日本小児アレルギー学会誌
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11 巻 , 4 号
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  • 西間 三馨
    1997 年 11 巻 4 号 p. 243-255
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の治療は病態解明が進んできたこともあり, 急激に変化してきている. 国際的にも理想的喘息管理プログラム6項目や, 喘息がコントロールされた状態7項目が示されている. しかし, これらの理想的プログラムと目標を施行し達成することは現状の思春期~青年期の気管支喘息患者をみると極めて困難な状況である.
    1975年と1994年の国療南福岡病院小児科における気管支喘息の年間登録外来患者数と発作入院数を比較すると, それぞれ4.7倍 (466→2194人), 6.0倍 (121→723例) に増加している. 一方, 死亡例は増加せず年に1例のペースであり, 大部分は自宅か, 来院途中での死であった. このことは小児気管支喘息の治療管理の大きな進歩を示している.
    しかしながら, 死亡24例中20例の急死例は10~29歳であり, 全国的にも15~29歳では1980年からの10年間で男女とも死亡率は3倍になっている. このデータは心理・社会・経済的ハンディキャップを持つ重症な思春期~青年期の喘息患者の管理の困難さを示唆するものである.
    重症難治型の喘息の予後は, よいものではなく, 20年後の予後調査では寛解27.2%, 死亡12.7%であった.
    結論として, 気管支喘息は一般的にはコントロールしやすくなり軽症化している感があるが, 重症難治型の若年喘息患者においては日常生活の障害, 進学就職上の障害, 専門診療・夜間救急体制の不備, 周辺社会の無理解など, 多くの問題があり, 社会的視野を持った真の意味での total care の構築が急がれる.
  • 神田 康司, 岩佐 充二, 安藤恒 三郎, 今枝 弘美, 渡辺 勇, 後藤 玄夫, 渡辺 一男, 三浦 康伸
    1997 年 11 巻 4 号 p. 256-262
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1, 対象はヒョウヒダニ特異的IgE値が17.5PRU/ml以上 (RASTスコア4) の喘息児12人 (3-14才) と健康児12人の家庭である. その24家庭に保健所職員が月1回5ヶ月間訪問し, 掃除機に16 (1000μ) と200メッシュ (74μ) の直径5cm円形の2段フィルターで塵を分離するダストサンプラー (神東塗料株式会社製) を装着し塵を採取した. ヒョウヒダニ抗原量はダストチェッカー (特異モノクローナル抗体による2抗体サンドイッチELISA法: 神東塗料株式会社製) で測定した. 患児家庭では決められた掃除を定期的に施行してもらった. 患児家庭の敷き布団と寝室床面の塵量1g当たりのダニ抗原量が減少し, 臨床症状も軽快傾向を示した. 2, 対象はダニ特異的IgE値がスコア2以上の喘息児20人 (2-11才) の家庭である. 1年間月1回, 掃除機にダストサンプラーを装着し, 塵を母親に採取してもらった. 敷き布団の月別平均ダニ抗原量は, 秋に抗原量が多くなり, 2月, 3月に一番少なくなった. 喘息発作に敷き布団の影響は大きいと思われた.
  • 高増 哲也, 栗原 和幸, 猪又 直子, 五藤 和子
    1997 年 11 巻 4 号 p. 263-267
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アレルギー疾患の治療において家庭内のダニを減らすことが重要であるが, ダニ抗原がどの場所にどの程度いるかがわからなければ, 具体的な環境整備の指導は困難である. そこで家庭内のダニ抗原量を測定し, 具体的な指導への参考とした. 室内塵の採取場所は当科通院中の患者宅52家庭と病院内7ヶ所の合計218ヶ所で, 業者に依頼して Der Iを sandwich ELISAで測定した. その結果病院内はダニが少なく (1.8μg/g以下), 家庭内では寝具 (布団は平均10.3μg/g), じゅうたん (7.7μg/g), ソファ (35.2μg/g), ぬいぐるみ (59.4μg/g) 中のDer Iが高値であった. 敷布団と寝室の床のDer Iには正の相関が見られた. 個々の症例にとって, ダニ抗原を測定することはさまざまな意義があった. 家庭内の塵のダニ抗原量を測定することによって, 環境整備の指導は個々の状況にあわせて具体的に行えるようになり, その効果も確認できる. 臨床の場で普及することが望ましい.
  • 五十嵐 宏三, 長沼 賢寛, 遠山 潤, 富沢 修一, 小澤 寛二
    1997 年 11 巻 4 号 p. 268-275
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    気管支喘息病態を示すとされる呼気中NO濃度の測定の小児領域への適応を目的に, 測定装置の改良を試み有用性を検討した. NO濃度測定機に呼気が入る前に可変気流量一定化装置に呼気を通すことで, 小児でも良好な再現性のある値を測定することができた. 測定されたNO濃度は数秒のプラトーを形成して, 従来の Slow vital capacity maneuver の山型と異なっていた. 呼気流量の上昇に伴い呼気中NO濃度は減少していったが, 呼気流最と呼気中NO濃度の積は測定呼気流量にかかわらず被験者毎に一定であった.
    仮定した測定原理では, 本測定法で得られる呼気中NO濃度のプラトー値は気管支におけるNO産生を示す良好な指標と考えられた.
  • 佐藤 好範, 関根 邦夫, 渡辺 博子, 大橋 裕美子, 青柳 正彦, 三之宮 愛雄, 西牟田 敏之
    1997 年 11 巻 4 号 p. 276-281
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    テオフィリン (TP) は, 気管支喘息治療薬として主要な薬剤の一つである. しかし, TPの代謝, クリアランスは種々の条件により影響を受け中毒症状を来しやすいことが知られている.
    今回我々は, 診断が明らかなインフルエンザウィルス (Inf) 感染時の, TPクリアランスの変化を経時的に検討した. その結果, 発熱に伴いTP血中濃度は約2倍に上昇し, クリアランスは2分の1に低下した. この変化は解熱後3日目に平常に戻った. またTP代謝産物の検討から発熱時にTPの代謝が抑制されている可能性が示唆された. Inf感染時には, 発熱と同時にTPの投与量を1/2に減量し, 解熱後3日目より, もとの投与量に戻すことによって, TP中毒を予防できうるものと考えられた.
  • 岩島 覚, 竹内 浩視
    1997 年 11 巻 4 号 p. 282-287
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    喘息重積発作にて呼吸不全に陥り挿管された既往をもつ症例の肺機能についての報告は少ない. 今回, 1ヶ月以上入院した気管支喘息児92名 (男児61名, 女児31名) を, Near fatal attack の指標として挿管既往の有無別に, 定期的肺機能検査を比較検討した. 入院経過中における挿管既往 (+) 群 (男児4名, 女児3名) と既往 (-) 群 (男児57名, 女児28名) との比較において, 挿管既往群ではFEV1.0%, %FEV1.0, %MMF, %V50, %V25が有意に低値で, FEV1.0%, %V50は罹病期間と負の相関関係 (r=-0.814 p<0.05, r=-0.797 p<0.05) を示した. この結果, 挿管既往群においては非発作時にも末梢気道の閉塞が残存し, 罹病期間の長期化とともに気道閉塞は増悪していく可能性が示唆された.
    挿管後の肺機能検査においては, 一過性の末梢気道の閉塞が存在し, 挿管回数が頻回な症例では挿管後の気道閉塞は長期化する傾向があると思われた.
  • 黒坂 文武
    1997 年 11 巻 4 号 p. 288-292
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ゼラチン含有ワクチン接種1~2日後に局所の著明な発赤, 腫脹を来した3症例を報告する. 3症例ともワクチン及びゼラチンに対する薬剤リンパ球刺激試験が陽性であった. また成人ボランティア8名についてゼラチンに対するリンパ球刺激試験を行ったところ, 1名陽性であった. 陽性であったボランティアは麻疹ワクチンの皮内テストで48時間後に13×11mmの発赤を認めた. ゼラチン含有ワクチンは遅延型の副反応を引き起こす可能性がある.
  • 朝倉 俊成, 野崎 雅子, 野崎 征支郎, 生井 良幸, 太神 和廣
    1997 年 11 巻 4 号 p. 293-298
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    小児気管支喘息息者への定量噴霧式ネブライザー (MDI) の手技指導は, 一般的には医師により行われることが多いが, 当院では1994年より薬剤師も外来および入院患者に行うようにしている. 今回, その服薬指導が実施されているかについて調査した.
    当院小児科アレルギー外来に継続通院中の気管支喘息患者37名 (平均年齢10.6±4.5歳: M±SD) を対象に, 面談および郵送によるアンケートを実施した.
    回答者の54.1%は吸入を積極的に行っているものの, 吸入のやり忘れは「時々忘れる」を含むとが78.4%にみられ, 昼に忘れやすい傾向があった. 吸入前に「ボンベを振ること」と吸入後の「息こらえ」や「うがい」の励行は60~80%が実施していたが, その実施理由を知っていたのは30~50%であった. スペーサーの利用率は70.3%で, その携帯率は42.3%であった.
    今回の調査において, 手技指導の中でも患者の動機付けへの工夫や, コンプライアンス面への患者や家族に対する実践意識を付ける点に力を入れる必要があることが明らかとなった. それには, 操作が簡単で携帯に便利なスペーサーの使用を勧めることと, 操作項目毎にその操作の必要理由を理解してもらうことが大事であると思われた.
  • 小倉 英郎, 尾原 喜美子, 小倉 由紀子, 前田 治子, 白石 泰資
    1997 年 11 巻 4 号 p. 299-306
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    不登校となった重症アトピー性皮膚炎の2症例を経験し, 入院による除去食療法と環境整備が有効であったので報告する.
    症例は11歳5ヶ月と16歳7ヶ月の男児で, 両者とも皮膚症状の悪化のため, 不登校となり, 食物アレルゲンの診断と治療のため入院した. 検査値は両者とも血清IgE高値 (症例1: 12,000IU/ml, 症例2: 55,300IU/ml) であり, ダニ特異IgE抗体高値で, 食物アレルゲンも多項目陽性であった. 入院後は, 環境整備と卵, 牛乳, 大豆, 小麦, 米を始めとする推定食物アレルゲンの除去を行った. 両者とも入院3週間後に皮膚炎症状の著明な改善を認めたため経口誘発試験 (single open food challenge test) を行った. 症例1は米, 大豆, 卵が陽性で, 小麦, 牛乳, 豚肉が陰性であった. 症例2は小麦, 米が陽性で, エビが陰性であった.
    アトピー皮膚炎のため不登校となる症例は今後増加すると考えられる. その問題解決には様々なアプローチが考えられるが, 的確なアレルゲン診断に基づいたアレルゲン除去をまず試みるべきであることを強調したい.
  • Neil Pearce, Julian Crane, Richard Beasley
    1997 年 11 巻 4 号 p. 307-316
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Asthma mortality rates were very stable, and very low, in Western countries during the first half of this century. However, there were asthma mortality epidemics in six Western countries in the 1960s. These were linked with the introduction of isoprenaline forte which was only marketed in the six epidemic coon tries (England and Wales, Scotland, Ireland, Norway, Australia and New Zealand), and in two other countries for whom sales were low (The Netherlands and Belgium). Although the high-dose (forte) formulation of isoprenaline was not marketed in Japan, and the country showed only a modest increase in asthma mortality in the 5-34 years age-group, there was a more marked increase in mortality in the 10-414 years age-group which paralleled the increase in total sales of beta-agonise aerosols. A second mortality epidemic occurred in New Zealand in the 1970s. This was linked with the introduction of fenoterol, which was not licensed in the USA and had a low market share in most other countries. Japan experienced a doubling in asthma deaths in the 5-34years age-group following the introduction of fenoterol in 1985, and there was a parallel between the increase in fenoterol sales and the increase in mortality. Fur thermore, a recent study found that a high proportion of asthma deaths were in persons prescribed fenoterol (53% compared with a market share of 18%). Thus, the available data for Japan is consistent with the studies in Western countries that have indicated an increase in the risk of asthma death in pa tients prescribed isoprenaline or fenoterol, which are both poorly selective full agonists that were market ed in high dose preparations. These findings have policy implications for Japan and the Asia Pacific region, as well as for the rest of the world.
  • 日本小児アレルギー学会・喘息死委員会
    1997 年 11 巻 4 号 p. 317-327
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1990年から1996年10月までに登録された喘息死123例について解析した. 年齢は0~28歳 (平均12.2±6.6歳), 男女比79:44であった. 喘息重症度は, 軽症23例, 中等症28例, 重症37例, 不明あるいは記載なし34例で, 病院内死亡は70例 (57.4%) で, 13歳以上の年長児では, 来院途上 (10.2%) や救急車内 (10.2%) が多かった, 死亡に関与したとされる要因は, 適切な受診時期の遅れ, 予期せぬ急激な悪化が多く, 適切な受診時期の遅れの原因として患者の判断の誤り, 家族の判断の誤りに次いでβ刺激薬定量噴霧式吸入剤 (MDI) 過度依存が28.5%と多かった. 薬物の過剰投与が喘息死の要因となった, あるいはその疑いがあるとされたのは18例 (14.6%) で, そのうちMDIが11例で, 薬剤別にMDIをみると fenoterol が7例であった. ステロイド依存例は5例であった.
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