日本小児アレルギー学会誌
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5 巻 , 3 号
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  • 森川 利夫
    1991 年 5 巻 3 号 p. 107-113
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    気管支喘息発作の治療のためにアミノフィリンの点滴静注を受けた0歳から15歳の小児164例の354回の発作において, テオフィリン薬物動態パラメーターを合計1167回にわたって計算した. 15分の投与で分布容積 (Vd) を計算した76例の患者間平均値は392±103ml/kg(CV*=26.3%), 同一症例で3回以上計算した13例のCV値の平均も26.3%であった. 2時間の投与でVd値を計算した114例の患者間平均値は408±54.6ml/kg (CV=13.3%), 3回以上2時間投与でVd値を計算した16例のCV値も平均13.1%と変動が小さかった. 数時間の維持量の投与で消失速度定数 (Ke) を計算した156例の患者間平均値は01160±0.0417/h (CV=26.1%), 3回以上計算した77例の患者内CV値の平均は32.0%とともに変動が大きかった. 12時間以上同一速度で投与してクリアランス (CL) を計算した86例の患者間平均値は57.4±13.9ml/kg・h (CV=24.2%) であったが, 3回以上計算した23例の患者内平均CV値は19.3%と小さかった.
    これらの結果からアミノフィリン投与の個別設計を作成するにあたって, 15分の投与で計算したVd値や数時間の投与で計算したKe値を用いるのは危険で, 2時間の投与で計算したVd値と12時間以上同じ速度で投与して得たCL値の各患者毎の値を用いる必要があるものと考えられた. *CV値: Coefficient of variation CV=標準偏差÷平均値×100(%)
  • 森川 利夫
    1991 年 5 巻 3 号 p. 114-121
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    徐放性テオフィリン製剤によりRTC療法中の患者で, 一回の服薬後に二回以上血中テオフィリン濃度を測定し得た60例, 144回のデーターをテオプレディクトーIにより解析した. 得られた薬物動態パラメーターは同一患者内においても患者間と同じように大きく変動していた. したがってベイジアン法を用いて解析を行う場合にも, 一回の解析で得られたパラメーターをそのまま Population Parameter として用いるのは危険で, 多数の症例の平均値を用いるのが良いと考えられた. 夜間には日中に比して血中濃度が低下する傾向があったが, それはARが低下しCLが亢進するためと考えられた. また解析の結果計算された至適投与量も大きく変動していたので, 一回の解析で指示された量をそのまま長期間投与するのは危険で, 度々のモニタリングにより投与量を変更する必要があるだろう. テオロング顆粒投与の場合に比して, テオドール錠の場合の方がARが有意に小さく, テオドール錠の方が徐放性に優れているものと考えられた.
  • 河島 尚志, 岩坪 秀樹, 武隈 孝治, 星加 明徳, 本多 輝男
    1991 年 5 巻 3 号 p. 122-128
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    鶏卵を用いウイルスを精製する際に, 超遠心法では卵白成分が混入し, その成分として ovomacroglobulin がすでに指摘されていた. 今回の研究で, ovomacroglobulin とアレルギーの関連を知るため, ovomacroglobulin に対するIgG, IgE, IgG4抗体を測定した. 健康人に比較しIgE抗体は, アレルギー患者では有意に高値を示した. この値は卵白RASTや卵白に対する皮膚テストと相関を示さなかった. IgG抗体は健康人では, 出生時より生後6カ月の検体は全例陰性であったが, アレルギー乳児ではこの年齢において高値を示し著明な差を認めた. IgG4レベルでも同様に差を認めたが, IgGにみる程の大きな差ではなかった.
    現在市販されているインフルエンザワクチンとの関連を調べたところ, ワクチン免疫ウサギで有意に, 抗 ovomacroglobulin 抗体の上昇が認められた. さらに, ワクチンは抗 ovomacroglobulin 抗体と反応した.
    今回の結果から ovomacroglobulin は食物抗体として, またインフルエンザワクチンとの関連から重要と考えられた.
  • 加藤 政彦, 森川 昭廣, 重田 誠, 黒梅 恭芳, 木村 利定, 舘野 幸司
    1991 年 5 巻 3 号 p. 129-136
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    テオフィリン徐放剤のうち, テオロング50mg錠およびテオドール50mg錠について, 1日2回均等投与中の血中濃度の日内変動をクロスオーバー法にて比較検討した. 各時刻の血中濃度値は, 両製剤間で有意差を認めなかった. AUCおよびCmaxでは, 両製剤ともに, 昼間に比べ夜間では有意に低下していた. Tmaxでは, 両製剤ともに, 昼, 夜各々について有意差は認めず, Peak-trough difference では, 両製剤ともに, 昼間が夜間に比べ有意に大きく, また夜間においては, テオドールに比べ, テオロングの方が有意に大きかった. 以上より, 両製剤間に多少の bioavailability の差はあるが, 100mg錠とほぼ同様の薬物動態を示し, また剤型が小さく飲みやすいことから, 幼小児においては, 両製剤ともに有用であると思われた. しかしながら, 多くの報告と同様に夜間のAUCおよびCmaxは, 昼間に比べ有意に低下することから, 症例によっては, 昼間に比べ夜間でのより多いテオフィリン投与量が必要であると考えられた.
  • 土井 悟, 山本 尚美, 永井 秀, 山田 政功, 伊藤 浩明, 鳥居 新平, 井口 淑子, 上田 雅乃, 菊池 哲
    1991 年 5 巻 3 号 p. 137-143
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    アレルゲン特異IgE抗体測定には, 従来ペーパーディスクによるRAST法が使用されてきたが, 近年CAPシステムと呼ばれる方法が開発された. 今回我々はCAPシステムによる特異IgE抗体を測定し, ペーパーディスクによるRAST法, プリックテストと比較した. アレルギー性疾患患者126名を対象に蛍光酵素抗体CAP法で15のアレルゲンに対する特異IgE抗体を測定し, 同時にペーパーディスクによるRAST法とプリックテストを実施した. CAP法とRAST法との相関はハウスダストと犬皮屑を除いて吸入性抗原, 食物性抗原ともに良好であった. 吸入性抗原では, CAP法の感受性がやや鋭敏であると思われ, 特に犬皮屑, スギ花粉の場合に顕著であった. ハウスダストに関しては両者の一致率は悪く感受性の面でもCAP法はRAST法に劣ってた. 一方CAP法とプリックテストとの相関も良好で, やはり吸入性抗原でのCAP法の感受性が高かった. 今回の検討からはCAPシステムは特異IgE抗体測定方法として信頼性が高く, そのほか従来のRAST法にはない種々の利点を持つ優秀な検査法と思われた.
  • 石澤 きぬ子
    1991 年 5 巻 3 号 p. 144-151
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    妊婦本人又は夫, 上の子にアレルギー疾患の既往を有する198例中1歳半から2歳まで追跡できた母子78組につき, 妊娠中および授乳中の食物の除去の有無と患児の臨床症状, 血清IgE値, 特異的IgG値 (卵, 牛乳, 大豆, ダニ) との相関を検討した. 実際の採血は妊娠6~7ヶ月時, 臍帯血, 生後は6ヶ月毎に反復採血した. またアンケート調査により妊娠中又は出産後の卵, 牛乳除去が母親の心理面に与える影響についても検討した.
    その結果, (1)喘鳴発症は妊娠早期除去群では16例中0例, 妊娠後期除去群では31例中10例に認められた. (2)アトピー性皮膚炎の発症と妊娠中の食物除去時期との間には喘鳴群ほど顕著な差はなかったが, 早期除去群で発症が少ない傾向があった. (3)アレルギー症状ないし疾患の発症と生後各時期における血清IgE値との関係については, 有症状例では血清IgE値はいずれの時期についても高値を示し, かつ母体血, 臍帯血のIgE値がすでに有意の高値を示した. (4)母乳栄養でしかも母親が牛乳を除去にしていた群では牛乳特異的IgG値は他の群にくらべ有意に低く, アレルギー発症はほとんど認められなかった. (5)妊娠中より卵, 牛乳を除去することに対し, 心理的ストレスのあった妊婦は少なく, 除去していた47例中42例が除去していてよかったと答えた.
  • 堀場 史也, 宇理須 厚雄, 和田 映子, 近藤 康人, 鶴田 敏光, 矢崎 雄彦, 増田 進, 小沢 徹, 児玉 央, 宮田 隆夫
    1991 年 5 巻 3 号 p. 152-157
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    鶏卵および鶏卵を含む食品を1度も食べたことがなく, しかも湿疹を有する生後0から6カ月の乳児 (湿疹群n=160) と, 比較のため湿疹のない乳児 (非湿疹群n=37) を対象とし, 血清中の, 鶏卵白に対する特異的IgE抗体を測定した. 患児自身が鶏卵ならびにその関連食品を1度も食べたことがないにもかかわらず鶏卵白RAST陽性者 (0.7PRU/ml以上) を母体由来鶏卵白抗原による感作, つまり経胎盤あるいは鶏母乳感作陽性者とした.
    母体由来鶏卵白による感作成立と証明されたものは, 湿疹群 (38.1%) と非湿疹群 (5.4%) との間に有意差 (p<0.01) が認められた. このことから母体由来鶏卵白抗原による感作は湿疹の発症に何らかの関与をしていると考えられた.
    月齢に従って鶏卵白RAST陽性率が増加したことから, 経母乳感作の方が, 経胎盤感作よりも頻度が高いと推測された. これは, 経時的に検査できた23人中11人で鶏卵白RAST値が月齢とともに上昇したことからも裏付けられた.
  • 谷幡 祥子, 相沢 昭, Russell CHESS-WILLIAMS, 内山 利満
    1991 年 5 巻 3 号 p. 158-166
    発行日: 1991/09/25
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    モルモット肺, 心臓および回腸の carbachol 反応性および muscarine 受容体結合性に対する持続的迷走神経緊張状態の影響を抗 cholinesterase 薬 echothiophate iodide (ETP, 20μg/kg/day, s.c.) 7日間連日投与により検討した. 本研究は, 我々が以前に報告したETPの慢性投与による気道の carbachol 感受性低下の機序の解析を目的とした.
    ETPは肺, 心臓, 回腸および血清の cholinesterase 活性をいずれも40-50%低下させた. ETPは肺および心臓の carbachol 感受性および [3H] quinuclidinyl benzilate ([3H]QNB) 結合に影響しなかったが, 気管および回腸の carbachol 感受性を低下させた. また, 回腸の [3H] QNB結合親和性には影響せずに muscarine 受容体数を減少させた. 一方, ETPは気管および回腸の histamine 感受性も低下させたが, 回腸の [3H] pyrilamine 結合には影響しなかった.
    以上の結果は, ETPの慢性投与による持続的迷走神経緊張状態は, 摘出回腸および気管の carbachol および histamine 感受性を低下させ, これは muscarine 受容体数の減少と, 一部, 受容体と細胞内機構の共役機序の変化に起因することを示唆する.
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