口腔扁平上皮癌に対するcarboplatin (CBDCA) の抗腫瘍効果と毒性を評価するために多施設共同研究を実施した。本治験に対し同意が得られた7施設からの34名の対象例の性別は, 男性28名, 女性が6名で, 年齢は38歳から78歳, 平均年齢は63歳であった。CBDCAは300~400mg/m
2を静脈内投与し, UFT (400mg/m
2/日) を内服にて, あるいは5-FU (250~500mg//body/日) を動注あるいは静注にて併用投与した。
臨床効果は治療開始日から4週間後に判定した。7例は薬剤が規定通りに投与されていなかったため, もう1例は4週後に病変が測定できなかったために, 抗腫瘍効果の評価から除外した。そのため26例で効果判定を行った。
UFTは26名中22名にCBDCA投与直後から4週間, 5-FUは4名の患者に対し4~5日間投与した。また26名中18名は本治療前に他の治療を受けていない初発例であり, 8例は再発例であった。病期分類別では, 初発例18例のうち, StageIIが3例, StageIIIが6例, StageIVが9例であった。CBDCAの毒性については, 34例全例をその評価対象とした。
全症例での奏効率は, 著効 (CR) 2例, 有効 (PR) は9例で, 42.3%であった。初発例18例では, CR2例, PR7例で, 奏効率は50.0%であった。一方, 再発例8例では, PRが2例みられたのみで, 奏効率は25.0%であった。病期別ではStgageIVでもっとも高い奏効率 (66.7%) が得られ, StageIIおよびIIIではそれぞれ33.3%がPRと評価された。
比較的強い骨髄抑制が観察された。43回の治療のうち, 血小板減少は55.8%, 白血球減我は58.1%, 血色素量の減少は74.4%の治療において認められた。悪心嘔吐の発現は34名の患者のうち, 悪心は10名に, 嘔吐は4名に認められた。グラニセトロンの投与は, CBDCAによる悪心嘔吐の予防に有効であった。
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