モルモット肺, 心臓および回腸の carbachol 反応性および muscarine 受容体結合性に対する持続的迷走神経緊張状態の影響を抗 cholinesterase 薬 echothiophate iodide (ETP, 20μg/kg/day, s.c.) 7日間連日投与により検討した. 本研究は, 我々が以前に報告したETPの慢性投与による気道の carbachol 感受性低下の機序の解析を目的とした.
ETPは肺, 心臓, 回腸および血清の cholinesterase 活性をいずれも40-50%低下させた. ETPは肺および心臓の carbachol 感受性および [
3H] quinuclidinyl benzilate ([
3H]QNB) 結合に影響しなかったが, 気管および回腸の carbachol 感受性を低下させた. また, 回腸の [
3H] QNB結合親和性には影響せずに muscarine 受容体数を減少させた. 一方, ETPは気管および回腸の histamine 感受性も低下させたが, 回腸の [
3H] pyrilamine 結合には影響しなかった.
以上の結果は, ETPの慢性投与による持続的迷走神経緊張状態は, 摘出回腸および気管の carbachol および histamine 感受性を低下させ, これは muscarine 受容体数の減少と, 一部, 受容体と細胞内機構の共役機序の変化に起因することを示唆する.
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