日本小児アレルギー学会誌
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20 巻, 5 号
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総説
原著
  • 神奈川 芳行, 伊藤 節子, 明石 真未, 太田 裕見, 本庄 勉, 森松 文毅, 高畑 能久, 武内 澄子, 今村 知明
    2006 年 20 巻 5 号 p. 476-484
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル 認証あり
    食物アレルギー症状の原因となることが多い店頭販売品について, コンビニエンスストアー (6社20商品), ファーストフード店 (6社29商品), 丼物屋 (1社3商品), 持ち帰りパン屋 (2社5商品), 持ち帰り寿司店 (2社11商品), 和菓子店 (3社13商品) の20社81商品の特定原材料 (卵・牛乳・小麦・そば・落花生) 含有量を測定した結果, 81商品中27商品で10μg/g以上の濃度で特定原材料が検出された. もちや最中, 冷菓以外の商品では, 数μg/g以上の濃度で検出された. 情報提供は, ファーストフード店, 丼物屋, 和菓子店は全社, コンビニは6社中2社が行っていたが, 持ち帰りパン屋や持ち帰り寿司店では提供していないなど, 業務形態により差が見られた. 10μg/g以上の特定原材料が検出された商品の内9商品で情報提供が無いなど一部情報の漏れや, 過剰な情報も見られたが, 情報が誤りと思われた企業に連絡したところ, 直ちに修正された. 患者が安全に食品を選択できるよう, 現在表示義務のない「店頭販売品」についても, 精度の高い情報提供が望まれる.
  • 西間 三馨, 永倉 俊和, 勝呂 宏, 白神 誠, 宮本 昭正
    2006 年 20 巻 5 号 p. 485-496
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル 認証あり
    目的 : 小児気管支喘息患者 (以下, 喘息児) を対象として「入院, 救急室受診, 予定外受診, あるいは幼稚園 (保育園) や学校などの教育・保育機関 (以下, 学校など) の欠席状況」(喘息エピソード) に関するプロピオン酸フルチカゾン (FP) の医療経済的な効果を検証した.
    方法 : FP使用前後6ヶ月間の喘息エピソードデータを比較した調査で得られた入院や救急室受診回数のデータをもとに医療費を推計した.
    結果 : 179例に対するFP使用前後6ヶ月間の医療費を比較した結果, 薬剤費用は約4,000円/6ヶ月の有意 (p<0.05) な増加を認めたが, 喘息エピソードの減少によりそれに起因する費用は節減されたため, 医療費全体では平均約57,000円/6ヶ月の有意 (p<0.001) な節減を認めた. 上述の検討にはいくつかの仮定が含まれているため, 感度分析を行った結果, 上述のFPによる医療費節減効果は確実であることが示された.
    結論 : FPを使用することによって薬剤費用は増加したが, 喘息エピソードの改善により医療費全体の節減効果が認められた.
  • ―保護者への意識調査から―
    楠 隆, 宮嶋 智子, 鬼頭 敏幸, 藤井 達哉, 伊藤 正利
    2006 年 20 巻 5 号 p. 497-504
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル 認証あり
    背景 : 小児喘息の服薬アドヒアランスの重要性が指摘されているが現実には不充分である.
    目的 : 喘息小児の保護者に対して意識調査を行い, 服薬アドヒアランスを高めるために何が必要かを検討する.
    方法 : 2歳以上12歳未満の小児喘息児71例の保護者にアンケートを行った.
    結果 : 長期管理薬として吸入ステロイドを好む保護者は22.2%に対し, 内服ロイコトリエン拮抗薬 (LTRA) を好む保護者は52.8%と過半数を占めた. 内服LTRA使用患児の保護者で吸入ステロイドを好むものはいなかったのに対し, 吸収ステロイド使用患児の保護者の30.8%は実際には内服LTRAの方を望んでいた. 喘息への理解度を示す質問に対し, 平均点以下であった保護者群では指示通りの服薬率が68.2%であったのに対し, 平均点以上であった群では51.0%と, むしろ理解度良好と考えられる保護者でアドヒアランスが悪い傾向であった. 服薬が指示通りとならない理由としては, 「忙しくてうっかり忘れる」と答えた保護者が70%にのぼり, 最も多かった.
    考察 : 現状では, 保護者の間ではステロイド吸入よりも内服LTRAを好む傾向が見られ, 吸入ステロイド必要例に対しては特に充分な説明が必要と思われた. また, 喘息への理解度が高いことが必ずしも服薬アドヒアランスの向上に結びついていなことが判明し, 生活習慣全体の見直しなど新たな工夫が必要と思われた.
  • 南部 光彦, 古庄 巻史, 森川 昭廣, 西間 三馨, ガイドライン2005作成委員
    2006 年 20 巻 5 号 p. 505-512
    発行日: 2006/12/20
    公開日: 2007/11/02
    ジャーナル 認証あり
    小児気管支喘息治療・管理ガイドライン (JPGL) 2005が発刊される前の, 小児気管支喘息治療・管理の実態を調査する目的で, 全国の小児科医を対象としたアンケート調査を行った. 3,396人からの有効回答を得た. 同様の調査はJPGL2002発刊の数か月後にも施行されていたので, その時の結果と比較した.
    小児気管支喘息患者数が「3年前と比べて増えている」と答えた医師の割合は前回の調査より減少した. 急性発作・重積発作にて来院・入院する患者数は, 「減っている」が増加した. 96%の医師がJPGLを参考にしていると答えた.
    治療に関しては, 発作時の治療には前回の調査と大きな変化はなかったが, 長期管理薬では, テオフィリン徐放製剤, DSCG (+β2刺激薬) 吸入, 経口抗アレルギー薬を選ぶ医師が減り, 吸入ステロイド薬とロイコトリエン受容体拮抗薬が増加した. JPGLの2004年の小改訂では, 治療内容に変更はなく, 今回みられた変化は, JPGL2002 (2004) がさらに浸透してきたことと, 学会や医学雑誌などから得られた情報によるものと考えられる.
小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005をどう読むか
食物アレルギー診療ガイドライン2005解説
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