日本小児アレルギー学会誌
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27 巻 , 5 号
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総説
  • 善本 知広
    2013 年 27 巻 5 号 p. 665-673
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/02
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    我々は,アレルギー反応にはIgE抗体依存の「獲得型アレルギー」とIgE抗体非依存性の「自然型アレルギー」があり,IL-18とIL-33は「自然型アレルギー」の誘導因子であることを提唱した.特に,IL-33は自然型(好塩基球,マスト細胞,あるいは2型自然リンパ球)と獲得型(Th2細胞)アレルギーに関連する様々な細胞を刺激する結果,生体内で好酸球性炎症を誘導する.従って,IL-33は「自然型アレルギー」と「獲得型アレルギー」に不可欠な調節因子であり,自然型と獲得型のアレルギー疾患双方に対する治療標的として期待される.
  • 野村 伊知郎
    2013 年 27 巻 5 号 p. 674-683
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/02
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    新生児・乳児消化管アレルギーは,1990年代後半から急激にその報告数が増加してきた.生命にかかわる重症者も少なくないことから,早期の診断治療が求められている.消化管における非即時型アレルギーがその本態であるが,欧米の同グループに属する疾患概念に当てはまらないため,診断に困難をきたすことも多い.このため,一旦,新生児・乳児消化管アレルギーという診断をつけておいて,時期を失することなく診断的治療を行うことが推奨される.本症は,初期症状から4つのクラスター,すなわち,嘔吐と血便を見るクラスター1,嘔吐が主症状のクラスター2,どちらもないが,体重増加不良や難治下痢,低蛋白血症を見るクラスター3,血便が主徴のクラスター4に分かれる.本稿では,この4つのクラスターごとの特徴を明らかにしながら,無駄のない診断治療,そして負荷試験の方法について述べたいと思う.
原著
  • 安井 正宏, 日野 明日香, 前田 徹, 小林 貴江, 羽根田 泰宏, 漢人 直之, 伊藤 浩明
    2013 年 27 巻 5 号 p. 684-691
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/02
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    アナフィラキシーショックにおける治療の第一選択薬はアドレナリン筋肉注射であり,アドレナリン自己注射器として日本ではエピペン®が発売されている.今回,当科で2005年8月から2011年2月までに同薬を処方した117例(延べ211本)について,診療録の後方視的調査とアンケート調査を行った.初回処方年齢は2.5歳から27.8歳(中央値7.0歳)で,処方理由となった食物アレルゲン(複数回答あり)は,鶏卵(56名),牛乳(55名)の順に多かった.使用例は6例(5.1%)で,4例はプレホスピタルケアとして使用されたが,2例は病院受診後の使用であった.また,学校で床に落として発射された事故を1件認めた.保護者と12歳以上の本人に対するアンケート結果より,アドレナリン自己注射器の使用判断が難しいこと,自宅での反復練習をする患者が少ないことが示された.また,半数近い保護者は,園・学校にエピペン®使用を含む対応マニュアルがあるかどうかを把握していなかった.今回の調査より,自己注射器処方時の患者教育だけでなく,継続的な指導の重要性が示唆された.
  • 小林 貴江, 漢人 直之, 羽根田 泰宏, 安井 正宏, 前田 徹, 日野 明日香, 楳村 春江, 小田 奈穂, 伊藤 浩明
    2013 年 27 巻 5 号 p. 692-700
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/02
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    【はじめに】鶏卵アレルギー児に対して,「食べられる範囲」を確認しながら除去解除を進める食事指導の方法を検討した.本稿では,筆者らが第1報で報告した食物経口負荷試験の結果に基づく定量的なアレルゲン摂取開始に引き続いて,摂取量を次第に増量する食事指導を行った児における,1年後の摂取状況について検討した.
    【方法】卵白負荷試験陽性で,第1報で報告した基準により卵白2 g以上の摂取を開始した40人(月齢中央値35.5か月)を対象とした.食事日誌の記載を基に,5~10回症状なく摂取できれば約20%の増量を指導し,1年後に到達した摂取量を確認した.コントロール群として,本研究開始前に卵白経口負荷試験を行って対象者と同等の摂取開始量が見込まれた40人を,後方視的に検討した.
    【結果】1年後に鶏卵1/2個以上を摂取できた患児は63%で,コントロール群15%より有意(p<0.01)に多かった.逆に,鶏卵1/20個以下に留まっていた患児は,対象者では1人(3%),コントロール群22人(55%)であった.
    【まとめ】『食べられる範囲』を明確にした食事指導は,鶏卵の除去解除を促進する上で有効であった.
  • 小田 奈穂, 楳村 春江, 小林 貴江, 漢人 直之, 伊藤 浩明
    2013 年 27 巻 5 号 p. 701-709
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/02
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    【目的】牛乳アレルギー児に対して,「食べられる範囲」を確認しながら除去解除を進める食事指導法について検討した.【方法】牛乳経口負荷試験陽性者の中で,閾値量と誘発症状の重症度に基づく摂取開始量基準によって,2 ml以上の摂取開始に該当した31人(月齢中央値45.0か月)を対象とした.食事日誌の記載を基に,5~10回症状なく摂取できれば10~20%の増量を指導し,1年後の到達量を確認した.コントロール群として,本研究前に牛乳経口負荷試験を行って対象者と同等の摂取開始量が見込まれた31人を,後方視的に検討した.【結果】対象者は自宅で重篤な症状を起こすことなく牛乳摂取を進めることができ,1年後に11人(35.5%)が牛乳50 ml以上の摂取量に到達した.牛乳5 ml以下の摂取に留まっていた者は1人のみで,コントロール群(8人)と比較して有意に少なかった(p<0.05).【結語】『食べられる範囲』を明確にした食事指導は,摂取許容量の少ない時期を安全に乗り越えていく点で有効であった.
  • 楳村 春江, 小田 奈穂, 小林 貴江, 漢人 直之, 和泉 秀彦, 伊藤 浩明
    2013 年 27 巻 5 号 p. 710-720
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/02
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    【目的】小麦アレルギー患児に対して,経口負荷試験の結果に基づく定量的な除去解除指導について検討した.【方法】2010年9月~2011年7月に当科でうどん経口負荷試験を実施し,閾値量と症状の重症度に基いて,うどん2 g以上の摂取開始基準を満たした35人(月齢中央値24か月)を対象とした.うどんやパスタなどを計量して摂取し,安全性が確認されたら1.1~1.2倍ずつ増量した.他の小麦製品や調理法は,含有する小麦タンパク質量を換算して摂取許容量を指導した.1年後の摂取到達量を,この食事指導を開始する前のコントロール群37名と比較検討した.【結果】経過中の誘発症状は口周囲の違和感や発赤などの軽微なもののみであった.1年後摂取到達量は,中央値で80 gであり,コントロール群(中央値30 g)と比較しても有意に多かった.しかし,うどんのみを定量的に食べている症例や,小麦含有量の少ない菓子類だけを換算して食べている症例もあった.【結論】今回の食事指導は,小麦除去の解除を安全に効率よく進める上で有効であった.一方,日常の食生活にアレルゲン食品を導入していくために,より詳細な指導が必要な患児も見られた.
短報
  • 柳田 紀之, 箕浦 貴則
    2013 年 27 巻 5 号 p. 721-724
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/04/02
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    【目的】不適切な多品目の食物除去が身長に及ぼす影響を明らかにする.
    【対象・方法】2011年3月までに仙台医療センターを受診しアレルギー専門医に1年以上の通院歴がある119名および一律的多品目の食物除去を指示する小児科に1年以上の通院歴がある34名を対象に初診時の食物除去品目数と身長,体重を前医別に後方視的に検討した.
    【結果】対象の年齢の中央値は5.4歳で,男女比は2.1であった.それぞれ初診時の除去品目数は4.0品目,6.5品目で,初診時の身長は-0.21SD,-0.65SDあった.一律的多品目の食物除去を指導されていた場合,除去品目数が有意(p<0.001)に多く,身長が有意(p=0.04)に低かった.アレルギー合併症等の背景に差はなく,初回食物経口負荷試験後の除去品目数はそれぞれ3.1品目,3.0品目で差はなかった.
    【結論】一律的多品目の食物除去指導により低身長を来す可能性が示唆された.多品目の食物除去が行われている場合はアレルギー専門医への紹介が望ましい.
ガイドライン解説
小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012
食物アレルギー診療ガイドライン2012
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