日本小児アレルギー学会誌
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10 巻, 4 号
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  • 標的臓器が限局した呼吸器から全身に移行した男児例
    女川 裕司, 木下 恵司, 岡田 文寿, 鈴木 五男, 赤坂 徹, 佐々木 望
    1996 年 10 巻 4 号 p. 441-447
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    喘息様の呼吸器症状の発症に小麦の摂取と運動が関与した男児例を経験したので報告する.
    症例は, 1989年5月, 5歳の時, 食後1時間前後に運動をした時に限り喘息様発作が出現した. この発作の誘発時の食事内容はパン食が大部分であったため, まずパンのみを除去した. その後, 麺類, フライなどの小麦食品摂取後に症状が出現したため, 小麦製品を完全除去したところ発作は消失した. この経過に加えてパン食1時間後の運動による誘発は100%陽性であった. プリックテストやIgE RASTスコアも陽性であったことから, 小麦と運動が関与した喘息様症状と考えられた. この症例は, 食物依存性運動誘発性アナフィラキシー (food dependent exercise induced anaphylaxis: 以下FEAと略す) の亜型と考えられたが, 興味あることにその後, 典型的なFEAを発症した.
  • 鍛錬療法と自律神経症状に関するアンケート調査
    池田 紀子, 石黒 精, 高橋 比路美, 宇野 久仁子, 浅井 義之, 寺道 由晃, 栗原 和幸, 勝呂 宏, 市村 登寿, 新保 敏和
    1996 年 10 巻 4 号 p. 448-453
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    喘息児の日常生活, 特に鍛錬療法と自律神経症状について知るために, 多施設のアレルギー外来に通院中の気管支喘息児532名を対象に, 親のアンケート調査を基に検討した. 鍛練療法の中では, 薄着励行が最も多くみられた. 冷水浴の実施率は19.1%にすぎなかった. 薄着励行については家族内で意見の相違が大きかった. 喘息児では起立性調節障害 (OD) 陽性の者が多く, その診断率は40.0%であった. 大症状では『朝なかなか起きられず, 午前中調子が悪い』, 小症状では『倦怠あるいは疲れやすい』が最も多かった. ODの有無と実施されている鍛練の種類の間に有意な関連は認められなかった.
  • 第1報高濃度短時間吸入と低濃度長時間吸入の比較 (イソプロテレノールの短時間吸入と長時間吸入の比較)
    大澤 正彦, 小田嶋 博, 津田 恵次郎, 梅野 英輔, 西間 三馨
    1996 年 10 巻 4 号 p. 454-461
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    9名の気管支喘息児に対し, 急性発作時に, dl-isoproterenol を, 同一用量, 同一器具で高濃度短時間で吸入した場合と, 低濃度長時間で吸入した場合における, 肺機能と心拍数の変化を比較した. 短時間で投与した場合, 肺機能値は, 吸入後すばやく改善したが, 吸入後60分では, 吸入前値まで戻っていた. 一方, 長時間吸入させた場合は, 時間と共に漸増を示した. 両吸入方法における%FEV1.0を比較すると, 長時間吸入は, 吸入30分の時点では, 短時間吸入の吸入終了5分後に対し劣っていたが, 吸入60分の時点では差はなかった. 心拍数は, 短時間吸入では, 吸入終了時に増加を示したが, 長時間吸入では, 吸入中変化はなかった. このことより, 低濃度の持続吸入は, 間歇吸入に対し, 速効性では劣るが, 間歇期の肺機能の悪化がなく, その効果が維持出来るという長所が考えられた. しかし, 通常の短時間の吸入で, 気管支拡張効果がほとんどみられない場合, 低濃度持続吸入は, 肺機能を早期に大きく改善し難いと考えられた.
  • 大坪 庸子, 諸岡 達也, 笠原 郁子, 柴田 瑠美子, 古賀 一吉, 小田嶋 博, 西間 三馨, 小田 禎一
    1996 年 10 巻 4 号 p. 462-468
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    食物依存性運動誘発性アナフィラキシー (以下, FEA) の9症例について報告し, アンケートよる学校での給食制限, 運動制限の実態調査を行った. 症例は男児7例女児2例で, 発症年齢は, 9歳から16歳までで中学生に多かった. 9症例とも学校内でのFEA症状を経験し, その多くは, 昼食後の運動中に発症した. 原因となる食物は, 甲殼類5例, 小麦3例, 不特定の食物1例であった. 食後, 運動までの時間は, 30分から4時間であった. 予後は原因食物の種類により異なり, 甲殼類の場合は, 完全除去により予後は良好で激しい運動を続けている例もあり, 再発は, 誤って摂取した場合のみであった. 一方, 小麦や不特定の食物の場合は, 厳しい給食制限や運動制限は困難で, 全例で蕁麻疹およびアナフィラキシー症状を再発していた. 今回の調査結果より, 小児のFEAの再発を防ぐには, 学校関係者への適切な情報提供が必要と思われる.
  • 佐々木 聖, 本永 正光, 四宮 敬介, 末広 豊, 小野 厚, 蓮井 正史, 藤原 寿美, 青木 孝夫, 小島 崇詞, 中島 理, 上野 ...
    1996 年 10 巻 4 号 p. 469-477
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1~16歳の気管支喘息患児を対象に, 2週間の観察期間の後, レピリナストを1日8mg/kg26週間経口投与した.
    1. 患児の印象, 全般改善度, 有用度の三項目とも高率の有用性が示され, 改善率は週を追う毎に高くなり, 12週からはやや改善以上の率が90%前後の変動を示した.
    2. 臨床点数は観察期に比し全期間 (治療点数は4週以降) に於いて有意な減少が認められた.
    3. 26週投与した症例は, 全体の46.5%であったが, 症状が安定し治療点数が増加していない症例は26週において12例であった.
    以上よりレピリナスト (ロメット®細粒小児用) の臨床においての効果は確認された. しかし併用薬使用量ゼロを目標とした試験では4週という限定された期間で改善度を判定し, 治療薬を減量する方法のため最終症例数は12例になったと思われる.
  • 自律神経症状と喘息の重症度および血清IgE値
    池田 紀子, 石黒 精, 高橋 比路美, 宇野 久仁子, 浅井 義之, 寺道 由晃, 栗原 和幸, 勝呂 宏, 市村 登寿, 新保 敏和
    1996 年 10 巻 4 号 p. 478-481
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アレルギー外来通院中の4歳~21歳の気管支喘息患児335名を対象に, 自律神経症状についてアンケート調査をした. 起立性調節障害 (以下OD) を示す率は40.3%であり, 8歳~10歳にピークを認めた. OD陽性群は陰性群に比べて有意に年齢が高かったが, 性差はなかった. また, OD陽性群と陰性群では喘息の重症度に有意差が見られた. なお, 血清IgE値にはOD症状の有無による有意差がなく, これは年齢および重症度別にみても同様であった. 自律神経機能異常が気管支喘息の病態に関わっている可能性が示唆された.
  • 我妻 義則, 向山 徳子, 市川 邦男, 宇理須 厚雄, 森田 豊, 中村 凱治, 飯倉 洋治, 佐々木 聖, 森川 昭廣
    1996 年 10 巻 4 号 p. 482-490
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    卵白凍結乾燥粉末を含む試験用食物とそのプラセボ用食物を得たので, 即時型アレルギー反応の惹起能と臨床応用を検討した. 卵アレルギーで卵除去中の患児50症例を対象とした. 試験目的は過敏性の程度または耐性獲得の検討である. 方法は試験用食物を Single open food challenge 法に placebo による試験を必要に応じて加える方法にて実施した. 初回量を1~10mgとして投与し, 30分観察して無反応のとき増量再投与して反応をみる逐次増量法によった. 2つまたは明らかな1つの症状発現で陽性と判定した. 7.7gの総負荷量で無反応のときは陰性反応と判断された. 1) 即時型反応は25症例で認められ, 誘発までの総負荷量は10mg~7.7gであった. 2) 非即時型反応は5症例で, そのうち2症例で2相性反応が認められた. 3) 陰性反応は18症例であった. 4) アナフィラキシー反応は1症例も認められなかった. 5) プラセボ用食物は Single blind placebo controlled food challenge 法により23症例で, Double blind placebo controlled food challenge 法により13症例で応用された. 6) 3才未満では卵白特異IgE抗体価が低くとも誘発され, 逆に3才以上ではこれらが高くとも陰性反応となっている症例が認めちれた.
    経口誘発試験において逐次増量法によって実施するならば, この試験用およびプラセボ用食物は前記の目的に沿った臨床応用に供し得ると考えられた.
  • 小田島 安平, 佐藤 浩一, 河原 秀俊, 岩田 富士彦, 原 光彦, 椿 俊和, 永山 洋子, 鳥羽 剛
    1996 年 10 巻 4 号 p. 491-496
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アレルギー疾患患児の身体組成の特徴を明らかにする目的で, 体脂肪率を生体インピーダンス法により測定し, 標準値より求めた脂肪率SDスコアで表示し, 身長SDスコアとあわせて検討した.
    1. 気管支喘息では体脂肪率SDスコアが重症になるとともに低下する傾向があった.
    2アトピー性皮膚炎では重症になるとともに身長SDスコアは有意に低下し, 体脂肪率SDスコアは重症例では増加傾向を認めた.
    以上より, 気管支喘息では重症になるとともに体脂肪量が減る傾向があり, アトピー性皮膚炎では重症になるとともに低身長になり, 重症児では体脂肪量が増える傾向があった. 原因については腸管における吸収障害, かゆみのためのストレスや睡眠障害, 外用ステロイド剤の影響等が考えらる. しかし, このようなアトピー性皮膚炎に見られる身体的特徴は食事制限による栄養障害や腸管での吸収障害によるものよりも外用ステロイド剤の影響やかゆみによるストレスや睡眠障害のため起こる成長ホルモン分泌異常をより強く疑わせる. したがって, 特に重症なアトピー性皮膚炎については, 以上の点に留意して適切な食事指導や外用ステロイド剤の使用のほかに, 環境の整備, スキンケア, 抗アレルギー剤の使用などによる総合的な治療が必要である思われた.
  • 西牟田 敏之, 勝呂 宏, 松井 猛彦, 浜崎 雄平, 西間 三馨, 古川 漸
    1996 年 10 巻 4 号 p. 497-504
    発行日: 1996/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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