日本口腔腫瘍学会誌
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20 巻, 3 号
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  • 大矢 亮一, 久保 千沙, 下地 恒太郎, 稲永 龍一郎, 中村 昭一
    2008 年 20 巻 3 号 p. 137-143
    発行日: 2008/09/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    頬粘膜癌の対側多発性後発頸部リンパ節転移巣をUFT内服, 超選択的カルボプラチン動注, 多分割放射線照射と高気圧酸素療法により治療し, 良好な結果を得た。頸部転移リンパ節の治療の原則は頸部郭清術であるが, 超選択的動注放射線化学療法は手術拒否例や全身状態等の理由で手術を回避したい症例に試みる価値を有する方法と思われた。
  • 田中 香衣, 小村 健, 原田 浩之, 伊原 英世, 岡田 憲彦
    2008 年 20 巻 3 号 p. 145-150
    発行日: 2008/09/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    上皮筋上皮癌 (epithelial-myoepithelial carcinoma, EMC) は, 導管上皮成分と淡明筋上皮成分の二層構造を特徴とする, まれな唾液腺腫瘍である。今回, 耳下腺深葉に生じたEMCを経験したので報告する。
    患者は60歳代男性で, 1年前から認めた左側耳前部の腫瘤を主訴に, 当科受診した。初診時, 左側耳前部に2.6×2.0cm大の弾性やや硬の腫瘤を認めた。顔面神経麻痺は認めず, 頸部に転移を疑うリンパ節は触知しなかった。超音波およびMRI所見では, 左側耳下腺内に, 境界比較的明瞭で内部不均一な腫瘤を認めた。
    左側耳下腺腫瘍の診断のもと, 腫瘍切除術を施行した。なお, 顔面神経は温存した。病理組織学的には, 好酸性の細胞質を持つ内層成分と淡明な細胞質を持つ外層成分からなる二層構造が認められた。また, 免疫組織学的には, 内層細胞はサイトケラチン (AE1/AE3) が, 外層細胞はα-SMAとS-100が陽性であり, EMCの診断となった。一部で腫瘍の被膜外浸潤を認めたため, 46Gyの術後放射線療法を施行した。術後3年経過した現在, 腫瘍の再発・転移は認めていない。
  • 森田 淳平, 松井 義郎, 岩井 俊憲, 東海林 志保美, 足立 誠, 福井 敬文, 渡貫 圭, 光藤 健司, 藤内 祝
    2008 年 20 巻 3 号 p. 151-156
    発行日: 2008/09/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    通常, エナメル上皮腫摘出後, 腫瘍周囲骨の掻爬にはバーを用いるため, 下顎管周囲を切削する際に, 下歯槽神経を損傷する危険性がある。超音波骨メスは脳神経外科や整形外科領域で使用され, 選択的に骨を削除できるため神経や血管などの重要な軟組織を損傷せず, 低侵襲手術を可能としている。今回われわれは, 下顎エナメル上皮腫を治療する際に超音波骨メスを使用した。
    症例は44歳の女性で, 右側下顎骨腫瘤を主訴に当科を紹介され受診した。右側下顎エナメル上皮腫の診断にて, 全身麻酔下に超音波骨メスを用いて下顎エナメル上皮腫摘出後掻爬術を行った。現在, 術後1年を経過しているが再発所見を認めず, 経過良好である。超音波骨メスは下顎エナメル上皮腫の治療に有用であると思われた。
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