日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
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21 巻, 1 号
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会長講演
シンポジウム2 小児アレルギー疾患における免疫調節療法の展望
シンポジウム3 保育園・幼稚園・学校における小児アレルギー疾患の問題点と対処
シンポジウム4 アレルギー疾患発症に関与する遺伝因子・環境因子
総説
  • 古林 万木夫, 田辺 創一, 谷内 昇一郎
    2007 年 21 巻 1 号 p. 96-101
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2007/12/04
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    醤油は日本を代表する発酵調味料の一つであるが,これまで醤油中の小麦アレルゲンの残存性について全く研究が行われていなかった.そこで我々は,醤油醸造工程中の小麦アレルゲンの分解機構を調べるために,小麦アレルギー患者の血清を用いた3種類の免疫学的検査手法により醸造中の小麦アレルゲンを測定した.その結果,製麹中に麹(こうじ)菌が生産する酵素により小麦アレルゲンは分解を受け,さらに諸味(もろみ)中でも経時的に分解されて,生揚(きあげ)や火入れ醤油では小麦アレルゲンは完全に消失していることが明らかとなった.また,10種類の市販醤油(淡口,濃口,再仕込み,白)から小麦アレルゲンは検出されなかった.
原著
  • 岸田 勝, 黒岩 玲, 中園 宏紀, 小渋 達郎, 鈴木 五男, 中里 純子, 道海 秀則, 下田 牧子, 四宮 範明
    2007 年 21 巻 1 号 p. 102-108
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2007/12/04
    ジャーナル 認証あり
    プランルカストには,急性の気管支拡張作用が期待できることから,小児気管支喘息発作の初期治療期からの治療薬としての有用性について,テオフィリン徐放製剤と比較検討した.
    2週間以上にわたり発作が出没し,抗アレルギー薬および気管支拡張薬の4日以上の連用を行っていなかった患児60例を対象に,あらかじめ決められた順序で,プランルカストあるいはテオフィリン徐放製剤の投与を開始した.観察期間2週間,投与期間4週間とし,その間の喘息発作点数および QOL スコアの推移から治療効果を検討した.
    喘息発作点数は,両群ともに明らかな低下を認めたが,4歳未満ではプランルカスト群で有意に良好であった.QOL スコアは,4歳未満,4歳以上ともにプランルカスト群で,2週,4週後と次第に改善した.テオドール群では,4歳未満で4週後に,4歳以上で2週後に明らかな改善が認められた.
    副作用はテオフィリン徐放製剤群2例に認められた.
    以上よりプランルカストは,小児気管支喘息発作の初期治療期からの治療薬としてテオフィリン徐放製剤よりも有用と考えられる.
  • 小島 崇嗣, 小島 俊巳, 谷内 昇一郎, 金子 一成
    2007 年 21 巻 1 号 p. 109-115
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2007/12/04
    ジャーナル 認証あり
    小児急性上顎洞炎の診断と治療効果判定における超音波エコー検査(US)の有用性を検討し以下の4項目の結果が得られた.
    1.正常例の上顎洞 US 像(26例)の検討結果から,US は2~3歳以降から検査が可能となることが明らかとなった.
    2.12例の病的上顎洞はその特徴的 US 像より以下の三型に分けられた.I 型:上顎洞内のエアーバブル像の存在,II 型:上顎洞後壁エコーの存在,III 型:上顎洞後壁エコーに加えて後壁の音響エコーの存在,である.
    3.29例の US 像と上顎洞単純エックス線写真の比較では,上顎洞 US 像が III 型を示した場合には全上顎洞でエックス線学的上顎洞炎を認めた.
    4 .急性上顎洞炎(AMS)の9症例では,治療による臨床症状の改善と共に全例 US 像の改善を認めた.以上の結果から,US は AMS の診断,重症度の評価および治療効果の判定にきわめて有用と考えられた.
調査報告
疫学委員会報告
  • 松井 猛彦, 赤坂 徹, 赤澤 晃, 池田 政憲, 伊藤 節子, 海老澤 元宏, 小田嶋 博, 坂本 龍雄, 末廣 豊, 鳥居 新平, 西間 ...
    2007 年 21 巻 1 号 p. 124-127
    発行日: 2007/03/01
    公開日: 2007/12/04
    ジャーナル 認証あり
    2005年10月,日本小児アレルギー学会会員並びに所属会員がいない大学附属病院を対象に小児難治性喘息に関する調査を行い752施設から有効回答を得た。医療機関の外来受診者総数は病院37,637例,診療所40,934例であった。病院における従来の狭義の難治性喘息である経口ステロイド依存性の患児は病院0.07%,診療所0.04%であった。また,通常使用量を超える吸入ステロイド薬を必要とする症例は病院1.52%,診療所0.75%であり,しばしば発作入院し,その度毎に静脈内ステロイド投与(プレドニゾロン換算5mg/kg/日以上)が必要だった症例は病院0.57%,診療所0.12%で,広義の小児難治性喘息は病院2.16%,診療所0.92%であった。
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