牛乳アレルギー乳児24名をカゼイン加水分解乳MA-1, 限外濾過処理カゼイン加水分解乳 MA-1[R]・MA-1[N] のいずれかで3ヵ月間哺乳し, 免疫学的・栄養学的有用性を比較検討した. 試験期間中, 成長状態・アレルギー症状等を観察し, 血液学・血液生化学・血清抗体検査を実施した. また, 既にMA-1哺乳中で症状改善が認められなかった2例をMA-1[R]に切り替えて3ヵ月間哺乳し同様に観察評価した. その結果, 全試験乳哺乳群ともスコア化して評価したアレルギー症状は統計学的に有意な改善が認められるとともに, 良好な体重・身長増加を示し, 血液学・血液生化学検査上の問題での中止例はなかった. また, MA-1からMA-1[R]に切り替えた重症アレルギー乳児2例では軽症化が認められ, 特にMA-1哺乳で下痢が遷延化した体重増加不良児では, MA-1[R]哺乳への切り替えにより下痢が消失し, 体重が著明に増加するとともに, 血漿総蛋白質量・好酸球数の正常化, 牛乳特異的IgEの著減が観察された. 以上より, MA-1[R]・MA-1[N]は牛乳アレルギー乳児に対して栄養学的・免疫学的にもMA-1と同等の有効性・有用性を有していると考えられた. なお重症2例の結果からMA-1[R]がMA-1以上の有用性を有する場合があることが示唆された.
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