日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
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26 巻, 2 号
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原著
  • 杉山 剛, 斎藤 圭一, 齋藤 翔, 杉田 完爾
    2012 年26 巻2 号 p. 251-257
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/08
    ジャーナル 認証あり
    症例は12歳女児.7歳頃からアレルギー性鼻炎あり,10歳頃より生のナシ,モモ,サクランボ,イチゴ,リンゴ,スモモ摂取時に口腔咽頭の掻痒感を認め,11歳時に口腔アレルギー症候群(OAS)疑いとして当科に紹介された.OAS症状は一時的で軽微であり,第二世代抗ヒスタミン薬の頓用で外来経過観察していた.12歳時に冷奴,枝豆,ナムル,豆乳などの加熱食品摂取時にも同様の症状が出現し,精査目的で当科に入院した.CAP-FEIA検査ではシラカンバ花粉,モモ,リンゴ,イチゴの特異IgE抗体陽性で,大豆特異IgE抗体は陰性であった.経口負荷試験では,もやし,非加熱豆腐,豆乳が陽性であったが,軽度の咽頭掻痒感以外に多覚所見に乏しく確定診断に至らなかった.Component-resolved diagnostics(CRD)を用いたアレルゲンコンポーネント解析を行ったところ,植物の生体防御タンパクであるPathogenesis related protein(PR)10ホモログに属する,Bet v1(シラカンバ花粉),Pru p1(モモ),Gly m4(大豆)のみが陽性であった.既存のアレルギー検査法では確定診断に至らなかったがCRDを用いることでシラカンバ花粉と,大豆の交差反応によるPFASと診断しえた.
  • 伊藤 靖典, 足立 陽子, 樋口 収, 岡部 美恵, 板澤 寿子, 足立 雄一, 宮脇 利男
    2012 年26 巻2 号 p. 258-265
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/08
    ジャーナル 認証あり
    【目的】気道炎症の指標となる呼気一酸化窒素(FeNO)が,小児喘息の長期管理におけるステップダウン(SD)後の増悪予想に有用であるかを検討した.
    【方法】定期通院中の喘息児のうち,臨床症状の安定後にSDした児43名(5~11歳)のSD前,SD時,SD後における小児喘息コントロールテスト(C-ACT),ピークフロー(PEF),FeNOを測定し,症状の変化との関係を解析した.
    【結果】43名中12名でSD後に症状の増悪を認めた.C-ACT値と%PEFは,増悪群ならびに非増悪群においてSD前後での有意な変動を認めなかったが,FeNOは増悪群においてSD前の値に比してSD時に有意に上昇していた(変化率:増悪群81.4±107% vs. 非増悪群-4.9±33%,p=0.015).
    【結語】臨床症状が安定している時であっても,FeNOが上昇傾向にある時にステップダウンすると,その後にコントロール状態が悪化する可能性が高いことが示唆された.
  • 飯尾 美沙, 大矢 幸弘, 濱口 真奈, 竹中 晃二
    2012 年26 巻2 号 p. 266-276
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/08
    ジャーナル 認証あり
    セルフ・エフィカシー(SE)は行動変容を予測する重要な概念で,SEを査定する尺度は,その目的に応じて他方面で適用されている.しかしわが国においては小児喘息に特化したSE尺度が存在しないことから,本稿では喘息の長期管理に対する患児用SE尺度(CASES)を作成し,その信頼性および妥当性を検討した.
    尺度原案は,既存の尺度項目および先行研究を参考に作成し,また患児の発達段階等を考慮して22の項目内容を選出した.外来通院している満10歳から18歳以下の持続型喘息患児133名を対象に,病院において質問紙調査を行った(有効回答数94名).
    作成した尺度原案について探索的因子分析を行った結果,CASESの因子構造は6項目2因子構造が証明された.尺度の信頼性はα=.75以上を有し,折半法では,r=.73と良好な値が得られた.共分散構造分析による妥当性の検討では,患児の喘息管理SEは,喘息管理負担感およびコントロール状況に影響しており,本尺度の信頼性と妥当性の一部が確認された.
    CASESは臨床現場において簡便に使用でき,患児が長期管理を継続するうえで重要なSEを評価するのに有用であることが示唆された.
ガイドライン解説
小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012
食物アレルギー診療ガイドライン2012
  • 宇理須 厚雄
    2012 年26 巻2 号 p. 290-294
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/08
    ジャーナル 認証あり
    2011年10月に日本小児アレルギー学会から食物アレルギー診療ガイドライン2012が発刊された.この中で食物アレルギーの定義は「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が惹起される現象」と変更された.これは食物アレルギー診療ガイドライン2005では「原因食物を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状(皮膚・粘膜・消化器・呼吸器・アナフィラキシー反応など)が惹起される現象」と経口摂取によって惹起される場合を食物アレルギーと限定したのに対して,JPGFA2012では生体へのいずれの侵入経路でもよいとした.これは,NIHから出版されたFood allergyガイドラインの「An adverse health effect arising from a specific immune response that occurs reproducibly on exposure to a given food.」という定義や石鹸中加水分解小麦による食物アレルギー事例の報告が契機となった.つまり,食物アレルギーは食物によって惹起されるアレルギーとまとめるとわかりやすい.昆虫アレルギーや金属アレルギーなどが原因で分類したアレルギーであるのと同様の扱いである.
  • 今井 孝成, 海老澤 元宏
    2012 年26 巻2 号 p. 295-297
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/08
    ジャーナル 認証あり
疫学委員会報告
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