日本口腔腫瘍学会誌
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4 巻 , 1 号
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  • 樋口 勝規, 中村 典史, 大石 正道, 田代 英雄, 神田 重信
    1992 年 4 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    顎骨における線維生骨異形成症の14例の骨形成様式について, 臨床, X線ならびに組織学的に分析した。本症はX線像からスリガラス状 (7例) , 綿花状 (2例) , 混在状 (3例) と緻密状 (2例) の4型に分類した。スリガラス状は若年者にみられ, 線維骨の増生を主としていた。綿花状は30歳頃にみられた。線維骨の癒合改造や塊状化, 球状の無構造な石灰化物や層板骨が各所でみられた。混在状例は中年に主にみられ, 感染を伴っていた。X線上では綿花状と透過像の混在が特徴的であった。組織学的には, 線維骨や層板骨の緻密化が進み, 一部で炎症がみられた。緻密状例は中年の歯槽部を中心としてみられた。他の型と比べて, 層板骨や線維骨が非常に緻密であった。以上の所見から, 本症の臨床および組織像は幅が広いことが明らかとなり, スリガラス状から綿花状, 緻密状へと進行し, 感染を伴うと虫食い状となることが分かった。さらに, 層板骨への経年的成熟は十分に考えられる。
  • Gitt H.-A., Walther Th., Haustein U.-F., Frank R.&A. Pyzara
    1992 年 4 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
  • 福山 義邦, 柳澤 繁孝, 河村 哲夫, 河野 憲司, 小野 敬一郎, 松島 凛太郎
    1992 年 4 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    32歳男性の右上頸部皮下に多結節性に再発を来した多形性腺腫の1例を報告する。
    再発の原因は, 前回手術時の腫瘍の取り残し及び術中播種と考えられた。
    腫瘍切除は上頸部郭清術に準じ, 前回手術の瘢痕を含む上頸部から下頬部にかけての皮膚, 広頸筋, 顎二腹筋の一部, 顎下腺及び顎下三角内の他の組織を腫瘍と共に一塊として切除した。また術後補助的にUFTを総量56000mg投与した。
    現在術後4年4ヶ月を経て, 副作用及び再発の兆候はなく経過良好である。
  • 青木 紀昭, 斉藤 友克, 松崎 昇一, 海野 智, 石川 好美, 林 誠一, 大村 進, 小野 繁, 藤田 浄秀
    1992 年 4 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    耳下腺部原発の悪性腫瘍は, 切除後に大きな頬部全層欠損を生じることがある。われわれは頬部全層欠損の再建に対しscalping forehead flapを用いて閉鎖した1症例を経験したので報告する。
    患者は52歳男性で1978年に左側頬部の腫脹を主訴に来院した。1983年に原発巣の切除術を施行したが, その後再発を繰り返し, 頬部に6×4cm大の全層欠損を生じた。1990年に口腔内の欠損はhinge flapで, 口腔外の欠損はscalping forehead flapにて閉鎖した。この再建法により機能的にも審美的にも満足する結果を得た。
  • 加藤 幸弘, 市原 秀記, 藤塚 秀樹, 奥村 康明, 奥田 孝, 兵東 巌, 佐木 宏吉, 奥富 直, 安岡 忠, 土井田 誠, 立松 憲 ...
    1992 年 4 巻 1 号 p. 29-36
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1981年10月から1991年9月までの過去10年間に当科で取り扱った病理組織学的に多形性腺腫と診断された30症例について臨床統計学的検討を加え報告する。
    対象患者は男性が8例, 女性が22例, 年齢層は16歳から75歳で平均年齢は46.0歳であった。発生部位は小唾液腺由来は24例でその内訳は口蓋腺17例・頬腺3例・口唇腺3例・前舌腺1例, 大唾液腺由来は6例でその内訳は顎下腺4例・耳下腺2例であった。治療法は全例, 外科的摘出術が施行されていた。
    病理組織学的診断としては, 27例が多形性腺腫, 3例がCarcinoma in pleomorphic adenomaでその原発は小唾液腺 (口蓋1例, 頬粘膜1例, 口唇1例) であった。これらは術後化学療法が施行されていた。
    予後では, Carcinoma in pleomorphic adenomaを含む全例に再発・転移は認めなかった。
    唾液腺腫瘍の治療にあたっては, 臨床的に良性所見を呈していても詳細な病理組織学的検索が必要であると思われた。
  • 渡辺 祥樹, 柳澤 繁孝, 河野 憲司, 水城 春美, 清水 正嗣
    1992 年 4 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    今回, 我々は白板症の経過観察中に2度も悪性転換を生じた1症例について報告する。1986年2月20日に, 右舌縁部, 右上下顎歯肉部, 口蓋部に多発性に発生した白板症を認めた。一週間後, 右上顎歯肉部と口蓋部の可逆性白板症は治癒したが, 新たに左舌縁部白板症が出現してきた。4月3日に, その病理所見は異形成を示していたため, それまで治癒しなかった白板症に対して安全域を含めた切除を行った。だが, その一ヶ月後に白板症が再発したが, すぐにUFTを投与した結果, 病変部は軽快した。右下顎舌側歯肉に新たに白板症が出現してきたが, 全身の健康状態から, 10月14日までで当科での加療を一時中断した。1988年11月17日の再来院時には右下顎舌側歯肉部に扁平上皮癌 (T1N0M0) が出現した。サンフラールSの術前投与を行った後, 12月14日に部分切除術を施行した。術後再発もなく, 経過は良好であったが, 1991年6月13日右舌縁部白板症の後方部に扁平上皮癌が出現した。neo-adjuvantな化学療法と根治療法としての137Cs針による組織内照射により, 腫瘍の消失を認めた。現在, 悪性腫瘍の再発あるいは他部位での発生を警戒しながら, 経過観察中である。
  • 坂下 英明, 宮田 勝, 宮本 日出
    1992 年 4 巻 1 号 p. 44-55
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    過去8年間に当科にて治療した耳下腺腫瘍の15例を検討した。これらは良性腫瘍または腫瘍類似疾患が11例と悪性腫瘍が4例であった。病理組織学的には, 多形性腺腫が8例, リンパ上皮性嚢胞が1例, 嚢胞を形成した良性リンパ上皮性疾患が1例, グロムス腫瘍が1例, 粘表皮癌が2例, 腺様嚢胞癌が1例, 腺癌が1例であった。
    これらの症例を臨床的に検討し, 臨床経過を報告する。
  • 石部 幸二, 柳澤 繁孝, 平野 公彦, 檀上 隆昭, 松島 凛太郎, 河野 憲司, 清水 正嗣
    1992 年 4 巻 1 号 p. 56-62
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Neo-adjuvant chemotherapyの一環として我々は口腔癌に対しUFTとプラチナ誘導体の併用療法を施行し, 良好な結果が得られた2例についてその概要を報告する。
    症例1: 77歳女性, 右舌扁平上皮癌, T2N0M0, StageII, 山本・小浜分類による癌浸潤様式2型。初診時, 生検を施行し, その直後よりUFT600mg/day投与開始した。入院後の7月11日カルボプラチン400mg投与し, 投与後約2週間で臨床的に著効と判定した。組織学的効果を確認するため生検を施行したところ大星・下里分類にてGrade IVであった。後継治療としてX線外照射40Gy施行, 6ヶ月経過後の現在, 再発転移は認められていない。
    症例2: 58歳男性, 右下顎歯肉扁平上皮癌, T2N1M0, Stage III, 山本・小浜分類による癌浸潤様式1型。11月6日入院下に生検を施行し, UFT600mg/dayを開始した。11月20日シスプラチン100mg投与し, 投与後12日には縮小率76%となった。さらに12月6日シスプラチン2回目投与し, 投与後約2週間で腫瘍は大部分消失した。12月20日右下顎歯肉腫瘍摘出術を施行し, その摘出物組織所見においては大星・下里分類Grade II bであった。術後3ヶ月経過後の現在, 腫瘍の再発転移は認められていない。
  • 上山 吉哉, 内藤 玲子, 松村 智弘
    1992 年 4 巻 1 号 p. 63-72
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    過去8年間において下顎骨切除術を施行後, 各種再建材料にて即時再建を行った32症例の経過について臨床的検討を行った。再建材料別症例数はA-0プレート24例, 腸骨6例, アルミナセラミックス2例であった。
    1) A-0プレートは, 骨欠損部の範囲に拘わらず使用できるという点で有用な材料であった。しかし, 症例によっては, 合併症が認められた。特に長期間の使用では, 発現率は増加した。
    2) 腸骨移植は, 移植骨の大きさに制限があり, 適応が限定されたが, 口腔機能や審美障害の回復が可能で恒久的な再建材料であると思われた。
    3) アルミナセラミックスは, 衝撃力に弱く, 術中の調整が不可能であるので不便であったが, 審美的な面でA-0 plateより優れていた。
  • 白水 敬昌, 飯田 進, 下郷 和雄, 小木 信美, 池田 憲昭, 神谷 祐司, 大西 正信, 亀山 洋一郎
    1992 年 4 巻 1 号 p. 73-80
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    周辺性軟骨肉腫は, 顎骨においてはまれな腫瘍である。われわれは, 下顎骨に周辺性に発生した軟骨肉腫症例を経験した。
    患者は, 32歳の男性で, 右下顎臼歯部歯肉の腫脹を主訴とした。病理組織学的診断は, 周辺性軟骨肉腫であった。
    全身麻酔下において、下顎区域切除術および頸部郭清術を施行した。術後、Cyclophosphamide, Vincristine, Adriamycin, Cisplatinのadjuvant chemotherapyを行った。
    術後約6年間, 患者には再発, 転移は認められていない。
  • 林 升, 小野 啓, 相澤 隆, 小河 清裕, 田中 久夫, 岡村 博久, 升井 一朗, 本田 武司, 古本 克磨, 林 透
    1992 年 4 巻 1 号 p. 81-87
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    口腔領域の血管腫は, 口唇や舌, 頬部に好発し, まれに咬筋にも発生するが, 深部咬筋内での発生は非常にまれである。この論文は咬筋深部に発生した血管腫の一例を報告するとともに, 文献的考察を述べたものである。
    患者は12歳の女性で, 右側耳下腺部の腫脹を主訴として当科を受診した。超音波断層検査では, 表面平滑, 直径3cm, 円形の腫瘤が認められた。開口障害があり, 開口時の切端間距離は25mmであった。CTおよびMRI検査で, 頬骨弓直下の咬筋深部に軟組織塊の存在が明らかとなった。
    耳前部切開から腫瘍を一塊として切除した。病理組織学的には海綿状血管腫であった。術後, 顔貌は対称となり, 顔面神経の機能は完全に保存され, 開口距離は44mmに増加した。
    本邦において, 過去20年間 (1970-1990年) に報告された咬筋内血管腫は14編, 19症例であった。
  • 河野 憲司, 水城 春美, 柳澤 繁孝, 清水 正嗣, 西林 雄二
    1992 年 4 巻 1 号 p. 88-92
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    37歳女性に発生した周辺性エナメル上皮腫の1例を経験したので, 若干の文献的考察とともにその概要を報告する。患者は某歯科医院にて34舌側歯肉の腫瘍切除を受ける約6ヵ月前に, 同部の腫瘤を自覚したが, 症状および増大傾向がないため放置していた。腫瘍は1.2×1.2×0.5mmの大きさで半球状を呈し, 硬さは弾性軟で, 健常粘膜で被覆されていた。X線的に腫瘍相当部の歯槽骨は不透過性の亢進を示し, 一部に骨吸収像を認めた。切除腫瘍組織は病理学的にエナメル上皮腫と診断された。切除時, 肉眼的に歯槽骨の吸収があり, また組織学的に切除断端に腫瘍細胞が認められたため, 当科にて腫瘍域を含め345歯槽骨部分切除術が行われた。切除骨の組織学的検査の結果, 4舌側歯槽骨の骨髄腔に少数の腫瘍胞巣を認め, 一部は4舌側歯根膜まで浸潤していた。
    現在, 術後約11ヵ月が経過しているが再発等の異常所見は認めない。
  • 山崎 康之, 嶋田 淳, 冲津 光久, 竹島 浩, 島崎 貴弘, 阪本 栄一, 山本 美朗
    1992 年 4 巻 1 号 p. 93-100
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    腺様嚢胞癌は, 他の悪性腫瘍に比べ局所浸潤性が強く, 再発, 転移を生じやすいという臨床的特徴を有するため予後不良とされている。本腫瘍の治療に関しては, 放射線感受性が低く, また化学療法も効果が少ないため外科的完全切除が好ましいとされている。そのため, 切除の難しい進展症例では, 明確な治療が確立されていない。
    一方, 悪性腫瘍に対する温熱療法が, 最近注目されている。この治療法は, 単独での抗腫瘍効果と同様, 放射線治療, 化学療法との相乗効果があり, 特に腺癌で著明である。
    今回, われわれは, 上顎洞に充満した大きな腺様嚢胞癌に対し, 放射線治療, 化学療法, 外科的切除に加え温熱療法を用いた集学的治療を行い, 経過良好である1例を報告する。
  • 本田 武司, 小野 啓, 林 升, 升井 一朗, 古本 克磨
    1992 年 4 巻 1 号 p. 101-105
    発行日: 1992/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    歯牙腫は, 良性歯原性腫瘍の約20%に発生し, 集合性歯牙腫, 複雑性歯牙腫に分類され, 後者は前者に比べ稀れである。
    われわれは, 56歳, 男性の左側下顎骨体部をほぼ充満する大きさ40×20×20mmの比較的大きな複雑性歯牙腫の1例を経験したので報告する。腫瘍は, 下顎骨切除術により完全に切除し, 同部は自家腸骨により即時再建を行い, 経過は良好である。顕微鏡検査では, エナメル質, 象牙質, セメント質が不規則な配列をなす複雑性歯牙腫の特徴的な所見を呈していた。
    加えて, 文献的, 臨床的に腫瘍の大きさ, 部位, 治療法について検討, 考察を行った。
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