セルフ・エフィカシー(SE)は行動変容を予測する重要な概念で,SEを査定する尺度は,その目的に応じて他方面で適用されている.しかしわが国においては小児喘息に特化したSE尺度が存在しないことから,本稿では喘息の長期管理に対する患児用SE尺度(CASES)を作成し,その信頼性および妥当性を検討した.
尺度原案は,既存の尺度項目および先行研究を参考に作成し,また患児の発達段階等を考慮して22の項目内容を選出した.外来通院している満10歳から18歳以下の持続型喘息患児133名を対象に,病院において質問紙調査を行った(有効回答数94名).
作成した尺度原案について探索的因子分析を行った結果,CASESの因子構造は6項目2因子構造が証明された.尺度の信頼性はα=.75以上を有し,折半法では,r=.73と良好な値が得られた.共分散構造分析による妥当性の検討では,患児の喘息管理SEは,喘息管理負担感およびコントロール状況に影響しており,本尺度の信頼性と妥当性の一部が確認された.
CASESは臨床現場において簡便に使用でき,患児が長期管理を継続するうえで重要なSEを評価するのに有用であることが示唆された.
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