【目的】5歳から15歳までの日本人小児気管支喘息患者に対する,ブデソニド・ドライパウダー吸入薬(BUD)の有効性と安全性を,フルチカゾンプロピオン酸エステル・ドライパウダー吸入薬(FP)を参照薬として検討した.
【方法】本試験は無作為化,多施設共同,第III相非盲検臨床試験として実施した.吸入ステロイド薬による治療を必要とし,正常予測値に対する起床時のピークフロー値(%mPEF)の平均が90%未満で,軽症持続型,中等症持続型,又は重症持続型1に当てはまり,タービュヘイラー
®及びディスカス
®が適切に使用できる5歳から15歳までの患者を対象とした.患者はBUD100μg及び200μg1日2回,もしくはFP50μg及び100μg1日2回を6週間吸入した.有効性の主要評価項目は%mPEFの投与開始6週後におけるベースラインからの変化量とした.
【結果】治験薬が投与された244例(BUD群120例)を解析対象とした.%mPEFの投与前後での変化量の平均値は,BUD群で8.0%,FP群で7.0%であり,両群とも有意に改善した.%mPEFの投与前後での変化量の群間差の推定値は0.95%(95%信頼区間:-2.77~4.67)であり有意差は認められなかった.有効性の副次的評価項目で,BUD群は殆どの項目において有意な改善が認められた.有害事象の発現は,BUD群で61例(51%),FP群で60例(48%)であり,発現頻度の高かった事象は,上気道感染,インフルエンザ,及び胃腸炎であった.副作用は,BUD群の軽度の発声障害1例のみであった.重篤な有害事象の発現例数及び有害事象による中止例数において両群に明らかな差は認められず,その他の安全性評価項目の結果から安全性の懸念は示唆されなかった.
【結論】ブデソニド・ドライパウダー吸入薬100μg及び200μg1日2回の6週間投与は,吸入ステロイド薬による治療を必要とする5歳から15歳までの日本人小児気管支喘息患者に有効であり,安全性も良好であった.
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