日本口腔腫瘍学会誌
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22 巻, 1 号
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第27回日本口腔腫瘍学会総会・学術大会
シンポジウム:「頭頸部早期癌の臨床と病理」
原著
  • 星名 由紀子, 林 孝文, 新垣 晋, 齊藤 力
    2010 年 22 巻 1 号 p. 25-36
    発行日: 2010/03/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    目的:舌扁平上皮癌症例における口底部の介在リンパ節への後発転移の画像所見について検討を行う。
    対象と方法:1997年から2007年までの間に,口底部の介在リンパ節への後発転移と考えられる腫瘤性病変が出現した舌扁平上皮癌5症例を検討対象とした。いずれも1か月に1回の綿密な超音波診断による経過観察で検出されたものであり,CTとMRI検査が引き続き施行された。われわれは,転移巣が舌下隙後方で顎下腺内側に出現した場合に,外側舌リンパ節と同様の介在リンパ節への転移と考え,傍顎下腺リンパ節転移と呼称することとした。
    結果:術前画像と頸部郭清で得られた病理標本との照合の結果,2例は外側舌リンパ節転移,2例は傍顎下腺リンパ節転移,1例はそれらの両方と推測された。同期間に口底部の介在リンパ節に転移を来たした症例は潜在的転移が認められた2例を含めて7例であり,頸部リンパ節転移が証明された舌扁平上皮癌43例の16.3%に及んだ。
    結論:傍顎下腺リンパ節は,外側舌リンパ節とともに舌から上内頸静脈リンパ節にいたる経路の介在リンパ節の役割を有すると考えられた。N0舌扁平上皮癌の経過観察において,外側舌リンパ節と傍顎下腺リンパ節への後発転移を画像で検出するには,正確な解剖学的知識と注意深い観察が必要と考えられる。
  • 吉田 祥子, 塚本 剛一, 吉岡 徳枝, 志茂 剛, 岸本 晃治, 西山 明慶, 大山 和彦, 目瀬 浩, 長塚 仁, 佐々木 朗
    2010 年 22 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 2010/03/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    エナメル上皮腫の治療法については論議のあるところである。当科においては,周囲骨の穿孔がないかもしくはわずかであれば,保存的外科療法―骨面削除と凍結療法を併用した摘出術―を基本的に選択している。当論文では,当科開設の1982年から2007年までの25年間に経験したエナメル上皮腫50例,特に再発症例について検討を行った。
    50例の手術の内訳は,摘出術12例,摘出と骨面削除または骨面削除および凍結療法(摘出+補助療法)が21例,顎骨切除(辺縁切除と区域切除)が17例であった。再発は6例であり(再発率:12%),摘出術に5例(再発率:42%),摘出+補助療法に1例(再発率:5%)認めた。顎骨切除術は再発を認めなかった。摘出と顎骨切除との間および,摘出と摘出+補助療法との間に再発率に関し有意差を認めた。
    以上より,エナメル上皮腫の保存的外科療法において,骨面削除と凍結療法は有用であることが示唆された。
症例
  • ―血中プラチナの体内動態の検討―
    清水 麻衣, 光藤 健司, 岩井 俊憲, 大原 良仁, 足立 誠, 光永 幸代, 廣田 誠, 松井 義郎, 藤内 祝
    2010 年 22 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 2010/03/15
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    われわれは慢性腎不全を有する進行舌癌患者に対して浅側頭動脈と後頭動脈よりの超選択的動注化学放射線療法を施行したので報告する。
    64歳の女性は舌の潰瘍を主訴に当科を受診した。患者は慢性腎不全に罹患しており,週3回の血液透析を受けていた。病変は45×40mmであり,弾性硬であった。生検を施行したところ扁平上皮癌と診断された。浅側頭動脈と後頭動脈よりの超選択的動注法を用いた連日同時放射線化学療法(シスプラチン(5mg/m2/day, total 125mg/m2),ドセタキセル(10mg/m2/week, total 50mg/m2),外照射:2Gy/日,計50Gy)を5週間行った。治療経過は問題なく,治療後16か月経過した現在,再発・転移なく経過良好である。
    本法は慢性腎不全を有する口腔癌患者に対する有効な治療法の1つになると考えられた。
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