日本小児アレルギー学会誌
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20 巻, 1 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
第42回日本小児アレルギー学会会長講演
第42回日本小児アレルギー学会シンポジウム3
小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005
第42回日本小児アレルギー学会シンポジウム4
小児アレルギー疾患のEarly Intervention
第42回日本小児アレルギー学会シンポジウム5
小児アレルギー診療と医療機関の役割
原著
  • 我妻 義則, 梅津 愛子, 木村 健修, 島野 由美, 高橋 豊, 田中 洋子, 寺井 格, 山中 樹, 我妻 浩治, 渡辺 徹, 渡辺 一 ...
    2006 年 20 巻 1 号 p. 92-99
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル 認証あり
    近年動物アレルギー患者が増加したと感じることから, 二つの調査を実施した. 調査Iは主として小児のいる家庭における動物飼育の頻度と動物アレルギーと推定される者の有無, 調査IIは動物アレルギー患者の実態を伺う目的で129例について検討した.
    1. 一般の小児のいる家庭1623例の動物飼育は410例で, 25.3%であった. 飼育動物の半数はイヌで, 一戸建て家屋に多かった. 動物アレルギーと推定される者は動物飼育の有無に拘わらず約30%に認められた.
    2. 動物アレルギー患者129例の年齢分布は0歳より23歳の男子69例, 女子60例で, 12才以上は全体の15%と少なかった.
    患者を動物飼育群, 祖父母飼育群, 過去飼育群, 飼育なし群の4群にわけて観察した. 動物飼育群が38.8%を占め, さらに飼育なし群を除いた約85%の患者が動物飼育に関連して発症していた. どの群でも, 鼻炎, 結膜炎と呼吸器症状が多かった. 血清IgE値が高く, ネコ, イヌ特異IgE抗体の陽性率はヤケヒョウヒダニのそれにほぼ同等であった. 動物飼育をしていない動物アレルギー患者が14.7%に認められた. 動物アレルゲンは拡散していて, ダニアレルゲンと同様に普遍的なアレルゲンの一つになっていると考えられた.
    3. 動物アレルギーの実態の概略を知ることができた. 多くの問題が残されたが, 動物アレルギー患者の動物飼育を中止させること, またアレルギー有病者および素因者には動物を飼育しないよう, また動物接触を回避するよう指導すべきであることが示された.
  • 清益 功浩, 大塚 晨, 河原 信吾, 櫻井 嘉彦, 南部 光彦, 新家 興, 古堅 裕彦
    2006 年 20 巻 1 号 p. 100-108
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル 認証あり
    今回我々は, 奈良県下の医療機関の協力を得て, 小児気管支喘息管理についてのアンケート調査を行った. 対象期間は, 2004年6月1日から7月31日までの2ヵ月間で, 奈良県下の医療機関にアンケート用紙を設置し, 回収した. 468人から回答を得た. 患者背景は0.5~21歳 (中央値6歳) であった. 性別は, 男310人, 女155人, 無記名3人であった. 喘息発症年齢は0~12歳 (中央値2歳), 喘息と診断された年齢は0~14歳 (中央値2歳) であった. 発作時期は夏に少なかった. 喘息悪化要因を両親が認識していたのが90.7%にみられ, 家塵と風邪が多かった. 喘息発作による入院を経験したのは64.7%であった. 医療機関への受診は, 発作時のみが17.4%, 定期受診が82.6%と定期受診患者が多かった. ほとんどの患者が予防薬を使用しており, その名前と使い方も, 理解していた. 保護者が, 患児の喘息症状のコントロールが不十分, ならびに全くできていないと考えている率は, 合わせて14.4%であり, 保護者の生活への支障もみられることから, 今後, どのようにQOLを高めていくかが検討課題と思われる.
  • 西間 三馨, 崎山 幸雄, 森川 みき, 角田 和彦, 吉原 重美, 森川 昭廣, 河野 陽一, 西牟田 敏之, 十字 文子, 相原 雄幸, ...
    2006 年 20 巻 1 号 p. 109-118
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル 認証あり
    目的 : 小児アレルギー疾患における感作アレルゲンを検討する.
    方法 : 全国21施設で気管支喘息, アトピー性皮膚炎と診断された小児589例を対象として, 35アレルゲンに対する特異IgE抗体を測定した.
    結果 : 0-1歳群 (n=105) では, 卵, ミルクなどの食物アレルゲンに対する特異IgE抗体保有率が高く, とくにピーナッツが小麦よりも高率であった. 吸入性アレルゲンでは, チリダニ, イヌ皮屑に次いでゴキブリの保有率が高かった. 年齢に伴って吸入性アレルゲンの保有率が上昇した. 一方, 卵, ミルク, 魚類および肉類は年齢に伴い保有率が減少したが, 穀類, 豆類および甲殻類は年齢による差を認めなかった. アトピー性皮膚炎の合併, その重症度に伴い各特異IgE抗体保有率は高くなった. 気管支喘息の重症度と抗体保有率には関連を認めなかった.
    考察 : 既報と比較して乳児においてピーナッツ, ゴキブリに対する特異IgE抗体保有率が高く, 今後検討すべきアレルゲンと考えられた. 小児アレルギー疾患において, 年齢, 症状, および重症度を考慮して測定する特異IgE抗体のアレルゲンを選択すべきと考えられた.
  • 池田 有希子, 今井 孝成, 杉崎 千鶴子, 田知本 寛, 宿谷 明紀, 海老澤 元宏
    2006 年 20 巻 1 号 p. 119-126
    発行日: 2006/03/01
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル 認証あり
    【目的】
    食物アレルギーの除去食療法を行うことは非常に大変である. そこで, 食物アレルギー患児ならびに保護者のQOLへの影響と摂取栄養の実態を調査した.
    【対象・方法】
    国立病院機構相模原病院に通院中の食物アレルギー児の保護者を対象に, 平成14年9月~平成15年7月にアンケート調査を実施し, 栄養指導の希望があった児には, 個別の栄養学的評価を行った.
    【結果】
    アンケート総数は138名で平均年齢は2.0±0.1歳であった. 食物アレルギー児の保護者の72.5%は何らかのストレスを感じており, その内容は児の食生活や栄養問題, 疾病不安であった. 患児達の摂取栄養量は, エネルギー, カルシウムおよび鉄の摂取量が所要量に比べて低値であった. 特に, 乳製品除去群は, 非除去群に比べカルシウム摂取量が有意に低かった.
    【結論】
    当科では「食物負荷試験に基づいた必要最小限の食物除去」を基本としているが, それでも食物アレルギー児の保護者はストレスを感じていた. ストレスの軽減の為には早期の食物制限の解除と適切な栄養指導が必要である.
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