日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
Print ISSN : 0915-5988
ISSN-L : 0915-5988
37 巻, 1 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
臨床統計
  • 浜名 智昭, 福谷 多恵子, 松山 たまも, 信本 忠義, 大林 史誠, 伊藤 奈七子, 石田 康隆, 檜垣 美雷, 濱田 充子, 山崎 佐 ...
    2025 年37 巻1 号 p. 1-9
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/29
    ジャーナル フリー
    近年,下顎骨再建においてコンピューター支援手術(computer-assisted surgery:CAS)が導入されるようになった。今回,下顎骨の遊離腓骨皮弁再建においてCASの有用性を検証する目的で,CAS(TruMatch)とCASを用いない再建手術(フリーハンド手術)の再現性,効率性,術後合併症について比較検討した。
    2017年4月から2023年5月までに,遊離腓骨皮弁にて下顎骨再建を行った14例を対象とした。フリーハンド手術が10例(男性9例,女性1例,52歳~76歳,中央値65歳),TruMatchが4例(男性3例,女性1例,48歳~66歳,中央値59歳)であった。術前・術後の下顎角の角度の差の平均はフリーハンド手術が16.2度,TruMatchは2.6度で有意に小さかった。下顎骨の再建時間の平均を同じ骨セグメント数の症例で比較すると,TruMatchはフリーハンド手術より再建時間が短かった。プレートの破損などの術後合併症はフリーハンド手術で10例中7例に認め,時期はいずれも術後5か月以内であった。一方,TruMatchでは,いずれも問題を認めなかった。CASによる下顎骨再建は,顎骨形態の再現性の向上,再建に要する時間の短縮およびプレートに関連する術後合併症の低減において有用であることが示唆された。
症例報告
  • 杉浦 康史, 林 宏栄, 土肥 昭博, 作山 葵, 大谷津 幸生, 岡田 成生, 早坂 純一, 森 良之, 野口 忠秀
    2025 年37 巻1 号 p. 11-19
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/29
    ジャーナル フリー
    造血器悪性腫瘍にて造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplantation:HSCT)を受けた患者は,口腔癌が発生しやすいことが知られている。われわれはHSCT後に生じた口腔癌を4例経験したので,その概要を報告する。さらに本邦において報告された43例に自験例を含めた計47例について文献的に考察した。
    自験例4例の造血器悪性腫瘍の内訳は,急性骨髄性白血病2例,骨髄異形成症候群と濾胞性リンパ腫はそれぞれ1例であった。HSCTの内訳は,末梢血幹細胞移植2例,骨髄移植と臍帯血移植はそれぞれ1例であった。HSCT後に慢性口腔GVHDの発症を認めたのは4例中2例であった。口腔癌に対する手術が3例,根治的放射線治療が1例であった。予後は,生存は1例のみで,原発腫瘍死,血液疾患死,他病死がそれぞれ1例であった。
    文献的考察の結果,HSCT後に発生した口腔癌は,診断から5年以内に24.2%が死亡しており,再発・転移に加えて口腔内多発癌の発症が11例(33.3%)と多いため厳重な経過観察を要することが示唆された。また,HSCTによる閉塞性細気管支炎等の後遺症や全身放射線照射(total body irradiation)の既往により口腔癌の治療が制限されることが多いため,早期発見,治療が望ましい。
  • 原口 和也, 高橋 理, 矢田 直美, 笹栗 正明, 古田 功彦, 吉岡 泉, 土生 学
    2025 年37 巻1 号 p. 21-30
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/29
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍はまれに顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte-colony stimulating factor,以下G-CSF)産生による白血球増多を呈することが知られているが,口腔におけるG-CSF産生腫瘍の報告は少ない。今回われわれは急激な転帰を辿り,再発後に顕在化したG-CSF産生舌癌と考えられた症例を経験したので報告する。症例は83歳,女性で左側舌縁部の腫瘤を主訴に受診した。各種検査にて病変は舌扁平上皮癌であり,初診から1か月後に左側舌部分切除術を施行した。術後経過観察を行っていたところ,術後4か月で撮影した造影CTにて左中内深頸領域にリンパ節転移所見を認めたため左全頸部郭清術を施行した。切除標本の術後病理組織検査にて被膜内浸潤した転移リンパ節を1個認めた。しかしながら頸部郭清術から6か月後,左頸部に再発を認め,頸動脈周囲および頸部皮膚への浸潤を認めた。外科的切除適応外と判断し,化学放射線療法を計画するも急激に病勢が進行し,当科初診から13か月で死亡した。血液検査において,白血球数は頸部再発までは正常範囲内であったが,頸部再発後は16,000~25,000/μlと高値を認めた。また,抗G-CSFモノクローナル抗体を用いた免疫組織化学染色では,生検標本,原発切除標本および転移リンパ節標本すべてで陽性所見を示した。以上より本腫瘍は頸部再発後に顕在化したG-CSF産生腫瘍の可能性が高いと診断した。
feedback
Top