近年動物アレルギー患者が増加したと感じることから, 二つの調査を実施した. 調査Iは主として小児のいる家庭における動物飼育の頻度と動物アレルギーと推定される者の有無, 調査IIは動物アレルギー患者の実態を伺う目的で129例について検討した.
1. 一般の小児のいる家庭1623例の動物飼育は410例で, 25.3%であった. 飼育動物の半数はイヌで, 一戸建て家屋に多かった. 動物アレルギーと推定される者は動物飼育の有無に拘わらず約30%に認められた.
2. 動物アレルギー患者129例の年齢分布は0歳より23歳の男子69例, 女子60例で, 12才以上は全体の15%と少なかった.
患者を動物飼育群, 祖父母飼育群, 過去飼育群, 飼育なし群の4群にわけて観察した. 動物飼育群が38.8%を占め, さらに飼育なし群を除いた約85%の患者が動物飼育に関連して発症していた. どの群でも, 鼻炎, 結膜炎と呼吸器症状が多かった. 血清IgE値が高く, ネコ, イヌ特異IgE抗体の陽性率はヤケヒョウヒダニのそれにほぼ同等であった. 動物飼育をしていない動物アレルギー患者が14.7%に認められた. 動物アレルゲンは拡散していて, ダニアレルゲンと同様に普遍的なアレルゲンの一つになっていると考えられた.
3. 動物アレルギーの実態の概略を知ることができた. 多くの問題が残されたが, 動物アレルギー患者の動物飼育を中止させること, またアレルギー有病者および素因者には動物を飼育しないよう, また動物接触を回避するよう指導すべきであることが示された.
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