらにはロボティクスと融合した術中支援システムへと,その応用範囲を質的に変化させつつある.

    しかし,医療AI の社会実装を加速させるためには,技術的な予測精度の向上と同時に,医療倫理や安全性を担保するための厳格なガバナンスが不可欠である.特に,AIの判断過程がブラックボックス化する課題に対しては,ヒートマップなどで判断根拠を可視化する「Explainable AI」の導入が必須となる.また,生成AIや大規模言語モデルをインフォームドコンセントなどの対話支援に用いる際には,ハルシネーション(根拠なき出力)による誤情報の伝達や,要配慮個人情報の流出を徹底的に防がねばならない. これらの課題に対するきわめて現実的な解法として,最新のアーキテクチャ設計では,外部知識基盤を多層構造化し,AI エージェントの制御によって「断定的結論の回避」や「専門的判断が必要な場面での応答抑制」を自律的に行う安全性重視の設計が提唱されている.すなわち,AIの役割は個別症例に対する医学的判断の主体となることではなく,治療選択肢の構造化や患者の理解度に応じた情報整理といった「歯科医師と患者の対話の補助・支援」に限定されるべきであるという考え方である.

    本特集では,第55回日本口腔インプラント学会学術大会の特別シンポジウム「AIとロボティクスが切り拓く歯科医療の未来」での議論を礎とし,歯科AIの基礎概念から臨床応用,そして安全性や個人情報保護に配慮したシステム設計論まで,最前線の知見を包括的に提示していただいた.AI技術がもつ臨床的な有用性と限界を正しく見極め,術者との協調および説明責任の所在を明確にするガバナンス体制を構築することこそが,次世代の歯科医療に真に資する社会実装への道標となる.本稿が,会員各位の臨床と研究における新たな一歩を照らす契機となれば幸いである.

  • 西田 健, 西田 くらら, 正木 千尋
    2026 年39 巻2 号 p. 83-89
    発行日: 2026/06/30
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    インプラント治療は,画像診断,外科的計画,補綴設計,リスク評価,費用・期間見積りなど複数領域にまたがる意思決定から構成される.一方で患者には,治療選択肢や併発症・偶発症・合併症リスク,費用の妥当性,生活背景を踏まえた相談ニーズが存在するが,診療時間やプライバシーの制約により十分な対話が困難な場合がある.そこで本稿では,診断や治療方針を代替しないことを前提に,生成AIを用いたインフォームドコンセント支援システムの設計案を提示する.事前知識を参照して応答を生成するRAGを,役割と制約を明確化したAIエージェントにより制御する構成を想定し,根拠提示,不確実性の明示,専門的判断が必要な場面での応答抑制を組み合わせた安全性重視の設計を志向する.さらに,知識基盤を公開エビデンス,抽象化された臨床知識,制度・地域情報の三層に分離し,法制度に配慮した運用を前提とする.本稿は有効性の実証ではなく,医療分野における生成AI活用の設計論点と要件を整理するものである.

  • 山口 哲
    2026 年39 巻2 号 p. 90-97
    発行日: 2026/06/30
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    人工知能(Artificial Intelligence:AI)は,計算機性能の向上や深層学習技術の発展に伴い,近年急速に応用が進んでいる.歯科領域においても,パノラマエックス線画像,CBCT画像,口腔内画像などを対象とした診断支援研究が進展しており,齲蝕や歯周病の検出に加え,診断支援・治療計画支援への応用も広がりつつある.本稿では,AIの基本概念と技術的進展を概説したうえで,歯科領域におけるAI研究の現状を整理し,画像診断支援を中心とした代表的応用例を紹介した.さらに,著者らが取り組んできた補綴治療支援AIおよびインプラント治療支援AI の研究事例を概説し,Explainable AI(XAI)やAIとロボティクスの融合についても論じた.AIは歯科診断や治療計画を支援する有用な技術となりうる一方で,説明可能性,外部妥当性,再現性,倫理性,安全性などの課題も残されている.今後は,これらの課題に適切に対応しながら,歯科医療に真に資するAIの社会実装を進めることが重要である.

原著(基礎研究)
  • 関矢 泰樹, 名取 健寿, 梨本 正憲, 伊藤 聖, 米田 隆紀, 森 亮太, 坂本 智彦, 伊藤 充雄
    2026 年39 巻2 号 p. 98-106
    発行日: 2026/06/30
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    目的:傾斜埋入したインプラントの上部構造に対して,咬合接触点がひずみ,たわみおよび間隙の形成へ与える影響を検討することを目的とした.

    材料および方法:インプラントは強ひずみ加工材のチタン(ZAPP)を用い,直径4.4mm,長さ18.95mmにて製作し,上部構造は焼き入れ鋼(SK4F,山陽特殊鋼)で長さ18.5mm,幅8mm,高さ8mmにて製作した.ひずみの測定は傾斜10°,20°,30°のインプラントにひずみゲージを用い,万能試験機にて50Nから800Nまで行った.咬合接触点は下顎第一大臼歯の幅径12mmに従い,上部構造の中心部をC点およびC点から傾斜方向の反対側の6mmに位置するA点と,3mmのB点とした.間隙の観察と幅の測定はCTにて行った.測定は各5個用い,各測定値は一元配置分散分析後,有意差検定を行った.

    結果:A点の800Nでの傾斜10°および20°のひずみ(%)は0.3以上,傾斜30°は0.1以下で有意差が認められた.B点の傾斜10°のひずみ(%)は0.11,傾斜20°は0.035,傾斜30°は0.05であった.各傾斜角間において有意差が認められた.C点の傾斜10°のひずみ(%)は0.1,傾斜20°は0.14,傾斜30°は0.18であった.各傾斜角間において有意差が認められた.A点の傾斜10°と20°のたわみは傾斜30°よりも大きく有意差が認められ,B点とC点においては有意差が認められなかった.間隙幅(μm)については,A点の傾斜10°の24.0と20°の12.0で有意差が認められた.B点とC点は間隙が観察されなかった.

    結論:咬合接触点と傾斜角は,ひずみ,たわみおよび間隙の形成に影響することが明らかとなった.

  • 堀田 正人, 安藤 優, 加藤 昂也, 古澤 なつき, 新谷 耕平, 小川 雅之, 川木 晴美, 梶本 忠保
    2026 年39 巻2 号 p. 107-113
    発行日: 2026/06/30
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    目的:密度40 pcf(pounds per cubic foot),30 pcf,20 pcf の硬質ポリウレタン模擬骨ブロックをインプラント窩形成の訓練時に使用することを目的に,Misch が骨ドリリング感覚をたとえた木材であるカシ材,ホワイトパイン材,バルサ材を用い,その内部構造と機械的強度,切削トルク値を比較した. 方法:各種模擬骨ブロックと木材の内部構造を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し,ビッカース硬さと3点曲げ強さを測定した.パイロットドリルとファイナルドリルを用いてインプラント窩形成時の切削トルク値も測定し,一元配置分散分析とKruskal-Wallis 検定を用いて統計処理した.

    結果:SEM 観察から,各種模擬骨は100~400 μm の球形の空孔で構成され,その個数,分布が異なり,木材も空孔の形,割合,分布に差を認めた.ビッカース硬さ(Hv)の各種試料(40,30,20 pcf, カシ材, ホワイトパイン材, バルサ材)の平均値は(43.7,22.8,15.3,22.0,14.5,測定不能),3点曲げ強さ(MPa)の平均値は(25.7,15.4,6.3,82.5,83.2,25.2)であった.切削トルク値(N・cm)の平均値はパイロットドリルが(5.25,2.08,1.43,7.22,3.32,1.24),ファイナルドリルは(11.35,7.28,2.53,27.2,13.8,2.6)であった.

    結論:各種模擬骨ブロックとMisch 分類の木材のビッカース硬さ,3 点曲げ強さ,切削トルク値について有意差検定を行った結果,ビッカース硬さでは模擬骨の20 pcf がホワイトパイン材相当で,30 pcf と40 pcf がカシ材相当であった.3 点曲げ強さでは40 pcf がバルサ材相当であった.切削トルク値ではパイロットドリル,ファイナルドリルともに20 pcf がバルサ材相当,40 pcf がホワイトパイン材,カシ材相当であった.

  • 村上 高宏, 百瀬 康仁, 伊藤 凖之助, 山田 陽子, 宮下 達郎, 中原 幹雄, 阪 光太郎, 浅賀 勝寛
    2026 年39 巻2 号 p. 115-122
    発行日: 2026/06/30
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    ジルコニアは化学的安定性が高く,レジンセメントとの接着獲得が困難である.本研究では,30 wt%過酸化水素水(H2O2)に塩酸(HCl)を添加した酸性過酸化水素処理で表面親水化を図り,ジルコニウムアルコキシド含有二液性ジルコニアプライマーとγ-MPTS 二液性シランプライマーを併用したジルコニア接着システムの最適化を行った.

    鏡面研磨ジルコニアを80℃で10~30 分間浸漬し,水の接触角を測定した.その結果,HCl 濃度・浸漬時間の増加に伴い水の接触角は低下し,30 wt% H2O2+3N HCl 30分間処理で最小となった.同条件で処理した試験体にジルコニアプライマーおよびγ-MPTS 作業濃度0.021~0.100 mol/L のシランプライマーを適用し,せん断接着強さを比較したところ,0.061 mol/Lで最大接着強さの8.4±1.1 MPa を示し,破壊様相は界面剥離主体からレジンセメント残存を伴う混合破壊主体へ移行した. 本研究の最適化ジルコニア接着システムは市販MDP接着システム(6.0~6.4 MPa)よりも有意に高い値を示したことから(p<0.05),最適化ジルコニア接着システムの化学的な初期接着強さは市販MDP接着システムを上回る可能性が示唆された.

症例報告
  • 柳井 智恵, 是澤 和人, 近澤 俊郎, 簗瀬 麻衣子, 小倉 晋
    2026 年39 巻2 号 p. 123-128
    発行日: 2026/06/30
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    悪性腫瘍切除後に生じる広範囲顎骨欠損に対する再建後の補綴治療は,機能回復の観点から依然として課題が多い.本報告では,上顎悪性腫瘍に対して右側上顎全摘および遊離血管柄付き腓骨皮弁による上顎再建が施行された症例に対し,固定性の広範囲顎骨支持型補綴を適用し,良好な咬合回復が得られた1例を報告する.

    患者は58歳,男性.上顎顎義歯装着時の違和感および咀嚼困難を主訴に当科を受診した.固定性補綴装置による機能回復を希望したため,腓骨による再建骨に広範囲顎骨支持型装置を埋入し,二次手術時に皮弁減量および口腔前庭形成術を併用した.最終的にスクリュー固定式の広範囲顎骨支持型補綴を装着し,咬合回復を図った.補綴装置装着後,咀嚼機能および口腔清掃状態は良好に維持され,7年以上の経過観察においても広範囲顎骨支持装置周囲組織および補綴装置は良好に経過している.本症例より,腓骨による上顎再建例に対する固定性の広範囲顎骨支持型装置を用いた治療は,適切な軟組織管理を併用することで,長期にわたり安定した口腔機能回復が可能であることが示唆された.

  • 片山 明彦, 鈴木 瑛一, 村上 侑, 小谷地 咲, 鈴木 勇多郎, 飯島 佑斗, 中山 亮平, 武内 崇博, 井原 雄一郎, 森川 暁, ...
    2026 年39 巻2 号 p. 129-135
    発行日: 2026/06/30
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    重度歯周炎患者に対するインプラント治療の応用は,術後の合併症やインプラント喪失のリスクが高いとされる.本症例では重度歯周炎患者に対して適切な検査,診断を行い,歯周組織再生療法を含む歯周治療の介入後にインプラント治療を行った.その後の継続的なSupportive periodontal therapy(SPT)により,長期的に良好な予後を得たので報告する.

    患者は40歳,女性.他院において24本の抜歯が必要であることを説明されたため,歯の保存を希望し当院を受診した.多数歯の動揺と深い歯周ポケットを認め,全顎的な水平性骨吸収とともに垂直性骨吸収を多くの部位に認めた.可及的に歯を保存することと,インプラント治療前の炎症軽減を目的として徹底した歯周基本治療を行った.歯周外科治療時に多数歯の歯周組織再生療法を行い,矯正治療後にインプラント治療を行った.その後2~3か月ごとにSPTを行った.SPT 5年経過時に歯根破折にて1歯喪失したが,歯周炎の進行・再発による歯の喪失やインプラント周囲炎は認めず,10年経過した現在,歯周病の改善と良好な機能の回復を得られている.

    このことから,重度歯周炎患者に対するインプラント治療においては,歯周治療など医師側の治療のみならず,患者側の長期的な口腔衛生管理へのモチベーションの維持が不可欠であると考える.これらの結果は,インプラント治療を単なる欠損補綴として捉えるのではなく,歯周病治療の延長線上に位置づける必要性を示唆するものである.

  • 百瀬 康仁, 宮下 達郎, 山田 陽子, 村上 大悟, 阪 光太郎, 中原 幹雄, 伊藤 準之助, 三堀 陽介, 岡田 淳, 池田 岳史, ...
    2026 年39 巻2 号 p. 136-141
    発行日: 2026/06/30
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    近遠心幅径が狭い下顎前歯欠損部に対して,直径3.0 mm 未満の2種類のインプラントを用いて治療を行い,4年6か月にわたり良好な経過を得たため,その概要を報告する.

    患者は25歳男性で,矯正歯科治療後の空隙に対するインプラント治療を希望し来院した.下顎左側および右側に先天性欠如歯を認め,矯正歯科治療後のリテーナーにより欠損部(33,43相当部)の保隙が行われていた.インプラント埋入計画時にCT 撮影を行い,欠損部の近遠心幅径および頬舌側骨幅を評価した結果,隣在歯との距離を確保する目的で直径3.0mm未満のインプラント埋入をそれぞれ予定した.2020年8月,左右の欠損部へ通法に従い埋入し,骨造成は行わなかった.免荷期間後に精密印象を行い,上部構造を装着した.

    上部構造装着後4年6か月が経過しているが,33,43相当部のインプラント周囲に炎症や骨吸収の所見は認められず,経過は良好である.本症例の経過から,近遠心幅径の狭い前歯部欠損に対して直径3.0 mm未満のインプラントを用いることは,インプラント治療における一つの選択肢となりうる可能性が示唆された.

  • 大科 英和, 尾立 哲郎, 荒井 昌海, 佐藤 優樹, 丹谷 聖一, 松浦 宏彰, 藤山 俊明, 片山 翔一, 松尾 一樹, 石渡 弘道, ...
    2026 年39 巻2 号 p. 142-148
    発行日: 2026/06/30
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    水平的骨量不足に対して,骨補填材とバリアメンブレンを使用する骨再生誘導法が適応となるが,バリアメンブレンの操作性や,創の哆開による感染の問題などが指摘されている.本論文では,バリアメンブレンを用いずに炭酸アパタイトと自家骨を用いて骨造成を行い,良好な結果を得た2症例を報告する.

    インプラント体埋入時に,全層弁で骨膜を断裂させないように剥離し,減張切開は加えずに,エンベロープを形成後,インプラント体埋入手術を行った.骨補填材として生理食塩水で含浸させた炭酸アパタイトを,インプラント窩形成時に採取された自家骨と混和後,埋入部の頬側スペースに塡入し,骨造成を行った.

    インプラント上部構造装着から3年以上経過後のCBCT像では,填入部位に硬組織様の不透過像を認めた.

    本症例では,水平的に吸収した歯槽骨に,骨補填材の炭酸アパタイトと自家骨の混和物を骨膜で被覆することで,バリアメンブレンを用いることなく良好な骨造成効果が示された.

  • 佐久間 栄, 甘利 佳之, 池田 岳史, 佐藤 暢亮, 山田 陽子, 藤田 眞唯子, 岡 昌由紀, 太田 広宣, 安倍 稔隆, 村上 高宏, ...
    2026 年39 巻2 号 p. 149-155
    発行日: 2026/06/30
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    目的:上顎前歯部欠損で唇側骨欠損を伴う症例に対し,吸収性ボーンタックを用いてメンブレンを固定したGBR併用インプラント治療経過を報告する.

    患者概要:33歳,男性.上顎右側中切歯欠損に対し歯周基本治療後,インプラントを埋入し,骨補填材とコラーゲンメンブレンによるGBRを行い,吸収性ボーンタックで固定した.インプラント埋入後,感染・創哆開なく治癒し,上部構造装着後約3年3か月のCBCTでは吸収性ボーンタックは吸収された可能性が考えられ,固定部に軽度の陥凹像を認めたが透過像や炎症所見はなく,硬・軟組織は安定していた.

    結論:審美領域のGBRにおいて,吸収性ボーンタックによるメンブレン固定は有用となりうるが,長期的影響の評価には継続観察が必要である.

調査・統計・資料
  • 三冨 純一, 瓦井 徹, 本浄 学, 板橋 基雅, 山田 健太郎, 松沢 祐介, 丹谷 聖一, 服部 寛之, 藤本 善裕, 長谷川 健, 前 ...
    2026 年39 巻2 号 p. 156-163
    発行日: 2026/06/30
    公開日: 2026/08/10
    ジャーナル フリー

    目的:口腔内情報をデジタル化する口腔内スキャナー(IOS)は世界的に普及が進み,デジタルワークフローの中核を担っている.インプラント治療において,IOS は上部構造製作のみならず,埋入シミュレーションなどの診断から,埋入手術に至るまで使用されている.しかし,本邦のインプラント治療においてどの程度IOS が普及し,使用され,どのような課題が存在するかについての報告は少ない.今回,インプラント治療を行う歯科医師にIOS の使用状況に関する調査を行い,現状と今後の問題点について考察した.

    概要:(一社)北海道形成歯科研究会所属の(公社)日本口腔インプラント学会会員(歯科医師260名)を対象に「口腔内スキャナーの普及実態や使用状況に関するアンケート調査」を行った.

    結果:IOS の使用率は70.7%で,使用感「概ね満足」以上の回答が90.9%であり,「今後も利用していく」との回答が100%に達した.IOS の精確さについては87.5%が「信頼できる」と評価する一方,62.1%が更なる精確さの向上を期待している.特に多数歯欠損症例においては66.7%が「精確さの検証が必要」と感じていた.

    結論:IOS に対する満足度は非常に高く,術者と患者双方の負担を減らすなどの恩恵をもたらしている.しかし,現時点ですべての症例をカバーすることは難しく,多数歯欠損症例への適用については更なる工夫や検証が必要と考えられる.

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