日本小児アレルギー学会誌
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22 巻 , 5 号
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総説
  • 栗原 和幸
    2008 年 22 巻 5 号 p. 737-744
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2009/03/09
    ジャーナル フリー
    食物アレルギーの治療について考えてみると,耐性化に望みを託しつつアレルゲン食品の除去を続けることと誤食による急性症状の注意を与えることしかないのが現状である.しかし,食物アレルギーの発症に関して,経皮感作の可能性,経口免疫寛容による耐性誘導の成立などが解明され,根本的に病態のとらえ方を刷新しなければならない状況が見えてきた.積極的にアレルゲンとなる食品を経口的に摂取することで食物アレルギーを予防,あるいは治療できる可能性もあり,アレルゲンとの接触を断つ,と言うアレルギー疾患における指導原則は食物アレルギーに関してはあてはまらないのかも知れない.
  • 望月 博之
    2008 年 22 巻 5 号 p. 745-754
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2009/03/09
    ジャーナル フリー
    気道は外界の刺激に接する機会の多い臓器であり,吸入性のアレルゲンがもたらすアレルギー性炎症だけでなく,大気中の汚染物質や細菌,ウイルス類も,粘膜に傷害をもたらすことが知られている.これらの気道傷害の多くは,気道粘膜上の酸化ストレス反応に起因すると考えられるため,喘息の発症,悪化の病態に酸化ストレスは重要な意義を持つと思われる.一方,気道粘膜は様々な抗酸化因子を有しており,酸化還元反応を介して酸化ストレスに対応し生体の恒常性を保っている.このような制御機構はレドックス(Reduction and Oxidation; Redox)制御と呼ばれるが,喘息患者の気道ではレドックス制御に何らかの破綻が生じている可能性も推測されている.酸化ストレスとレドックス制御の側面から考えれば,喘息の治療に抗酸化薬を加えることは有意義であると思われる.
原著
  • 藤高 道子, 杉原 雄三, 岡畠 宏易, 池田 政憲, 有田 昌彦
    2008 年 22 巻 5 号 p. 755-762
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2009/03/09
    ジャーナル フリー
    広島県における小児科医師の喘息治療の傾向を知るために,2005年6~8月の間,これまで10年間開催された広島小児アレルギー研究会に参加した小児科医師80名にアンケート調査を行った.JPGL2002の認知度は全国調査と同様に高いが参考度は低かった.吸入ステロイド剤(ICS)の早期使用は積極的には支持しない意見が多く,ICS を使用するには副作用情報が最も多く必要とされ,スペーサーの選択基準等の具体的な吸入方法の情報を必要とする意見も多かった.重症度別の長期管理薬は,テオフィリン,LTRA,ツロブテロール貼付剤が全ての重症度で,ICS,DSCG とβ2刺激薬の混合吸入が中等症以上で支持された.ICS の使用優先順位は中等症でも3位と消極的な位置付けであった.自宅での吸入器の発作時使用法は,β2刺激薬を DSCG か生食水と混合して平均4時間毎に1日2回吸入して改善しなければ病院受診,と指導されていた.地域の治療傾向を把握した上で JPGL の啓蒙と意見交換を継続することは,地域の喘息治療の進展に繋がると思われた.
  • 野々田 真, 宮本 新介, 川越 信, 下田 牧子, 渡辺 弘恵, 青木 国輝, 山口 公一, 向山 徳子
    2008 年 22 巻 5 号 p. 763-772
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2009/03/09
    ジャーナル フリー
    乳幼児の気管支喘息児に対し,メッシュ式ネブライザーを用いてブデソニド吸入用懸濁液(budesonide inhalation suspension; BIS)の投与を行い,その有効性と安全性を検討した.BIS 0.25mgを1日1回投与した群12例(最長投与期間:24週間),BIS 0.5mg を1日1回投与した群8例(最長投与期間:12週間)について開始前後の4週間あたりの発作日数,血漿コルチゾール値の変化について検討した.またジェット式ネブライザーで BIS 0.5mg を1日1回投与した18名(最長投与期間:36週間)についても同様の項目について検討した.メッシュ式ネブライザー使用群,ジェット式ネブライザー使用群とも発作日数の有意な減少を認め,血漿コルチゾール値の低下は来たさなかった.メッシュ式ネブライザーもジェット式ネブライザーと同等に使用できる可能性はあるが,メッシュ式ネブライザー使用群の症例数はまだ少なく,有効性及び安全性を評価するために更なる検討が必要と考えられた.
  • 小椋 香苗
    2008 年 22 巻 5 号 p. 773-778
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2009/03/09
    ジャーナル フリー
    《目的》ICS 吸入療法中に維持できていたアドヒアランスが低下した前思春期気管支喘息患児に,その維持と向上に必要であった患者教育について検討した.
    《対象と方法》対象は大阪回生病院小児科通院中で,維持できていた ICS 吸入療法のアドヒアランスが低下した,前思春期中等症持続型気管支喘息児5例である.心理的介入を試み,呼吸機能(%FEV1.0値・%V'50値)を客観的指標としてその臨床効果を検討した.
    《結果》養育者と患児との「共同作業=吸入療法」を継続実施し,患児が養育者の支援継続の保障を実感することが,アドヒアランス向上とその維持に必要であった.臨床症状のみならず呼吸機能も改善し,2年間アドヒアランスは維持できた.
    《結論》前思春期気管支喘息診療において,ICS 療法アドヒアランスを改善また維持するために,養育者と患児の相互関係のひずみを修復する介入と患者教育を必要とする場合があると考えた.
  • 藤塚 麻子, 菅井 和子, 船曳 哲典, 相原 雄幸
    2008 年 22 巻 5 号 p. 779-786
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2009/03/09
    ジャーナル フリー
    【目的】食物アレルギー患者の多くは成長とともに寛解する.不要な除去を続けることは小児や家族にとって大きな負担となる.そこで当院外来通院食物アレルギー患者の経過や日常生活上の問題点を具体的に把握するためアンケート調査を行った.
    【アンケート調査対象・期間】2004年4月以降初診で食物アレルギーと診断し,当院に半年以上定期通院し,除去食を経験したことのある患者の保護者を対象に2006年1~6月に調査を実施した.
    【結果】有効回答は62名中,男47名,女15名.初診時平均月齢16ヶ月.調査時平均月齢30ヶ月.除去食を続ける上での保護者の心配は誤食,栄養に関して多くみられた.卵,牛乳,小麦の解除時平均月齢はそれぞれ28ヶ月,25ヶ月,18ヶ月で,卵除去児での特異的 IgE 値は初診時18.64±3.79から解除時13.58±3.71へと有意に低下した(対数換算1.01±0.09から0.49±0.11,p =3.26×10−5).
    【結論】除去食を続けることは,明らかに保護者の QOL を低下させている.今回の結果より卵,牛乳では2歳すぎ,小麦では1歳半頃に特異的 IgE 値を参考にして除去食の解除を検討する時期と考えた.適切に解除を進め,保護者の QOL を改善させるためには,具体的な栄養指導を含めた教育を行うとともに医師と栄養士,心理士,学校職員との連携がさらに必要と考えられる.
  • 磯崎 淳, 川野 豊, 正田 哲雄, 畠山 淳司, 小川 倫史, 野間 剛, 中村 陽一
    2008 年 22 巻 5 号 p. 787-794
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2009/03/09
    ジャーナル フリー
    気管支喘息において病状を的確に把握し,これに基づいた適切な管理を行うことは重要である.近年,小児用 ACT も開発され,その日本語版も作成された.小児 ACT の有用性を明らかにするため,喘息日誌の記載内容と小児 ACT の相関を検討した.日誌の内容を症状別に点数化し,小児 ACT との比較を行った.また,ピークフロー期待値の低下回数およびβ2 刺激薬吸入の回数と小児 ACT の相関を検討した.小児 ACT は睡眠,発作症状における日誌の記載内容やβ2 刺激薬の頓用の使用回数と相関を認め,臨床実地において有用であると考えられた.しかしながら,ピークフロー値の低下回数においては相関を認めず,日常における自覚されない状態把握は困難であった.小児 ACT は臨床実地上,概ね有用であるが,自覚されない症状を反映しないことに留意する必要がある.
  • 吉原 重美, 市橋 光, 桃井 真里子, 江口 光興, 井原 正博, 菅野 訓子, 平尾 準一, 有阪 治
    2008 年 22 巻 5 号 p. 795-802
    発行日: 2008/12/10
    公開日: 2009/03/09
    ジャーナル フリー
    【目的】栃木県の小児喘息治療の現状(患児の症状,患児および保護者の QOL,等)を知り,今後の治療に役立てる.
    【方法】調査は栃木県内小児科の医院および病院に来院した喘息児および保護者を対象とし,2002年と2006年の同時期に実施した.患児の症状,患児および保護者の QOL を自己記入式アンケートにて調査し,併せて医師より患児の背景および使用薬剤を調査した.
    【結果】2002年,2006年各々1487例,1058例の調査回答を得た.患児の症状では,発作や喘鳴の頻度が2002年と比べて2006年の方が有意に少なかった(p<0.05).また,患児および保護者の QOL も2006年の方が良好であった.両年での使用薬剤は,ICS が28.0%→44.7%,LTRA が53.3%→70.3%と増加していた.
    【結語】喘息児に対する治療として ICS と LTRA による長期管理が行われており,喘息症状および QOL の改善に効果を発揮している可能性が高いことが考えられた.今後,これら長期管理薬による治療の更なる普及が望まれる.
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