進行口腔癌に対する逆行性超選択的動注化学療法は,放射線療法との連日同時併用が可能となることから高い抗腫瘍効果が得られる。われわれは進行口腔癌に対し超選択的動注化学放射線療法を施行し,術前治療としての効果および原発の手術回避について報告してきた。しかし,治療後に腫瘍が残存した症例,再発症例に対しては救済手術が必要となる。今回われわれは本療法を施行し,救済手術が必要であった症例につき術後合併症,予後につき報告する。
2006年8月から2009年7月の3年間に横浜市立大学附属病院歯科口腔外科を受診した頭頸部領域の悪性腫瘍304例であり,当科において治療を行った症例は193例であった。そのうち根治療法として超選択的動注化学療法を施行した口腔癌症例102例(52.8%)につき検討を行った。治療は超選択的動注化学療法(docetaxel, total 60mg/m
2, cisplatin, total 150mg/m
2),放射線連日同時併用療法(total 60Gy)を6 週行うことを原則とした。102例については治療4週後に画像および原発の生検にて腫瘍残存の有無の確認を行ったところ,102例中pCRが90例(88.2%),腫瘍残存は12例(11.8%)に認めた。原発がpCRであった90例において,経過観察中に4例(3.9%)の再発を認めた。原発に腫瘍残存を認めた12症例および治療後に再発を認めた4症例の16症例中,10症例に救済手術を施行した。救済手術を施行した10例中5例に術後の合併症を認めた。救済手術を行った10症例について4例は再発を認めた。10例中6症例は生存している。
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