日本小児アレルギー学会誌
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23 巻 , 1 号
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第45回日本小児アレルギー学会会長講演
  • 斎藤 博久
    2009 年 23 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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    Watson と Crick によりゲノムの実態としての DNA の構造が明らかにされて以来約50年間でヒトゲノムの DNA 配列が完全に解読された.そして DNA チップ技術など網羅的ゲノム解析手法が登場し,アレルギー疾患発症や病態進行に影響する数多くの疾患感受性遺伝子や新規分子が報告されている.これらの新たな解析手法により,当初期待されたオーダーメイド医療などは未だ実現していないものの,アレルギー疾患の分子病態としての理解は飛躍的に進歩した.これらのゲノム網羅的解析手法を本来期待されているレベルまで生かすためには,十分な臨床情報の蓄積,およびゲノム情報の理解に基づく臨床医による患者へのフィードバックが必要であろう.
第45回日本小児アレルギー学会シンポジウム1 新生児・乳児消化管アレルギーの臨床と病態
  • 野村 伊知郎, 木村 光明
    2009 年 23 巻 1 号 p. 6
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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  • 野上 勝司
    2009 年 23 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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    当院 NICU において経験した新生児・乳児消化管アレルギー16例について臨床的検討をおこなった.RAST による牛乳特異的 IgE 抗体価は全例で陰性であった.腹部膨満の症状が最も多くみられ下痢,血便,嘔吐といった消化器症状のほかに,CRP 上昇,発熱,肝機能障害,呼吸障害と様々であった.人工乳による発症例がほとんどであるが母乳によるものもみられた.診断のための検査のなかではアレルゲン特異的リンパ球増殖試験での陽性率が最も高く有用であると考える.栄養の変更で症状の改善を全例でみとめた.
    早産児および低出生体重児は正期産児と比べ,抗原に対する消化管機能の防御機構の未熟性が強く,感作が成立しやすい環境にあるため,慎重な栄養管理をおこなう必要があると考える.
  • 高増 哲也
    2009 年 23 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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    新生児・乳児消化管アレルギーは,新生児期,および乳児期早期に,主としてミルク摂取後に,血便,嘔吐などの消化器症状を認める疾患群で,英語では Food protein-induced enterocolitis syndrome と呼ばれる.1995年以降,患者数が急増しつつあるといわれている.
    われわれは2001年以来,本症を60例以上経験してきたが,病態・診断・対処法は未だ明確ではない.小児アレルギー専門医としての視点で本症を考察し,今後の展望を述べた.
  • 大塚 宜一, 馬場 洋介, 幾瀬 圭, 山川 陽子, 藤井 徹, 青柳 陽, 東海林 宏道, 工藤 孝広, 鈴木 竜洋, 佐藤 洋明, 清水 ...
    2009 年 23 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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    消化管アレルギーは IgE 依存性,混合性,非依存性の3つに大別されるが,新生児・乳児消化管アレルギーの多くは,混合性もしくは IgE 非依存性と考えられ,細胞性免疫の関与が指摘されている.本疾患群は,好酸球,好中球,抗原特異的T細胞および IgE などが関与し複雑な病態を形成している.特に新生児期は,消化機能,腸管粘膜のバリアー機能が未熟で抗原が侵入しやすい上,新生児期に多く認められる好中球や好酸球血症は,これらが有する proteinase の存在を考慮すると粘膜障害やアレルギー発症因子のひとつと考えられる.新生児一過性好酸球性腸炎(NTEC)の存在にも留意しながら,病態を形成している effector 細胞が消化管のどの部分に分布しているどの細胞であるかを念頭に入れ,個々の病態を検討する必要がある.
  • 木村 光明
    2009 年 23 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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    授乳開始後に嘔吐や血便,下痢などの消化管症状が出現し,牛乳調整粉乳の除去・負荷試験が陽性の乳児では,大半(>95%)が牛乳アレルゲン特異的リンパ球刺激試験(ALST)が陽性である.したがって,本疾患の主要な病態は細胞依存性牛乳アレルギーと考えられる.われわれは,臨床所見と牛乳 ALST 陽性を満たす症例を乳児早期消化管型牛乳アレルギー(ICMA)と定義し,詳細に分析した.ICMA 患者では,カゼインの中ではκ-カゼインに対する反応が最も強く,乳清蛋白の中ではβ-ラクトグロブリンのみならず,α-ラクトアルブミン(ALA)にも強い反応を示すなど,即時型食物アレルギーとは異なる特徴が認められた.ICMA は母乳栄養児にも発生する.その原因を調べるため,ヒトの ALA に対する ALST を測定したところ,一部の患者では強い陽性反応がみられた.現在ヒト ALA に対する強い反応性と ICMA 発症との関係について研究中である.
  • 野村 伊知郎
    2009 年 23 巻 1 号 p. 34-47
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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    新生児-乳児消化管アレルギーは,1995年以降,患者数が急増しつつある.牛乳特異的 IgE 抗体は検出されないことも多く,診断は容易ではない.新生児-乳児アレルギー疾患研究会では,速やかで確実な診断治療の一助となることを願って診断治療指針作成を試みた.http://www.nch.go.jp/imal/FPIES/icho/index.html
    これを掲載するとともに,確定診断の開発,より安全な治療方針の策定を行うために研究を行っており,現時点での結果について述べさせていただく.
第45回日本小児アレルギー学会シンポジウム3 環境因子がアレルギー疾患の発症に及ぼす影響と発症予防の可能性について
  • 松本 健治, 下条 直樹
    2009 年 23 巻 1 号 p. 48
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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  • 川本 美奈子, 大西 秀典, 川本 典生, 森田 秀行, 松井 永子, 金子 英雄, 深尾 敏幸, 寺本 貴英, 笠原 貴美子, 白木 誠, ...
    2009 年 23 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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    乳児栄養法とアレルギー疾患発症との関連を明らかにするために,母乳栄養に焦点をしぼり,アレルギー疾患発症頻度や発症機序について検討した.
    生後6ヶ月時の保護者アンケートによる疫学調査の結果,完全母乳栄養であってもアレルギー疾患を発症している症例を認めた.
    母乳中のサイトカインや食物抗原について検討した.母乳中には TGF-β1,2 が高濃度に存在していた.母乳中に,卵白アルブミン,カゼイン,グリアジンなどの食物抗原が検出された.母乳中のサイトカインや食物抗原が児の抗原感作や免疫寛容誘導に関わっている可能性が示唆された.また,完全母乳栄養であるにも関わらず乳児期にアレルギー疾患を発症する症例では,母乳中の一部の蛋白が内因性にアレルゲンとして作用している可能性が示唆された.
  • 鈴木 修一, 下条 直樹, 有馬 孝恭, 河野 陽一
    2009 年 23 巻 1 号 p. 56-61
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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    乳児アトピー性皮膚炎おける皮膚黄色ブドウ球菌の役割を明らかにするために,われわれは千葉市乳児健診において,全乳児のアトピー性皮膚炎の有無および重症度の診断とともに,頬部皮膚黄色ブドウ球菌の培養を行い,生後4か月より1歳6か月,3歳まで追跡した.4か月および1歳6か月において,黄色ブドウ球菌の皮膚への定着はアトピー性皮膚炎の重症度と関連していた.また,4か月および1歳6か月のアトピー性皮膚炎のない児において,黄色ブドウ球菌の定着は後の発症に関連していた.これらの結果は黄色ブドウ球菌の皮膚定着は乳児におけるアトピー性皮膚炎の重症化だけでなく発症にも関与し,黄色ブドウ球菌の皮膚定着防止が乳児アトピー性皮膚炎発症予防の有力な手段となりうることを示唆している.
  • 鈴木 洋一
    2009 年 23 巻 1 号 p. 62-68
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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    乳幼児期に保育所に通園すると,感染症罹患の機会が増えるが,それがその後のアレルギー感作やアレルギー疾患発症にどう影響するのか結論は出ていない.これまで日本人での調査の報告はほとんど無い.また,通園の効果が遺伝子と相互作用を示すかどうかは明らかになっていない.そこで我々は,日本人小学生を対象に,保育所通園の総・特異 IgE 値への影響と通園と遺伝子多型の相互作用が存在するかを検討した.
    CD14遺伝子の -550C/T 多型の,C/C と C/T+T/T の遺伝子型の児童に分けて,保育所通園の有無での log(総 IgE)値を比較すると,C/C の児童では有意な差が無く,C/T+T/T の児童では,通園歴のある児童で有意に低かった.また IL-4 受容体α(IL4R)遺伝子 Val50Ile 多型の検討で,Val/Val の児童では通園歴の影響は見られず,Val/Ile の児童では通園歴のある児童が有意に低かった.すなわち,これらの遺伝子の遺伝子型の違いは,通園歴の効果に影響を与えていると思われた.通園歴と CD14 -550C/T 多型ないし IL4R Val50Ile 多型の相互作用は,多変量解析の結果でも有意であった.この2つの遺伝子間の相互作用は有意ではなかった.
    保育所通園の小学生の血清 IgE 値への効果は,自然免疫から獲得免疫にわたる複数のメカニズムが関与していると思われた.
  • 松本 健治
    2009 年 23 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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    衛生仮説(Hygiene Hypothesis)とは,乳幼児期のウイルスや endotoxin への曝露が adjuvant として働き,吸入抗原に対する免疫応答を Th1 側に偏向することによって,その後のアレルギー疾患の発症を抑制する現象を指す.一方,弱毒で本来極めて common な上気道感染を引き起こすはずのウイルス(respiratory syncytial virus や rhinovirus)や,弱毒の細菌に対する応答性が障害されている個体では,これらのウイルスによって喘鳴が惹起されたり,細菌の排除が正常に行われない可能性が示唆される.そしてこの様な局所における免疫系の障害された個体が気管支喘息やアトピー性皮膚炎の High-risk グループであることが明らかとなってきている.今後のアレルギーの発症予防ワクチンの開発の戦略や,アレルギー疾患の発症責任遺伝子の検索と共に,こうしたアレルギー疾患内での病型の解析が同時に行われなければならない.
第45回日本小児アレルギー学会シンポジウム6 アレルギー治療薬の小児適正使用に向けて
  • 勝沼 俊雄, 河野 陽一
    2009 年 23 巻 1 号 p. 75
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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  • 寺田 明彦
    2009 年 23 巻 1 号 p. 76-82
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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    治療薬には,乳児・小児への適応や用法用量がない薬剤がある.これをオフラベル(適用外使用薬)と呼んでおり日本に限らず欧米各国でも7-8割の薬剤に及ぶ.小児アレルギー疾患で特に入院を要する喘息重積発作に用いる治療薬の中では,β2刺激薬持続吸入療法,全身ステロイド薬,さらに吸入麻酔などがオフラベル薬として問題となっている.患者にとって有用な治療方法の検証と安全性の確保が医師・医療に一層求められていることを認識することが大切である.
  • 土田 尚
    2009 年 23 巻 1 号 p. 83-90
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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    医薬品の適応外使用問題はアレルギー分野に限らず,世界的な小児領域の問題のひとつとなっている.既に,1990年代から米国や欧州では,それらの解決に向けて,特に法制化を含めた取り組みが進んできた.この,決定的な契機は,米国での AIDS のこどもに対する抗 HIV 薬の必要性から,小児の臨床試験の重要性が強調されたということであったという.
    いずれも基本的には飴と鞭という考え方であって,製薬企業に,小児領域の医薬品開発を義務付けるとともに,従った場合にはインセンティブを与えるという方策である.
    米国では1997年の FDAMA が2002年の BPCA,2003年の PREA に再認され,さらに2007年の FDAAA によってより強化された.
    EU では2007年に Paediatric Regulation が施行された.
    これら方策により,欧米では確実に,小児領域の医薬品開発が促進されている.日本にはこのような,小児の臨床試験を推進していくような法律や規則はまだないが,小児科医が安心して診療に専心でき,こどもに最良の薬物療法が提供できるような,これら活動を進めていくための何らかの方策が必要であることに,もはや説明は不要である.
  • 中村 秀文
    2009 年 23 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
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    医薬品の有効性・安全性の評価には治験・臨床試験の実施が必須である.その信頼性の向上のためにデータマネジメントなどが実施されることが多くなっている.治験が実施されずに成人等で医薬品が承認されると,現場での適応外使用が行われてしまい,これが大きな問題として日本小児科学会もその解決に向けて取り組んできた.日本小児科学会薬事委員会は,「小児科領域における適応外使用解決と治験推進のためのアクションプラン」を作成し,様々な活動を進めている.厚生労働省は「未承認薬使用問題検討会議」と「小児薬物療法検討会議」等で,小児医薬品の早期承認を目指しているが,これは欧米に追い付くための一時しのぎであり,小児治験推進策と治験インフラ整備が進められることが根本的な解決策といえる.「新たな治験活性化5カ年計画」に基づく中核病院・拠点医療機関整備や,医師主導治験の実施等によりインフラ整備に取り組んでいるが,関係学会は各方面と連携し,治験推進策の策定や治験インフラ整備などにさらに取り組んでいく必要があろう.
原著
  • 飯倉 克人, 勝沼 俊雄, 井田 博幸
    2009 年 23 巻 1 号 p. 97-102
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
    ジャーナル 認証あり
    喘息における有用な気道炎症マーカーとされる呼気中一酸化窒素(fraction of exhaled nitric oxide:FeNO)について,喘息発作で入院となった患児7名を対象に,入院時から退院後60日目までを観察期間とし,FeNO値の変動を追跡した.入院時 FeNO 値は,平均13.5ppb(8.4~19.4ppb)であった.治療開始後,平均4.9ppb(2.5~8.1ppb)と著明に減少したが,退院後は除々に上昇傾向が見られた.7名中5名は,退院30日目頃よりプラト-化したが,残り2名は退院後60日目の時点で,入院中の最低値より20ppb以上の上昇を認めた.この上昇の理由として,1名では怠薬,もう1名では不適切な吸入手技が示唆された症例であった.以上より,継続的な FeNO 測定は,気道炎症のモニターのみならず,怠薬・投薬手技の把握においても有用である可能性が示唆された.
  • 谷内江 昭宏, 眞弓 光文, 足立 雄一, 中村 利美
    2009 年 23 巻 1 号 p. 103-112
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
    ジャーナル 認証あり
    2005年に北陸地区における小児気管支喘息治療の現状を評価し,その問題点を把握するための保護者アンケート調査を実施した.アンケートの内容は,患児の年齢,気管支喘息発症年齢,長期管理薬の種類と治療薬に対する理解,発作の状況と生活の質,喘息発作コントロールに対する保護者と医師の評価,アンケート実施による治療内容および症状の改善など,多岐にわたった.専門医受診患者728名と一般医受診患者702名の2群で得られたデータを比較検討した.長期管理薬の使用状況やこれらに対する理解は両群間で差はなく,良好であった.一方で,気管支喘息の発作が必ずしも良好にコントロールされていない,症状の過小評価や治療不十分な例が少なからず見られた.より一層のガイドラインの普及と,長期管理薬やガイドラインを有効に使いこなすための補助的ツールの開発が望まれる.
  • 森川 昭廣, 西間 三馨, 西牟田 敏之
    2009 年 23 巻 1 号 p. 113-122
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
    ジャーナル 認証あり
    目的・方法:小児気管支喘息患者および保護者が抱える問題点を明らかにするため,2005年の喘息患者実態電話調査より,学校や幼稚園での対応や,入院,予定外受診などの頻度,喘息で困っていることを検討した.
    結果:調査対象400人の平均年齢は患者8.4歳,保護者39.1歳であった.最近1年間に予定外受診した患者の67%,欠席した患者の84%が2回以上繰り返していた.5~15歳の患者318名中15%は最近1ヵ月間に学校や幼稚園で運動やレクリエーションに参加できない経験をした.学校や幼稚園に通う患者の保護者369名中91%は教諭に患者が喘息であることを知らせていたが,17%は教諭が喘息患者の扱いを理解していないと感じていた.自由回答では保護者が精神的,身体的,経済的に負担を感じていることが示された.
    考察・結論:小児喘息患者は欠席や運動できないなど活動制限が多く,また保護者は精神的,経済的負担が大きい事が明らかになった.喘息コントロールを良好に保ち,喘息エピソードを繰り返さないことが患者と保護者両方にとって重要である.
  • 岸田 勝, 黒岩 玲, 藤原 順子, 中里 純子, 小田 優子, 中村 浩章, 井上 美沙子, 平井 香, 鈴木 五男, 二瓶 浩一
    2009 年 23 巻 1 号 p. 123-128
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
    ジャーナル 認証あり
    【背景】β2刺激薬の反復吸入についてのわが国での検討は少なく,吸入量や吸入間隔,吸入回数について必ずしも明確ではない.
    【方法】気管支喘息発作にて来院した25例を対象に,5%硫酸サルブタモール吸入液0.3mL(1.5mg)をネブライザー吸入した.SpO2<97%あるいは喘鳴スコアが2以上の症例について,最大3回まで同量,20分間隔で吸入した.
    【結果】吸入後全例でSpO2ならびに喘鳴スコアの十分な臨床的改善が認められ,心拍数には明らかな増減は認められず,振戦,動悸などの訴えもなかった.また,2回目吸入後あるいは3回目吸入後に速やかな改善を認める症例も経験された.
    【結語】β2刺激薬反復吸入は発作増悪に対して大変有効な治療法と考えられた.さらにβ2刺激薬の1回吸入量を従来量よりも増量することで,更なる効果が期待できると思われるが,1回吸入量を増量するよりも反復吸入を行うことで実際的増量を得る方法がより効果的で,かつ安全な方法と考えられる.
  • 西牟田 敏之, 佐藤 一樹, 海老澤 元宏, 藤澤 隆夫, 水内 秀次, 池田 政憲, 小田嶋 博, 久田 直樹, 熊本 俊則, 西間 三馨 ...
    2009 年 23 巻 1 号 p. 129-138
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
    ジャーナル 認証あり
    [目的]小児喘息ガイドラインに基づく治療管理の遂行に役立つ JPAC ならびに C-ACT という2種類の調査票の判定結果を比較し,両者の相関性,互換性を検討した.
    [方法]国立病院機構の8病院に受診している4歳以上,12歳未満の喘息患者とその保護者に対して,外来受診時に C-ACT と JPAC の両方の調査を行い,318例の回答を得た.JPAC 点数と C-ACT 点数の関係を Pearson の積率相関係数により,JPAC と C-ACT の設問項目に対する回答比較はχ2検定により検討した.
    [結果]318例の JPAC 点数と C-ACT 点数の相関係数は0.7525で,p<0.0001 と有意な相関を示した.JPAC と C-ACT の運動誘発喘息,夜間睡眠障害に関する設問の線形連関性は,p<0.0001と有意な相関を示した.
    [結論]両者の関係は,y=1.2544x+6.7672の直線回帰を呈し高い相関性を有することから,C-ACT の26点以上を完全コントロール,20~25点をコントロール良好,20点未満をコントロール不良と設定すれば,JPAC の判定基準と互換性があることが判明した.
  • 秋谷 進, 宮本 幸伸, 木村 光明
    2009 年 23 巻 1 号 p. 139-146
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
    ジャーナル 認証あり
    原因不明の乳児肝炎として経過観察していた症例で,IgE 非依存性牛乳アレルギーと診断した2症例を経験した.IgE 抗体非依存性食物アレルギーは,IgE 抗体が通常陰性であるため食物アレルギーとは気づかれず種々の侵襲的検査を余儀なくされ,診断の遅れのために栄養障害や重症化をきたした報告も多く認められる.現在のところ IgE 抗体非依存性食物アレルギーの診断には評価の一定した検査方法がないが,臨床経過から IgE 抗体非依存性牛乳アレルギーを疑い,食物特異的リンパ球増殖反応検査を用いることで IgE 抗体非依存型牛乳アレルギーと診断した.乳児の慢性肝機能障害を呈する疾患のうち食物アレルギーの可能性を考慮し診察することで,侵襲性の高い検査が回避されることが考えられた.
  • 西間 三馨, 西牟田 敏之, 森川 昭廣
    2009 年 23 巻 1 号 p. 147-160
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2009/06/03
    ジャーナル 認証あり
    小児気管支喘息におけるサルメテロール(以下 SLM)/フルチカゾンプロピオン酸エステル(以下 FP)配合剤(以下 SFC)の有効性,安全性及び利便性について検討した.方法は,SFC 25/50μg(カウンター付き pMDI による1回1吸入,1日2回)と SLM 25μg及び FP 50μg(DPIによる各1回1吸入,1日2回)の併用との4週間投与による2期交叉比較(休薬期間:2週間)及び SFC 25/50μg(カウンター付き pMDI による1回1吸入,1日2回)の20週間投与による延長投与試験とした.
    本試験には51例が組み入れられ,交叉比較期間の有効性解析対象は48例(男:32,女:16),平均年齢8.4歳(5~14歳),喘息の重症度は軽症持続型11例,中等症持続型37例であった.スペーサー(エアロチャンバープラス®)の使用率は89.6%であった.
    その結果,交叉比較期間(投与後1~4週)の朝の Peak expiratory flow(以下PEF)のベースラインからの平均変化量は両群とも有意に増加し[ SFC 群:14.6 L/min(p=0.0030),SLM+FP 群:17.0 L/min(p=0.0003)],SFC(pMDI 製剤)と SLM 及び FP(DPI 製剤)の併用の同等性が示された.また,利便性に関する評価ではSFC は SLM と FP の併用よりも利便性に優れており,SFC のカウンターは吸入確認に有用であることが示された.延長投与期間には50例が移行し,全例が投与を完了した.延長投与期間中は交叉比較期間終了時に認められた PEF の改善が維持され,良好な安全性及び忍容性が示された.[Trial registration: Clinicaltrials.gov Identifier: NCT00448435]
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