stageI, II口腟扁平上皮癌は外科的あるいは放射線療法のいずれかで治療される。いずれにせよ通常, 診断確定のため生検が行われるが, 腫瘍内への切り込みにより腫瘍細胞播種, さらには悪性度を増すことさえあり得る。この観点から, 生検による引き起こされるであろう癌細胞播種を防ぐために生検前より化学療法を行った。
早期癌の頸部後発転移に対する生検前化学療法の効果をみるために, stageI, II口腔扁平上皮癌68例についてretro-spectiveに検討した。これら68例を以下の3群に分類した: A群, 化学療法非施行33例; B群, 生検後に化学療法を行った11例; C群, 生検前より化学療法を行った24例である。その結果, 頸部後発転移は, A群30.3% (10/33例) , B群18.2% (2/11例) , およびC群8.3% (2/24例) に認められた。粗生存率は, A群78.8%, B群90.9%, およびC群91.7%であった。
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