日本小児アレルギー学会誌
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26 巻 , 4 号
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原著
  • 楳村 春江, 漢人 直之, 和泉 秀彦, 加藤 基, 伊藤 浩明
    2012 年 26 巻 4 号 p. 589-598
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル 認証あり
    食物アレルギー児に対する給食対応の実態について,患者の視点から調査した報告は少ない.本研究では,平成22年8~9月に,食物アレルギー児の保護者に対して給食対応に関する聞き取り調査を行った.対象者は当科での診断と指導のもとに鶏卵・牛乳・小麦のいずれか1つ以上をほぼ完全に除去している183名.全員が愛知県下で給食のある幼稚園(46名),保育園(51名),小学校(86名)に在籍している.
    保育園児は35%(18名)が代替調理,88%(45名)が除去食対応(複数回答)を受けており,一部弁当持参を全く必要としない児が61%(31名)であった.幼稚園児は,ほぼ完全な給食対応と,ほとんど毎日弁当持参の児が半々であった.小学生で弁当持参が全く必要ない児は14%(12名)のみで,特に複数食品や小麦の除去と,センター方式の学校で弁当持参が多い傾向であった.
    愛知県における食物アレルギー児に対する対応はまだ十分なものではなく,先進的に取り組んでいる地域との比較などを通して,より積極的な対応を促していく社会的な啓発が求められる.
  • 細野 恵子
    2012 年 26 巻 4 号 p. 599-611
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル 認証あり
    気管支喘息と診断され通院する北海道在住の小児と保護者を対象に,喘息コントロール状態をJPACで評価し自己管理との関連を分析し看護支援の課題を明らかにする目的で,自作の自記式質問紙調査を2010年2~4月に実施した.有効回答403部を分析した結果,「完全コントロール群」24.8%,「コントロール良好群」38.5%,「コントロール不良群」36.7%であった.喘息管理では,薬の飲み忘れ5割,保護者の喫煙6割,ペットの飼育2割,PEFの使用2割弱であった.保護者の認識は,子どもの重症度に対し9割が「軽症」と捉え,予後は「必ず治る」・「軽快する」が8割以上を占めた.今後は客観的指標の活用を動機づけ,主体的な健康管理に取り組むための基盤づくりが課題と思われる.
  • 清益 功浩, 大塚 晨, 河原 信吾, 櫻井 嘉彦, 柴田 優, 南部 光彦, 新家 興, 村上 義樹
    2012 年 26 巻 4 号 p. 612-621
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル 認証あり
    我々は奈良県で,小児気管支喘息患者の治療についてのアンケート調査を行った.2005年,2007年に使用したアンケート調査と同様の模擬症例を提示し,治療内容を調査した.奈良県下の小児科標榜の医療機関の医師にアンケート用紙を送付し,回収した.有効回答者数は86人であった.所属学会では(重複有り),日本アレルギー学会22%,日本小児アレルギー学会26%,日本小児科学会67%,日本内科学会22%であった.模擬症例1は,過去3ヵ月間に3回喘鳴の既往のあるアトピー型乳児喘息である.長期管理薬の選択として,ロイコトリエン受容体拮抗薬(74%)が最も多く,次いで,抗アレルギー薬(26%)であった.2007年の調査との有意な変化はなかった.DSCG定期吸入でのβ2刺激薬の併用は6%であり,2005年の調査時の40%に比べ有意に減少した.模擬症例2は,幼児期のアトピー型気管支喘息である.テオフィリン徐放製剤のRTC療法とケトチフェンを内服するも喘息発作が出現して来院,これまでも月に1回以上,週に1回未満の咳嗽がみられていた.長期管理薬の選択として,吸入ステロイド薬(64%)が最も多く,次いで,ロイコトリエン受容体拮抗薬(57%)であった.ロイコトリエン受容体拮抗薬の選択は2007年の調査に比べ有意に増加した.DSCG定期吸入でのβ2刺激薬の併用は22%であり,2007年の63%に比し,有意に減少した.今回の模擬症例での治療薬の選択では,DSCG定期吸入時のβ2刺激薬の併用の減少と,ロイコトリエン受容体拮抗薬の増加が明らかとなった.
  • 櫻井 嘉彦, 高塚 英雄, 佃 宗紀
    2012 年 26 巻 4 号 p. 622-628
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル 認証あり
    1歳7か月の男児.栄養不良を伴うくる病を疑われ当科へ紹介された.4か月時に近医皮膚科で食物アレルギーと診断され,母の食事から卵,牛乳および小麦を除去していた.児についても離乳食開始後これらの食品を除去していたが,1歳頃から魚肉摂取後に蕁麻疹がみられるようになり,さらに特異的IgE抗体が確認されたため,魚肉も制限された.当科初診時の下肢単純X線写真では明らかなくる病性の変化を認めず,血清カルシウムおよびリン値は基準値内であったが,ALPおよびPTHの高値を認めた.1歳8か月時に突然,走能力が低下し,25(OH)Dの低値も明らかになったためビタミンD欠乏性くる病と診断した.児の日光浴時間は確保されていたが食物制限は魚肉にも及んでおり,ビタミンD欠乏は母乳栄養を背景とした食物制限によるものと思われた.乳幼児において,魚肉はビタミンDの主要供給源であり,食物アレルギーによる魚肉制限を行う場合にはビタミンD欠乏およびくる病の発症に留意する必要が示唆された.
報告
ガイドライン解説
小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012
  • 荒川 浩一
    2012 年 26 巻 4 号 p. 633-639
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル 認証あり
    近年の喘息に対する薬物療法の進歩は著しく,薬剤の適切な使用は患者の症状のコントロールやQOLの改善に大きく寄与している.ただ,往々にして薬物療法にのみ目が向いてしまい,環境調整等の指導が忘れがちになっている感がある.特に,吸入ステロイドが普及してから,その印象が強い.喘息の増悪に関わる室内塵ダニを含めた吸入アレルゲンや非特異的因子(タバコの煙,その他の大気汚染)の暴露からの回避を怠ることは,喘息の重症化あるいは難治化をもたらす.また,良好なコントロールを得るために必要以上の薬物療法を要することにもつながる.小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012における長期管理の基本的な考え方は,薬物療法のみで構成されるものではなく,環境整備や教育活動と一体で進めるべきであると記載している.第4章では,「危険因子とその予防」として喘息の発症・増悪因子について解説し,その予防に向けた提言がなされている.
  • 藤澤 隆夫
    2012 年 26 巻 4 号 p. 640-645
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル 認証あり
    喘息の治療選択は症状にもとづいて行なわれることが多いが,呼吸機能など客観的指標を取り入れて,より質の高い診療をめざしたい.それぞれの検査が病態の中でどのような側面を評価しているのかを考えながら,症状とあわせて総合的に判断する.なかでも,スパイロメトリーは基本となる検査であり,喘息の診断,重症度の判定,経過のモニタリングに有用である.ピークフローモニタリングは臨床経過を経時的に評価するために有用であり,患者自身が測定,記録をすることを通して,治療への主体的な参加を促していくことができる.新しい客観指標として,気道炎症のマーカーである呼気NO,気道抵抗を気道の部位別に評価可能な強制オッシレーション法が注目されている.
  • 亀田 誠
    2012 年 26 巻 4 号 p. 646-651
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル 認証あり
    小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012における急性発作への対応について概説した.今回の改訂では(1)家庭でも早期から適切な治療を行えること,(2)医療機関での対応をより具体的な記載とすること,(3)適切に長期管理に移行するために必要な教育・指導内容がわかることを心掛けた.(1)に関して,家庭での対応において,「強い喘息発作のサイン」を明記し,患者・家族でも理解しやすいようにした.(2)については第一に酸素投与の必要性を判断すること,各薬剤の位置づけや使用法の明記,さらに強度発作以上ではSpO2だけではなく動脈血ガス分析を行う重要性をより強調した.(3)に関しては具体的に指導すべき内容を列挙し,漏れのない指導に役立つようにした.
食物アレルギー診療ガイドライン2012
  • 大嶋 勇成, 眞弓 光文
    2012 年 26 巻 4 号 p. 652-658
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル 認証あり
  • 金子 英雄
    2012 年 26 巻 4 号 p. 659-663
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル 認証あり
    食物アレルギーの多くは加齢に伴い耐性獲得される.早期に耐性が獲得されるかは,食物アレルゲンの種類,他の食物アレルギー合併の有無,他のアレルギー疾患の有無,特異的IgE抗体の量によって,影響される.
    一般的に,鶏卵,牛乳,大豆アレルギーは耐性獲得しやすく,そば,ピーナッツ,ナッツ類,甲殻類,魚類は耐性獲得しにくい.複数の食物アレルギーを有する場合,他のアレルギー疾患を有する場合,アナフィラキシーの既往がある場合は耐性獲得しにくい.ピーク時の特異的IgE抗体が高値の場合も耐性を獲得しにくいといった傾向がある.一旦,耐性が獲得されたあとも,再発することがある.今後,耐性獲得,再発を含めた自然経過に関する大規模な調査研究が実施され,耐性獲得に関する精度の高い指標が確立されることが期待される.
日韓招待講演報告
疫学委員会報告
  • 松井 猛彦, 赤坂 徹, 赤澤 晃, 池田 政憲, 伊藤 節子, 海老澤 元宏, 小田嶋 博, 坂本 龍雄, 末廣 豊, 西間 三馨, 鳥居 ...
    2012 年 26 巻 4 号 p. 669-673
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル 認証あり
    小児の難治性喘息の頻度を知る目的で,2005年に引き続き,2011年1月に全国調査を行った.有効な回答を得たのは,難治性喘息頻度が321病院,491診療所,重症度分布は302病院,473診療所であった.難治性喘息の頻度は,狭義の難治性喘息の定義である経口ステロイド依存性の患児は病院0.07%,診療所0.06%,通常使用量を超える吸入ステロイド薬が必要であった症例は病院1.65%,診療所0.80%,しばしば発作入院し,そのたび毎に静脈内ステロイド投与(プレドニゾロン換算5 mg/kg/日以上)が必要であったのは,病院0.45%,診療所0.56%で,広義の難治性喘息は,病院2.16%,診療所1.41%であった.
    難治性喘息の定義は時代とともに変遷を重ねており,その経緯について,明らかにした.
    経口ステロイド薬依存性の難治性喘息は激減し,病院の難治性喘息は1994年より2005年は減少し,2011年は2005年とほぼ同率であった.一方,診療所の難治性喘息は,2005年は1994年より減少したが,2011年は2005年より増加して1994年とほぼ同率であった.また,ステロイド薬による難治性喘息の定義に該当しない重症の喘息は,1994年に比べ2005年以降は激減し,発作コントロールの改善が顕著であった.
重症心身障害児(者)気管支喘息診療ガイドライン作成WG報告
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