小児急性上顎洞炎の診断と治療効果判定における超音波エコー検査(US)の有用性を検討し以下の4項目の結果が得られた.
1.正常例の上顎洞 US 像(26例)の検討結果から,US は2~3歳以降から検査が可能となることが明らかとなった.
2.12例の病的上顎洞はその特徴的 US 像より以下の三型に分けられた.I 型:上顎洞内のエアーバブル像の存在,II 型:上顎洞後壁エコーの存在,III 型:上顎洞後壁エコーに加えて後壁の音響エコーの存在,である.
3.29例の US 像と上顎洞単純エックス線写真の比較では,上顎洞 US 像が III 型を示した場合には全上顎洞でエックス線学的上顎洞炎を認めた.
4 .急性上顎洞炎(AMS)の9症例では,治療による臨床症状の改善と共に全例 US 像の改善を認めた.以上の結果から,US は AMS の診断,重症度の評価および治療効果の判定にきわめて有用と考えられた.
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