入園前に耐性が獲得されない食物アレルギーの園児では, 幼稚園で食物アレルギーの症状がみられることも少なくなく, 給食などに適切な対応が求められる. そこで, 幼稚園児における食物アレルギーの実態と問題点を明らかにするため, 幼稚園教諭と保護者を対象にアンケート調査を行った.
173園の幼稚園教諭と1,148人の保護者より有効回答を得た. 園児29,106人における食物アレルギーの有病率は2.4%であった. 食物アレルギーの園児の60%が幼稚園で食物除去が必要であった.
699人の食物アレルギー児のうち, 100人 (14%) に幼稚園で症状がみられた. 詳細が把握できた61名での原因食品は, 鶏卵が25名, 牛乳9名, 魚介類7名, ピーナッツ6名であった. 症状は皮膚症状が38名 (62%), 喘鳴4名 (7%), ショック症状1名 (2%) であった.
また, 医師の診断書に基づいて食物除去を行っている幼稚園は3%に過ぎなかった. さらに幼稚園教諭における食物アレルギー症状の認識度は, 不十分であった.
幼稚園で安全に過ごすためには, スタッフへの教育が必要であると思われた. さらに, 食物除去や緊急時の対応に関して, 主治医からの指示書の提出が望まれた.
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