症例は喘息発症時3歳女児, 精神運動発達は正常. 単純性熱性けいれんの既往が1回あり, 同胞2人にてんかんがある. 3歳3か月より喘息発作が頻発しテオフィリン製剤の内服を7~10mg/kg/日で開始したところ, 30分以上続く意識消失発作 (3歳9か月時), 複雑部分発作の重積 (4歳2か月時) ,ネオフィリン点滴中の発熱を伴う全身性強直けいれん (4歳4か月時), 30分持続する意識消失発作 (4歳5か月時) の, 3回の重積発作を含む計4回のけいれんが生じた. 脳波, 頭部CT, MRI, MRAに異常を認めず, 何れの場合もテオフィリン製剤内服中にも関わらずテオフィリン血中濃度は測定感度以下~6.4μg/mlと治療濃度域以下であった. 4回のけいれんが全てテオフィリン製剤開始以降に生じていることから, テオフィリン関連けいれんと考え, テオフィリン製剤の内服を中止し, プロピオン酸フルチカゾンの吸入を開始したところ, 喘息発作回数は激減し, けいれんも生じなくなった. 4回目のけいれん後より内服を開始したバルプロ酸ナトリウムも減量, 中止したが, けいれんは再発していない. 今後長期的な観察は必要であるが, 神経学的疾患の濃厚な家族歴を有する幼少児の場合, 本人に神経学的異常がない場合でも, テオフィリン製剤の使用には慎重を要すると思われた.
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