日本小児アレルギー学会誌
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3 巻, 1 号
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  • 鳥居 新平
    1989 年 3 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 家族療法の日常診療への応用
    木下 敏子, 宮崎 素子, 河野 照隆, 清永 ときよ, 下田 康介
    1989 年 3 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    最近の子供の“心の問題”を家族を含めて, より総合的全体的に治療しようとする動きが出て来ている. そのような状況の中で家族療法が注目されて来た. そこで我々は薬に依存的な喘息児の母親に家族療法の療法を応用し, 母親の不安を軽減する事で投薬量を減量しえた症例を経験したので日常診療にも有用であると思い報告する.
    症例は13歳 (昭和48年12月生) 男子, 生来風邪に罹りやすかったが, 3歳頃からゼーゼーするようになり, 喘息と診断され公害認定を受けた. 発作は通年性で重積発作を繰り返し入院する事も多かったが, 昭和62年頃から発作は激減しサッカーもできるようになった. そこで主治医は薬の減量を母親に伝えたが不安の強い母親は薬の減量を納得せず, 却って薬を要求するようになった.
    主治医はこのような状態は患児に悪影響を与えると心配し治療者 (医師) へ診療を依頼した.
    面接時, 治療者は母親が今まで取ってきた態度を肯定的に捉えたり, 安定メッセージを与えるなど家族療法の手法を使って母親の不安に対処し薬を減量する事が出来た. 即ち, 家族療法の手法は医師の日常医療においても有用であると考える.
  • 西岡 順子, 増田 敬, 遠山 歓, 小田嶋 博
    1989 年 3 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    縦隔皮下気腫・気胸・無気肺をともなった気管支喘息重症発作の治療中, 抜管後に, 突然応答が消失し, ICUからの転室を契機に応答が再び可能となるという経過を呈し, その間に一過性の脳波異常もみられた6歳女児例を経験した. 本症例における脳波の徐波化の要因としては, (1) 低酸素, (2) CO2ナルコーシス, (3) 気管内挿管時に使用した鎮静剤, (4) ステロイド, (5) ネオフィリン, (6) ICU症候群にともなうもの, が考えられる. 患児はICU内で, 2週間治療を受けたことで大きなストレスを受け, 不安を持ち, その結果会話不能状態および, 一過性の脳波異常を呈し, 転室を契機に改善したという経過からも, ICU症候群にともなうものの可能性が高いと考える.
  • 国富 泰二, 池田 政憲, 小谷 信行, 濃野 信
    1989 年 3 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    若年性関節リウマチ (JRA) に心外膜炎を合併し, 経口的な大量ステロイド剤の投与では充分な治療効果を得ることが困難と考えられた2症例にパルス療法を試みた.
    症例1は, 6歳11カ月の男児, 3回目の再発のために入院した. Prednisolone 2mg/kg/日を経口投与したが効果がなく, 入院11日目に心外膜炎を発症した.
    症例2は, 14歳11カ月の女児. 14日間続く発熱とリウマトイド疹, 筋肉痛, 心外膜炎を発症して入院した.
    いずれの症例も心エコーで多量の心嚢液の貯留がみられた. 心タンポナーデへの進展が危惧され心嚢穿刺も検討された. 心外膜炎および急性期の全身的治療を目的として, 1週間に methylprednisolone 30mg/kgを3日間連続静注するパルス療法を3週間施行した。パルス療法開始当日かち解熱した. 心嚢液は3週間の経過で消失し, 全体として有効であった. 軽度の満月様顔貌以外には副作用は認められなかった.
    経口的なステロイド大量療法が無効な症例, 心機能障害が出現する危険が大きい症例にはパルス療法の適応があると考えられた.
  • 赤澤 晃, 海老澤 元宏, 小幡 俊彦, 斎藤 博久, 飯倉 洋治, 竹川 純子, 羽鳥 文麿, 朝原 章二, 阪井 裕一, 宮坂 勝之
    1989 年 3 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    全身麻酔や外科手術の合併症の発現にかかわる免疫機能の低下や薬物アレルギーを調べるため, 我々は全身麻酔下に手術を行った小児29名 (1歳~11歳) についてその麻酔前後においてTリンパ球サプセット (OKT 3, 4, 8) を測定した. 結果として麻酔時間が長く侵襲の大きい手術では24時間後にOKT 3, 4, 8陽性細胞が減少した. さらにマウスにケタラール腹腔麻酔を行ったところ同様に24時間後にThy1.2, L3T4陽性細胞の減少が見られた.
    また, 小児11名において atoropine sulfate, pancuaonium による麻酔導人を行ったところ血漿ヒスタミン値が0.12±0.04ng/ml (平均値±標準偏差) から, 静中後5~15分で0.22±0.13ng/mlに上昇した.
  • 卵白, 牛乳負荷にて尿所見の悪化を認めた症例についての検討
    三宅 健, 吉田 隆実, 高橋 昌里, 浜崎 豊
    1989 年 3 巻 1 号 p. 32-38
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    卵や牛乳などの多種の食物に対して, 即時型アレルギーの既往を有する8歳のIgA腎症患者を経験した. 卵と牛乳を除去すると, 尿蛋白が低下するような印象を受けるとの母親の意見をもとに, 入院させて, 薬剤は用いずに安静と除去食療法を行い, 尿所見の改善をみた. そこで, 卵白と牛乳の経口負荷試験を施行したところ, 尿蛋白/クレアチニン比が上昇することが確認できた.
    本症例のIgA腎症の病因が, 食物に対する免疫反応, 特に食物抗原に対する特異IgA抗体を介した反応にあるのではないかと疑い, 卵白と牛乳に対する血清特異IgA抗体の検出を試みた. しかし, 特異IgA抗体は検出されなかった. したがって, 本症例のIgA腎症においては, 卵白や牛乳抗原に対する免疫反応が直接の原因ではなく, 蛋白負荷によって非特異的に尿所見を悪化させていたのではないかと推測された。
  • 国富 泰二, 小谷 信行, 濃野 信, 森田 英雄, 倉繁 隆信
    1989 年 3 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アレルギー疾患のない小児66例について, ヤケヒョウダニ (Dp), 卵白, 牛乳, 大豆特異IgG4抗体の年齢別変化を検討した. 対象は男児39例, 女児27例で年齢は1ヶ月から12歳 (平均年齢2.7歳) までであった. Dpについては少数例で特異IgG4抗体産生が認められた. 卵白は5ヶ月以後特異IgG4抗体産生が始まり2歳以後75%-92%の小児で産生がみられた. 牛乳は乳児期早期から特異IgG4抗体産生がみられ, 3~4歳で高率に産生がみられた. 大豆は1歳以後少数例で特異IgG4抗体産生がみられた. アレルギー疾患のない小児でも卵白, 牛乳, 大豆の3大食物アレルゲンに対する特異IgG4抗体がかなり高率に産生されていると考えられた.
  • 池上 宏, 黒崎 知道, 鳥羽 剛, 宮城 裕之, 桜井 信清
    1989 年 3 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    カゼイン水解乳 (MA-1ミルク®) で栄養した3名の牛乳アレルギーの乳児にビタミンK欠乏症が発症したことを報告した. 原因はガゼイン水解乳中のビタミンK濃度が低いためと思われた. このミルクで栄養される乳児には, ビタミンKの補充による予防が必要である.
  • 辻本 善樹, 岡 尚記, 杉原 雄三, 有山 昭典, 得 雄一郎, 片山 和弘, 早田 篤, 辻 芳郎
    1989 年 3 巻 1 号 p. 48-55
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    新規マクロライド系抗生物質TE-031のテオフィリン代謝に及ぼす影響を気管支喘息児を用いて検討した.
    まず, 徐放性テオフィリン製剤の投与をうけている18名の患児にTE-031 (600mg/day) を7日間併用し, 併用前8日前と1日前, 併用中3日目と7日目, そして併用中止7日後の午前と午後に採血を行い, テオフィリン血中濃度を測定した. 併用7日目の血中濃度は, 他の測定日より有意に上昇していた (p<0.01).
    次に, テオフィリン投与をうけていない3名の患児に, TE-031 (600mg/day) を7日間投与し, 投与前と7日目にテオフィリン静注と採血を行い, テオフィリンの半減期とクリアランスを算出し投与前後で比較した. 投与後に半減期が著明に延長したりクリアランスが減少するものがみられた.
    以上よりTE-031はテオフィリン代謝に影響を与え, 血中濃度を上昇させて中毒症状を起こす可能性があるので, テオフィリン製剤と併用する場合にはテオフィリン血中濃度の測定など行う必要がある.
  • 浜崎 雄平, 宮崎 澄雄
    1989 年 3 巻 1 号 p. 56-60
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    卵白アルブミン (OA) 感作モルモット (n=4) の気道平滑筋収縮に対する, 気管肺胞洗浄液中細胞 (CB) 産生アラキドン酸 (AA) 代謝物の影響を検討した. 標本をOA刺激群 (OA), OA+A23187刺激群 (OA+A23187), CB存在下のOA刺激群 (OA+CB), およびOA+A23187刺激群 (OA+CB+A23187) の4群にわけ, acetylcholine 10-4Mに対する収縮比で示した (OA/Ach). 収縮はOA群の1.19±0.05に比べ, OA+A23187群では1.27±0.32と差がなく, OA+CB群では1.43±0.20と軽度の増強を示したが有意ではなく, OA+CB+A23187群では0.55±0.15と有意に抑制された. 刺激により溶解中に放出されたTXB2は, CBの非存在下では測定感度以下, OA+CB群では292, 0A+CB+A23187群では468pg/0.1mlと高値であった. 6keto-PGF1αもOA+CB群では29.00, OA+CB+A23187群で39.25pg/0.1mlとCB (-) 群に比し高値であったがTXB2にくらべると約1/10であった. 以上より, 肺内CB (主に macrophage) はAA代謝物を産生することにより気道平滑筋収縮を修飾している可能性が示された. 収締性因子としてはTXA2が重要である. 拡張性因子としてPG12, PGE2の産生が認められるものの, 量的に少なく, 他の拡張性因子の関与が示唆される.
  • HLA集団調査
    小屋 二六, 多胡 博雄, 奥村 研三, 笹本 明義, 赤澤 晃, 飯倉 洋治
    1989 年 3 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 1989/08/10
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    HLAを指標として小児気管支喘息の集団調査を行った. 臨床的に診断した喘息群48名 (5~17歳), DF-IgE抗体陽性 (RAST score 2以上) 喘息群31名 (5~16歳), 臨床的に喘鴫の既往がなくダニIgE抗体が陰性, ダニ皮膚テストが陰性の52名 (15~45歳) についてHLAクラスI, II抗原の測定を行った. 結果は3群間で有意に高い出現頻度あるいは低い出現頻度のHLAタイプは認められなかった.
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