日本小児アレルギー学会誌
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29 巻 , 1 号
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第51回日本小児アレルギー学会 会長企画 Presidential Plenary(会長講演)
第51回日本小児アレルギー学会 会長企画 Presidential Plenary
シンポジウム1 患者によりそうサイエンス
  • 二村 昌樹
    2015 年 29 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
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    臨床研究はそもそも患者のために行われるものである.研究者は,自らの興味だけではなく医療で必要とされていることに関する研究を行うべきである.診療を通じて結果を還元する医療者は,エビデンスに基づいた医療を行うためにできる限り多くの情報を知る必要があり,さらにはそれを踏まえて対峙する患者に最善の治療法を提供する必要がある.しかし研究の恩恵を被るべき患者には,臨床研究の結果を直接的に得る機会がほとんどない.研究者が研究成果を伝える医学論文は患者などの一般国民が理解しがたい専門用語で記載されている.今後はコクランレビューのように非専門用語による要旨をつけるといった患者への直接還元を念頭に置いた科学雑誌の動向に注目したい.そして患者自身も臨床研究の計画に関与するようになることが期待される.
  • 長尾 みづほ
    2015 年 29 巻 1 号 p. 18-21
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
    ジャーナル 認証あり
    インフルエンザワクチン接種後のアナフィラキシーという比較的稀な症例を通して,疑問を持ち,臨床研究に結びついていった経験から考える.きっかけは数例の患者との出会いであったが,精査していく内に全国からの症例を集積する機会を得た.原因究明の過程で,鶏卵アレルギーの児へのインフルエンザワクチン接種に関するこれまでの考え方を見直すことができ,鶏卵ではなくインフルエンザのHA抗原そのものに注目すべきことが明らかになった.周囲の環境に恵まれた点も大きいが,日常診療の疑問を思い込みにとらわれず,患者とともに考えていく姿勢が,患者によりそう臨床研究につながっていく.
  • 飯尾 美沙
    2015 年 29 巻 1 号 p. 22
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
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  • 加藤 善一郎
    2015 年 29 巻 1 号 p. 23-33
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
    ジャーナル 認証あり
    「患者によりそうサイエンス」というテーマを考えるうえで,それがどのようなサイエンスであるか,そのサイエンスがどこまで確立・成熟されてきているかを考慮することが重要である.我々が患者さんと接する医療の現場においては,すでに以前より長い歴史を持って応用されてきている科学技術の成果があり,その直接的影響がすでに隠れて見えないぐらいに浸透している技術分野もある一方で,新しい技術が開発されたことにより,今まさに大きく変化している応用領域も存在している.アレルギー・免疫分野においても,すでに多くの科学技術が応用され,日常診療に利用されているが,診断領域・病態解析領域のみならず,治療薬開発,患者サービスに至るまでの多くの分野での応用開発が進んでおり,患者さんの日々の診療に,よりそう形での利用が可能となってきている.しかしながら,日々の臨床現場での患者さんのサポートを行うことを実行に移そうとした場合,すでに十分に解明・確立されている領域はまだ少なく,稀少難治疾患のみならず,コモンディジーズにおいても,未だ十分解決されていない問題に取り組む必要に迫られていることに気づく.このような問題に取り組み,問題を解決しようとする場合には,従来の既に確立された科学技術を応用するだけでは十分ではなく,いままでにない最先端科学技術に踏み込んでアプローチする必要に迫られることも多い.例えば,昨今の遺伝子医学の進展に伴い,病態と関連した遺伝子変異などが多く明らかになってきているが,遺伝子解析が進みそのDNAの変異が明らかになっても,その変異の意義が十分に解明できないことも少なくなく,臨床現場での患者さんに役立つ診療を展開することは困難である.我々は,これまでタンパク等における原子レベルでの立体構造解析を行ってきており,サイトカイン制御を目指したインターロイキン活性化メカニズム解析・治療薬探索や,免疫異常症への治療戦略としてのペプチド療法へ向けた構造解析と先端技術の開発などを進めてきている.このような先端技術の臨床への応用という課題においては,高度な技術利用自体における問題点も多くあるが,一方では,その成果をいかに浸透させていくかという面でも多くの課題を抱えているのが現状である.現在,当たり前のように使用されている,サイトカイン測定や遺伝子解析についても,かつては臨床現場とは遠く離れたように見えた最先端科学がつないできた結果であることを再考することが重要である.これまでの研究の一部を紹介し,各医師におけるサイエンスの役割,サイエンスと臨床現場をつなぐ上での役割などについて考える.
シンポジウム3 食物アレルギー克服の未来
  • 丸山 伸之
    2015 年 29 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
    ジャーナル 認証あり
    臨床診断のゴールデンスタンダードは食物経口負荷試験であるが,負荷試験はアナフィラキシーなどの危険を伴うため,安全な検査によって負荷試験を行う患者をできるかぎり選別することが望まれている.しかし,粗抗原に対する特異的IgE抗体価での検査では,臨床的感度は高いものの,特異度が低いことが問題であり,診断効率は高くないことが多い.粗抗原に含まれる個々のアレルゲン(アレルゲンコンポーネント)の中には,その特異的IgE抗体価が臨床症状と相関するものが見出されている.本稿では,植物の種子のアレルゲンコンポーネントについて概説するとともに,負荷試験を行った検体を用いた解析から明らかになってきた診断に有効なコンポーネントについて紹介したい.
  • 岡田 悠, 柳田 紀之, 佐藤 さくら, 海老澤 元宏
    2015 年 29 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
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    食物アレルギーの管理として,安全な範囲で少量を摂取する試みが行われてきた.しかし,少量摂取によって耐性獲得が誘導されるかについては明らかとなっていない.本稿では,当科での研究をもとに微量早期摂取による耐性促進効果について論じていく.1) 卵黄つなぎの早期導入:卵黄つなぎの摂取を0-1歳で開始すると,2-3歳で開始する児と比べて,5歳時点での加熱全卵1個の耐性獲得率が高かった.2) 牛乳・小麦の微量導入:微量負荷試験陰性1年後,牛乳約1割,小麦約3割の児が,耐性獲得した.3) 少量導入療法:微量負荷試験陽性症例に対して,少量を維持量とした経口免疫療法を行った.少量導入療法開始1年後,牛乳約3割,鶏卵約5割,ピーナッツ約10割の児が中等量耐性獲得となった.小麦は,約6割の児が少量耐性獲得となった.当科での研究から,どの年齢においても完全除去を回避する戦略により耐性獲得が促進される可能性が示唆された.しかし,自然寛解と比較してどうなのかを今後前向き試験によって検討をしていく必要がある.
  • 中島 陽一, 近藤 康人, 大高 早希, 森 雄司, 田中 健一, 山脇 一夫, 犬尾 千聡, 平田 典子, 鈴木 聖子, 柘植 郁哉, 中 ...
    2015 年 29 巻 1 号 p. 48
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
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  • 岡田 直貴
    2015 年 29 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
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    近年,自然寛解しない小児食物アレルギーが増加している.これらの患児と家族は連日の除去食という不自由に加え,微量の誤摂取によるアナフィラキシー誘発の恐怖と危険を常に抱えており,毎日の生活において多大な疾病負担を強いられる.根本的治療法の確立はまさに切望されているところであり,アレルギー医療分野でも最優先課題といえる.そこで筆者らは,経皮ワクチン(貼るワクチン)の開発研究で培ってきた経皮抗原デリバリー技術を活用することで,ニーズの高い牛乳と鶏卵アレルギーに対する経皮免疫療法の確立と奏効機序の解明に取り組んでいる.本稿では,まず筆者らが独自に開発した経皮抗原送達デバイス(親水性ゲルパッチ)の特徴・性能について概説し,それを応用したアレルゲン経皮免疫療法の可能性・将来性について紹介する.
シンポジウム5 古くて新しい聴診―基礎から最新の肺音研究―
  • 高瀬 真人
    2015 年 29 巻 1 号 p. 54-57
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
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    肺聴診は特に小児呼吸器疾患の診察において極めて重要な医療技術である.小児科医は,聴診所見を標準的な用語で正確に記録できなければならないし,小児の肺聴診を最大限に活用するにはさまざまなコツがある.しかし,近年では肺聴診を公式に学ぶ機会は意外に少ない.肺音に関するシンポジウムに際して,近年可能となったデジタルビデオを用いた聴診教育の有用性を紹介するため,実際の患者から記録されたビデオ画像を供覧し,小児における肺聴診の基本と活用法について述べた.
  • 和田 成生, Gabriel Pramudita Saputra, 杉谷 和哉, 伊井 仁志, 土生川 千珠
    2015 年 29 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
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    聴診は呼吸器系の異常を非侵襲的に発見する最も有効かつ簡便な手段であり,最近では計測された呼吸音の定量的な周波数特性に基づいた診断が試みられている.しかしながら呼吸音の発生や肺内での音響伝播といった物理的メカニズムについては,まだよくわかっていないことが多い.本報告では,気道内の流れによって発生する空力音とその伝播の物理現象を理解するために我々が取り組んでいる工学的アプローチを紹介し,気道の単純形状モデルと実形状モデルを用いた気流音の計測実験,および気道壁を介した音伝播の数値音響解析で得られた結果を報告する.
  • 土生川 千珠
    2015 年 29 巻 1 号 p. 65-72
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
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    肺音は,気道や換気など多くの呼吸状態の情報が含まれている.従来は,正常肺音と異常呼吸音の違いが重要であったが,近年,音響解析の技術進歩により非発作時肺音の微細な構成成分の変化を解析できるようになった.気管支喘息の多くは,乳幼児期に発症し,早期診断と適切な治療介入が重要である.しかし,乳幼児の治療効果や治療中止時期の判断など,長期管理の客観的指標は見当たらない.私達は,乳幼児でも検査が可能なように安静呼吸時の非発作時肺音で気道評価ができる肺音自動解析システムを開発した.センサーを右胸部にテープ固定し,数十秒間記録し,呼吸相を自動判別し解析する.肺音から個体差の影響を除外するために,日本人小児の肺音の正常値(強度)を作成し,吸気音の正常の強度からの残差(強度差)をic700(index chest wall at 700 Hz)を指標とした.ic700は,喘息児と健常児,重症度で,有意な差があり,閉塞性の指標や症状評価とも関連し,治療効果の判定が可能である.乳幼児の客観的気道指標として有用である.
  • 平井 康太
    2015 年 29 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
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    日常診療の場で最も遭遇する主訴のひとつである咳嗽は患児だけではなく,保護者のQOLも著しく悪化させるといえる.近年,喘息のガイドラインが作成され,これにより喘息患者のQOLは向上しているが,持続する咳嗽についてはいまだ十分といえる状況とはいえない.日本小児呼吸器学会より小児の「咳嗽診療ガイドライン」が作成され成人の分類に従い,咳嗽は持続する期間によって,急性咳嗽,遷延性咳嗽,慢性咳嗽に分類されている.小児科領域においても,成人の報告を踏襲して分類されることもあるが,8週間以上の慢性咳嗽の原因としては,喘息やアレルギー性鼻炎など,アレルギーに関連する疾患の頻度が高い半面,成人とは異なる病態も推測される.さらに,小児期では,乳児期,幼児期,学童,思春期と,年齢により主たる原因が異なることも報告されているため客観的な評価法が望まれている.
若手研究者育成セミナー Part 1
  • 佐藤 泰憲, 五所 正彦
    2015 年 29 巻 1 号 p. 79-85
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
    ジャーナル 認証あり
    医学,薬学,健康科学領域において,根拠に基づく医療(evidence based medicine;EBM)という考えが普及し,根拠なるものは,統計的データとして表されるため,生物統計学の考え方が必要不可欠である.生物統計学は,「医学・薬学・健康科学における統計的問題を解決するための方法論を発展させ,その方法論を用いて医学研究者等と一緒に問題解決を行う固有の学問」である.したがって,生物統計家と医学研究者がコミュニケーションを図りながら,データの取り方(研究計画の立案),データ解析の方法,得られた結果の解釈,論文の執筆などをおこなう.両者の連携と対話が不可欠であるため,医学研究者は生物統計学のことを,生物統計家は医学・薬学のことを,ある程度理解していないと対話が成立しない.臨床研究データを正しく評価する上で役に立つと思われる,生物統計学の概念,原理とその使い方について説明する.また,臨床研究でよく用いられる統計手法の現状分析結果を紹介し,統計手法の変遷,臨床研究の統計の質を高め,適正化するための方法について考察し,提言を行う.
原著
  • 柳田 紀之, 佐藤 さくら, 長谷川 実穂, 林 典子, 海老澤 元宏
    2015 年 29 巻 1 号 p. 86-92
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
    ジャーナル 認証あり
    【背景】病院での除去食提供は安全管理上重要であるが,除去食提供に関する報告は少ない.【目的】除去食を病院で提供する際の誤配膳の頻度を調査する.【対象】2006年4月~2014年3月に国立病院機相模原病院小児科に入院した食物アレルギー児に対して提供された30,015食の除去食を調査対象とし,誤配膳数を調査した.【方法】2009年度から鶏卵・牛乳・小麦・そば・落花生・ナッツ類・魚卵・イカ・タコ・山芋・ごまの11品目をあらかじめ除去した14日サイクルの定型除去食メニューの運用を開始した.運用開始前後の誤配膳の発生頻度を比較した.【結果】定型除去食メニュー提供開始前は年間1~3件の除去食に関する誤配膳が起きていたが,定型除去食メニュー提供開始後は0件であり,誤配膳発生率は0.087%(7/8,013)から0.000%(0/22,002)に有意(p<0.001)に低下した.【結論】定型除去食により誤食事故のリスクを軽減できる可能性が示唆された.
  • 真部 哲治, 奥 典宏, 相原 雄幸
    2015 年 29 巻 1 号 p. 93-98
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
    ジャーナル 認証あり
    川崎病との鑑別を要した急性汎発性発疹性膿疱症の8歳女児例を経験した.入院時発熱,全身の紅斑,両側眼球結膜充血,口唇紅潮,四肢浮腫をみとめた.炎症反応が高値で,血清アルブミン,ナトリウム値が低下していた.川崎病も疑われたが発熱2日目であり,細菌感染症を考慮し抗菌薬の静注を開始した.翌日より全身の紅斑上に多数の小膿疱を認め診断に至った.入院3日目に解熱し,入院4日目に抗菌薬を中止した.紅斑・膿疱は徐々に消退し,入院5日目より落屑を認め,入院6日目に軽快退院した.原因検索として,発症から4日目と2か月時に薬剤リンパ球刺激試験を実施し,アセトアミノフェンが陽性であったことから原因薬剤と推定した.急性汎発性発疹性膿疱症は,川崎病,敗血症と病状が類似することもあり,誤診や原因薬剤投与による病状悪化の危険もある.小児では稀ではあるが,重症薬疹の一病型として認識する必要があると思われた.
  • 林 大輔, 鈴木 寿人, 森下 直樹, 森松 文毅, 市川 邦男
    2015 年 29 巻 1 号 p. 99-107
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
    ジャーナル 認証あり
    【目的】食物アレルギー患児において除去食の程度が緩和され,摂取食品が増加すると児と家族の負担は軽減する.カステラを用いた鶏卵加工品負荷試験を行った保護者にアンケートを行い有用性を検討したので報告する.【対象と方法】2011年1月から2013年7月に筑波メディカルセンター病院でカステラを用いた鶏卵経口負荷試験を行った鶏卵アレルギー児94人の保護者に児の鶏卵加工品の摂取状況に関するアンケートを郵送し,返信があった72人を検討した.【結果】患児は1歳1か月~12歳7か月の男児39人,女児33人で,卵白特異的IgE値は0.34~100 UA/mlであった.12人が負荷試験陽性で58人が陰性であった.アンケートでは60人が新たに小麦を含む鶏卵加工品の摂取が出来た,54人が市販の食品で購入できるものが増えた,69人が鶏卵加工品の経口負荷試験を行って良かったと回答した.【結論】多くの患児で小麦を用いた鶏卵加工品摂取が可能となり,多くの保護者が経口負荷試験を行って良かったと考えた.
  • 竹下 美佳, 佐藤 智, 千代反田 雅子, 三浦 太郎, 佐藤 美紀, 長尾 竜兵, 牛尾 方信
    2015 年 29 巻 1 号 p. 108-112
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
    ジャーナル 認証あり
    新生児―乳児消化管アレルギーは,新生児期及び乳児期に乳児用牛乳調製粉乳などを摂取後に消化器症状で発症する疾患である.我々は,便への少量血液付着が持続し,注腸造影による狭窄病変が診断の一助となった症例を経験したので報告する.生後4か月男児.少量の血便持続を主訴に来院した.小児外科にて,注腸造影検査を施行し,直腸からS状結腸にかけて鉛管状の狭窄とハウストラの消失を認めた.末梢好酸球は軽度上昇しており,牛乳,αラクトアルブミン,βラクトグロブリンに対する特異的IgE値はいずれも陰性であったが,κ-カゼインとラクトフェリンに対する特異的リンパ球刺激試験は陽性であった.ミルクに対してのアレルギーを疑い,カゼイン加水分解乳に変更したところ,便潜血反応陰性となった.再度施行した注腸造影検査では,狭窄病変は改善し,新生児―乳児消化管アレルギーと診断した.新生児―乳児消化管アレルギーにおいてアレルギー診断のみならず病変部位を特定することは,更なる分類,病態の解析や予後を把握するうえで重要と考えられる.
  • 藤高 道子, 喜多村 哲朗, 杉原 雄三, 岡畠 宏易, 池田 政憲, 有田 昌彦
    2015 年 29 巻 1 号 p. 113-122
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
    ジャーナル 認証あり
    広島県における食物経口負荷試験(OFC)実施20小児科施設で実際に行われているOFCの方法をアンケート調査した(2012年2~3月調査,回収率83.3%).その結果,OFCは主に耐性確認を目的にオープン法で実施され,負荷食品は保護者が持参,実施食品(使用食品)は卵(固ゆで卵),乳(生乳),小麦(生うどん)が多く,食品の負荷は15~30分間隔で外来は3~5回,入院は6~10回で行われていた.試料の増量は100%増量法で,輸液経路は症例によっては確保し,医師1人+看護師1人で観察する場合が多かった.最近1年間のOFC中の重篤な誘発反応は誘発反応の総件数の7.2%と少なく,重篤な誘発反応への対応に苦慮する施設は無かった.20施設中15施設でOFCの診療報酬を請求できない場合があり,その原因として保険請求上の年齢制限と回数制限を挙げる施設が多かった.
  • 佐々木 渓円, 柳田 紀之, 富川 盛光, 飯倉 克人, 佐藤 さくら, 海老澤 元宏
    2015 年 29 巻 1 号 p. 123-131
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
    ジャーナル 認証あり
    サルメテロール/フルチカゾンプロピオン酸エステル配合剤(SFC)の適応と判断した気管支喘息患児について,その導入目的と治療効果を後方視的に検討した.対象は,2011年10月から12月にSFCを処方された62例(男児43例,女児19例)とした.SFCの導入時の年齢は,中央値11歳であった.フルチカゾンプロピオン酸エステルあるいはベクロメタゾンプロピオン酸エステルからICS力価として等量でSFCに変更された41例では,SFCの導入後に年間発作回数や呼吸機能検査値の有意な改善が認められた.SFCの導入理由(重複あり)は,喘息症状のコントロール(58.1%(36例)),呼吸機能低下(51.6%(32例)),運動誘発喘息(EIA)の存在(17.7%(11例))であった.症状のコントロールを目的とした群では年間発作回数が減少し,呼吸機能低下群ではその測定値が有意に改善していた.EIAの改善を目的とした群では,%V50,%V25が改善していた.以上の結果から,SFCの適応に関して上記因子を考慮することで導入目的に応じた治療効果が得られることが示された.小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2012のステップ3以上の治療をしていても,EIAを含む喘息症状や呼吸機能の改善を要する例が,SFCの適応となると考えられた.
会報
  • 近藤 直実
    2015 年 29 巻 1 号 p. 133-139
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/06/03
    ジャーナル 認証あり
    前回,退任の挨拶を掲載させていただきました.今回は,日本小児アレルギー学会の記録として第11期,第12期(2008-2014)の主な出来事の記録を表にまとめました.この表には記載しませんでしたがさらに種々の出来事もありました.本学会としてのこれらの対応については,中には,理事長職や事務局として相当の時間と労力を費やすこともありました.西間元理事長,森川前理事長はじめ多くの学会員の皆様に種々の角度からご協力をいただき乗り切ることができましたことを,ここに厚くお礼申し上げます.医学の学会の最重要な事項として,学会運営はもちろんですが,医療レベルの向上と質の高い学術研究の発信を通しての社会と世界への貢献があります.学術研究についても理事長として公私の立場から常に心がけてきたところです.表のうち,ガイドラインおよび主な学会関連論文の項には,まずは,学会が直接関わった各種のガイドラインや論文や補助を受けた厚労科研費を記載し,さらに学会員主導あるいは関わったNaSNELC級の論文(ナスネルク,Natureシリーズ,Science, NEJM, Lancet, Cell,近藤による,2005)を調べ得た範囲で掲載しました.なお,今回は表には,JACI, CEA, PAI, AIなどは学会が直接関わった論文以外は記載しませんでしたが,学会員主導による質の高い論文の掲載が多数ありました.今後とも,日本の小児アレルギーおよび関連の分野(日本小児アレルギー学会の英文名はThe Japanese Society of Pediatric Allergy and Clinical Immunology, JSPACI)から極めて質の高い基礎研究や臨床研究の成果が世界に発信され,世界と患者さん方に大いに貢献できるように,本学会会員からJACIなどはもちろんですが,さらに先述のbig journalへの掲載も大いに期待しております.
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