1967年8月から1992年7月までの25年間に, 北海道大学歯学部口腔外科において経験した口腔の小唾液腺腫瘍157例の治療ならびに経過について検討し以下の結果を得た。
1.良性腫瘍の94例の治療は, 切除70例, 摘出23例, 凍結手術1例であった。
2.良性腫瘍の治療の結果では, 多形性腺腫50例中3例に再発が見られた。
3.悪性腫瘍の63例の治療は, 手術単独41例, 手術+放射線11例, 手術+放射線+化学療法1例, 放射線単独7例, 放射線+化学療法3例であった。
4.悪性腫瘍の累積生存率は5年, 10年, 15年, 20年がそれぞれ76.9%, 63.6%, 44.0%, 32.1%であった。
5.悪性腫瘍の1次症例59例の10年累積生存率は, stage別ではstage I: 90.0%, stage II: 69.2%, stage III: 50.0%, stage IV: 42.6%, 全体では62.3%, 部位では口底83.9%, 頬粘膜71.4%, 口蓋60.1%, 日後部50.0%, 歯槽部25.0%, 組織型では腺様嚢胞癌70.3%, 粘表皮癌68.2%, 悪性多形性腺腫66.7%, 腺癌20.0%, 治療法では手術単独76.1%, 手術+放射線と手術+放射線+化学療法72.7%, 放射線単独と放射線+化学療法10.0%であった。
6.悪性腫瘍の1次症例59例において経過中頸部リンパ節転移, 遠隔転移を認めたものはそれぞれ15例, 18例 (肺15例) であった。1次治療後再発, 腫瘍の残存がそれぞれ11例, 3例に見られた。遠隔転移, 再発, 腫瘍の残存の発生率は腺様嚢胞癌で高かった。
抄録全体を表示