日本小児アレルギー学会誌
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21 巻 , 5 号
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総説
  • 吉原 重美
    2007 年 21 巻 5 号 p. 635-648
    発行日: 2007/12/10
    公開日: 2008/06/30
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    本邦における乳幼児気管支喘息の治療目標や管理に関し,JPGL 2005の内容をGINA 2006,NAEPP EPR3と比較検討した.JPGL 2005では,世界的ガイドラインに比べ,より発症早期からの抗炎症療法を推奨しているが,本邦での治療実態はJPGL 2005と乖離が見られている.2006年に報告された吸入ステロイド薬による2次予防効果は否定的な結果であったが,これらの試験内容や結果を詳細に検討し,理想的な早期介入に関しまとめた.理想的な早期介入を実施することで,吸入ステロイド薬を中心とした抗炎症治療が喘息の自然歴を改善する可能性もあると考えており今後の検討が必要である.最後に,発症・長期予後に関連する遺伝的要因,環境要因をレビューし,今後の乳幼児喘息治療の課題をまとめた.
  • 伊藤 節子
    2007 年 21 巻 5 号 p. 649-656
    発行日: 2007/12/10
    公開日: 2008/06/30
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    乳児期発症の食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎は食物アレルギー関与する乳幼児のアレルギー性疾患の中で最も多い疾患であり,成因・経過の面からみるとアトピー性皮膚炎の中でも独立した疾患カテゴリーを形成している.
    適切なスキンケアと合わせて行う正しい抗原診断に基づいた必要最小限度の食品除去は最も効果的かつ合理的な治療である.
    この疾患のもう一つの重要な側面は,アトピー素因の強い児に発症し,多くの児にとり生涯で最初に経験するアレルギー性疾患であるということである.そのため,食事療法のみならず住環境整備(効率のよいダニ対策,室内ペットの回避,室内禁煙)がアレルギーマーチ進展予防のための早期治療介入として重要である.
原著
  • 横山 葉子, 木俣 肇, 御手洗 幸子, 平野 昌一, 矢野 詩織, 三谷 元宏, 山口 公一, 白川 太郎
    2007 年 21 巻 5 号 p. 657-668
    発行日: 2007/12/10
    公開日: 2008/06/30
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    [目的]MPC(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)ポリマー加工をした生体適合性を持つ肌着と汗処理・透湿性・吸湿性に優れるペバックス® 繊維肌着が小児アトピー性皮膚炎(AD)の症状・生理指標に及ぼす影響について検討した.
    [方法]53名の小児 AD 患者を MPC 群(19名),ペバックス® 群(17名),レギュラー群(17名)に割り付けた4週間の二重マスク化ランダム化比較試験を行い,AD の重症度(SCORAD),角質水分量・水分蒸散量,成長ホルモン,コルチゾール,s-IgA の測定を行った.
    [結果]AD 重症度は,ペバックス® 群(p=0.008)・レギュラー群(p=0.003)で統計学的に有意な改善がみられ,MPC 群でも改善の傾向がみられた.さらに,成長ホルモンは MPC 群でレギュラー群と比較して有意な増加が認められた(p=0.009).角質水分量はペバックス® 群で着用前後に有意な増加が認められた(p=0.020).
    [考察]綿だけではなく MPC 加工・ペバックス® 繊維肌着の小児 AD に対する長期着用の安全性が得られたと考えられた.また,肌着の繊維の違いが生理指標に影響を与える可能性が示唆された.
  • 今北 優子, 井上 壽茂, 林田 道昭, 清水 一男, 泉 裕, 土居 悟, 牧 一郎, 大薗 恵一
    2007 年 21 巻 5 号 p. 669-678
    発行日: 2007/12/10
    公開日: 2008/06/30
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    我々は,大阪小児喘息治療研究会の趣旨に賛同した小児科医を対象に2002年11月と2004年11月にアンケート調査を行い,2002年212名,2004年164名から回答が得られた.日本小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(以下 JPGL)2002は年齢が若い医師ほど活用しており,また開業医に比べ勤務医の方が活用していた.JPGL を活用している医師は吸入ステロイドをよく使用し,喘息日記やピークフロー測定の指導もよく行っていた.2002年と比べて2004年には長期管理薬としてロイコトリエン受容体拮抗薬や吸入ステロイドの使用頻度が増加していた.
  • 磯崎 淳, 小川 倫史, 野間 剛, 川野 豊, 中村 陽一
    2007 年 21 巻 5 号 p. 679-684
    発行日: 2007/12/10
    公開日: 2008/06/30
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    即時型食物アレルギー反応で救急(時間外)受診する患児についての詳細な報告は少ない.2005年4月から2007年3月の2年間,即時型食物アレルギー反応のため救急(時間外)受診した患児55例を対象として,後方視的に(1)年齢分布,(2)小児救急(時間外)診療に占める割合,(3)来院方法と救急搬送に占める割合,(4)受診時刻,(5)受診までの時間,(6)原因食物,(7)症状と重症度,(8)治療および転帰,を検討した.年齢,症状,原因食物は,平成14年度厚生労働科学研究報告とほぼ同様の傾向にあった.小児救急(時間外)診療に占める割合は,0.44%であり,救急車による搬送を受けたものは11例(20.4%),全救急搬送の0.76%を占めた.受診時刻は,夕食で発症したと考えられる18時以降に集中しており,半数以上が発症から90分以内の受診であった.比較的重症例が多く,アドレナリン投与を行ったものが5例(9.1%)であった.
    小児救急医療体制の変遷の中で,食物アレルギーの初期対応の啓蒙とアレルギー専門医との診療連携の強化が必要である.
  • 泉 裕, 井上 壽茂, 牧 一郎, 林田 道昭, 土居 悟, 今北 優子, 清水 一男, 大薗 恵一
    2007 年 21 巻 5 号 p. 685-696
    発行日: 2007/12/10
    公開日: 2008/06/30
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    専門施設と一般施設における喘息コントロールについて比較するため,小児喘息患者の保護者に対し平成16年11月にアンケート調査を実施し,専門施設から392例,一般施設から1454例,合計1846例から回答が得られた.救急受診や入院の既往がある患者は一般施設に通院中の患者で多かった.喘息発作の有無に関わらず定期的に通院を継続している患者や喘息日誌をつけている患者,ピークフロー測定を行っている患者の割合は専門施設通院患者に有意に多かった.また予防薬使用の頻度には差はなかったにも関わらず,薬の使い方や作用についての理解度,あるいはコンプライアンスは専門施設通院中の患者で優れていた.専門施設通院患者の方が喘息症状コントロールが良好で,日常生活の障害や心の負担が少なく,患者や保護者の QOL もより高く維持されていた.喘息児の診療に携わる多くの一般小児科医はガイドラインを参考に患者教育をはじめとした診療レベルの向上を図る必要がある.
  • 平口 雪子, 長尾 みづほ, 熱田 純, 井口 光正, 藤澤 隆夫
    2007 年 21 巻 5 号 p. 697-704
    発行日: 2007/12/10
    公開日: 2008/06/30
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    目的:アトピー性皮膚炎はガイドラインの治療によりコントロールは困難ではないが,ステロイド外用剤忌避をあおるマスコミやアトピービジネスの宣伝に影響されることにより,症状が悪化することは少なくない.そこで,アトピー性皮膚炎患者のステロイド外用剤を中心とする治療に対する意識と臨床経過との関連を明らかにするため,入院を要した重症例に対してアンケート調査を行い,退院後経過との関連を解析した.
    方法:対象は入院を要した重症アトピー性皮膚炎で退院後1年までの経過観察を行った患者84名である.入院時から1年後までの重症度と主治医が記載した悪化因子をカルテから調査するとともに,1年後にステロイド外用剤に対する意識と治療態度を尋ねるアンケートを実施した.
    結果:入院治療によりほぼ全例が退院後軽症となったが,1ヵ月ほどで中等症程度まで悪化する例が増加,1年後には再び軽快した.臨床経過は低年齢群より学童期以上で不良の傾向があった.主治医のあげる悪化因子にステロイド外用剤治療の不足があったが,アンケートでは80%以上にステロイド外用剤に対する漠然とした不安を感じている例がみられ,メディアの誤った情報に影響を受けていることが明らかとなった.また,主治医の指示よりも少なめに外用すると答えた例で有意に退院後の経過が不良であった.
    結論:入院中に時間をかけて標準的治療についての説明を行ったにも関わらず,誤った情報に影響されて治療が不十分になる傾向が明らかとなった.今後,正しい情報の啓発にさらに尽力すべきである.
小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005をどう読むか
食物アレルギー診療ガイドライン2005解説
会報 国・関連機関等における小児アレルギー疾患に関する疫学調査研究の現状-第2報
  • 海老澤 元宏, 秋山 一男, 西間 三馨
    2007 年 21 巻 5 号 p. 729-738
    発行日: 2007/12/10
    公開日: 2008/06/30
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    国立病院機構の傘下148施設において2004年に小児気管支喘息の急性発作で入院した患者のβ2刺激薬吸入療法以外の使用薬剤の実態を調査した.77施設(52%)より回答があり全調査症例数は4152例で,アミノフィリン単独に加えてステロイドとの両者併用を合わせるとアミノフィリンの使用率は3440名(82.9%)に上った.さらに詳細な解析を年齢別・地域別・専門医の有無別に行ったところ,以下の点が明らかになった.1)年齢別解析では0歳台の乳児に対しても65.3%の症例でアミノフィリンが使用されていた.2)地域別のアミノフィリンの使用状況は東海北陸・近畿・中国四国でアミノフィリンの使用率が70%未満であったのに対して北海道・東北・関東甲信越・九州では90%を越えており地域差を認めた.3)専門医の有無で分類すると専門医施設において大発作が入院例全体の31.3%であったのに対して非専門医施設では16.1%にとどまり,専門医施設ではアミノフィリンの使用率が89.5%あったが非専門医施設では73.9%であった.今回の大規模調査で我が国の小児気管支喘息発作入院時のβ2刺激薬吸入療法以外の薬剤の使用状況が初めて明らかになった.
  • 小田嶋 博, 西間 三馨
    2007 年 21 巻 5 号 p. 739-742
    発行日: 2007/12/10
    公開日: 2008/06/30
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  • 明石 真幸, 赤澤 晃
    2007 年 21 巻 5 号 p. 743-748
    発行日: 2007/12/10
    公開日: 2008/06/30
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    日本語版 ISAAC(International Study of Asthma and Allergies in Childhood)調査用紙を用いて全国小・中学生気管支喘息の有症率調査をおこなった.対象者は小学1,2年生および中学2,3年生を各都道府県それぞれ1,200名以上となるように抽出した.小・中学生の喘息期間有症率はそれぞれ13.9%,8.8%であった.小学生の喘息期間有症率は男子で有意に高い結果となった.アレルギー性鼻結膜炎,アトピー性皮膚炎の症状をあわせると,小中学生とも約3分の1がアレルギー疾患を有している結果となった.47都道府県別の喘息期間有症率は小中学生とも最大で約2倍の差が認められたが,ばらつきは少なかった.
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