EBV陽性粘膜皮膚潰瘍(EBVMCU)は,2010年に口腔咽頭粘膜・皮膚・消化管粘膜に生じた一連のEBV陽性の潰瘍性病変としてDojcinovらにより初めて提唱され,2017年の第4版WHO分類にて独立した予後良好な疾患群として新たに分類された。今回われわれは,難治性の口腔粘膜潰瘍を主訴に当科を受診し,EBVMCUと診断・加療を行った3例を経験したので,本邦報告例25例の文献的考察とともに報告する。
症例1:75歳,女性。左上顎大臼歯部歯肉に生じた潰瘍を主訴に受診。関節リウマチに対しMTXにて加療中であった。症例2:67歳,男性。左側下顎歯肉に生じた潰瘍を主訴に受診。関節リウマチに対しMTXにて加療中であった。症例3:77歳,女性。右側上顎前歯部歯肉に生じた潰瘍を主訴に受診。関節リウマチに対して加療中であった。
臨床診断は悪性腫瘍の疑いが2例,重症口内炎の疑いが1例であったが,慎重な病歴の聴取と生検により3例ともEBVMCUの確定診断が得られた。いずれの症例もMTXの休薬を行い病変の消失を認めた。
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